特別企画 番外編②杉江能楽堂紹介 其の六 | 能meets

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観世流能楽師 林本大による
わかりにくいからこそ面白い能の、わかりやすく「濃密」な講座。
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能meetsブログ特別企画

番外編② 杉江能楽堂紹介 其の六

 

今回は前回の橋掛とも密接な松、そして白洲です!

 

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この橋掛の前にある三本の松。

舞台に近い方から「一の松・二の松・三の松」と言われ舞台から揚幕に向かって背が低くなっています。

 

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これは遠近感を現しているそうです。昔からこういう視覚的な工夫がなされていたんですね。

 

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これも杉江能楽堂の特徴なのですが、こちらの松は本物の松です。

今は作り物が多い中、珍しいですね。

伊地知さん曰く、2.3年ごとに植え替えているそうです。

 

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そして、杉江能楽堂では橋掛りからこの松まで少し距離があります。

他の多くの能舞台ではこの松はすぐ近くに設けられていて、前回のお話であった羽衣の際は橋掛の表欄干からこの松に、着物を掛けるという表現があるということでしたね。

「ここでは無理ですね」と。

 

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でも、それがゆえに広い白洲と相まってまるで日本庭園のような趣を感じることができますね、と先生。

本当にそうです。

その広い白洲。

 

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白い砂利が敷かれています。

野外で行われていた名残で、昔は日の光を反射させて照明効果として使われていたそうです。

ただ、今はほとんどの能舞台が屋内に収められた能楽堂形式。白洲も僅かな幅で形式だけで残っているだけです。

杉江能楽堂ではこのような対置式で、今でもこれほどまでの白洲。

 

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更に珍しいことに、天井が開閉式のシェードになっており、自然の光が入ってくるのもこちらの素敵な特徴で、ますますお庭に見えてきます。

お能が早く拝見したいのですが、こちらの見所でこのお庭のような白洲越しの能舞台を観ているだけでも時間を忘れることが出来ます。

 

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能meets杉江能楽堂では、能舞台解説と安達原解説の間に、茶話会を設けておりました。

是非とも開催の暁には、こちらでお茶を飲みながら良いお時間を過ごしていただけたらと思います。

 

また、この杉江能楽堂では自然光を取り入れられる昼間に行えば、照明を使わないそのままの陰影を感じられ、かつての野外で行われていたような

見え方になるそうです。

 

ここでまた先生にお話を聞きました。

 

林本:

能楽堂の照明は、一般の劇場とは異なっており、つまり「あまり手を加えていない」のです。悪い言い方をすると「明るくすればよい」だけ。
勿論、照明で演出をする事はありませんし、例えば雷の神様が現れた時に稲光の照明をピカピカっとするわけではありません。
ただ、これは私の意見ですが、全体的に今の能楽堂の照明は「明るすぎる」のではないかと思います。その方がきらびやかな装束がはっきり見えるのかもしれませんが、
大切な「陰影」を出す為の工夫も必要だと感じています。舞台の奥の方から能面かけたシテがお客様の方に向かって歩いてきただけで、能面の表情が光の加減で変わる、また良い装束であればそんなに明るくしなくても、金色が見事に落ち着いて我々に主張する。

杉江能楽堂は「屋内だけど屋外」という、不思議な能楽堂ですね。
是非こちらで、照明を付けずに自然の光で演じてみたいと考えています。
 
 
先生も、こちらで演じられることを楽しみにされているようです。
ということで、特別に今回少し先生が杉江能楽堂の能舞台でのイメージを見せてくださいました。
 

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奥から手前へ、手前から奥へと。

これは写真や映像ではわかりにくいのですが…実際みていた私はとても感動しました。これで面を掛けるとまた…

是非ともお越しいただき実際に体験していただきたいところです!

 

そして、こられた際に見所(客席)について、どこで見るかという話も出ましたが、もう一つお能舞台の特徴を先生が話されました。

 

林本:
劇場や映画館で馴れている方にはこれも不思議だと思いますが、「客席が明るい」のも能楽堂の特徴です。
客席の照明は落としてはいますが、完全に落とさず、充分に周りの方のお顔が分かる位照らされています。
これは、おそらくですが能のお客様には「謡を習っている方」が多く、演能の最中にも能の台本である謡本を見ながら鑑賞する方が多い為、本を読めるように明るくなっているのではないかと思います。また一方で、能面を掛けた役者が演技をする上で、客席がわずかでも明るいと、正面はこちらの方向だなという様に、目印になる事もあります。
 
 
そうなんです!
私も最初驚きました。というか、違和感を感じるだけで気づいてなかったんですが、客席を完全には暗くしないんです。
普段客席が暗い事になれている方が能舞台に立つと、緊張しますね。
特に杉江能楽堂では完全暗転は出来ないので、それが顕著に体験できそうです。
 
お知り合いの落語家の方に
「客席の明るさで笑いが半減したりすることもある」とお聞きしたことがあるとも話されていました。
芸能によって、舞台だけでなく客席の明るさも重要なのですね。
 
こういったお能では当たり前の事や、他の芸術・芸能とは違う部分に気づかれるのも林本先生の広い視野と、普段から他の舞台にも足を運んでいらっしゃるからなんだなぁと、スタッフも改めて思います。
日頃から何事にも、興味と関心をもって臨まないといけませんね。
 

 

次回は「道具について」に注目したいと思います!