でも風邪をぶり返したら大変だし、ゆきちゃんが寝ている間に食材を買いに行ってきた。
今日はまだクリスマスだから本を見ながらローストチキンを作ろうと思った。
分量を間違えなければきっとおいしいって言ってくれるはず。
杏梨は料理の本から顔をあげてにんまりした。
「手伝おうか?」
寝室のドアに立ってゆきちゃんがわたしを見ていた。
「ううん わたし一人で作るから ゆきちゃんはまだ寝ていなきゃダメだよ?出来たら起こすから寝ていてね」
「もう大丈夫だよ」
「いいから~ 寝るのが飽きたなら本でも読んでいてね」
ソファーに座っていた杏梨は立ち上がると寝室の入り口に立つ雪哉の側に行った。
「早くぅ」
ゆきちゃんの背中を軽く押す。
「今日は世話焼き女房みたいだね」
そう言ってゆきちゃんが笑った。
「そうだよ~ 風邪が治るまでわたしの言う事は必ず聞いてね?」
にっこり笑ってそう言われては聞かざるを得ないな。
雪哉は杏梨の髪をそっと撫でるとベッドへ戻った。
* * * * * *
あ、あらら?いったいどうして・・・・・・?どこをどう間違って大事なチキンちゃんが焦げてるのぉ?
時間通りにセットして出来上がりの合図とともにオーブンを開けてみた。
ローストチキンはあめ色にならなくて焦げていた。
杏梨はそれを見て頭を抱えた。
「はぁ~・・・・・・・最低~」
美味しいローストチキンを食べてもらおうと頑張ったのにこれでは食卓に出せないよ・・・・・・。
杏梨は途方に暮れたその時、雪哉が寝室から出てきた。
パジャマでなく、真っ白なVネックのセーターにジーンズ姿になっている。
「杏梨?焦げ臭いけれど、大丈夫?」
「ゆ、ゆきちゃんっ!見ちゃダメっ!」
背後に立たれてしまい慌てて体でオーブンを隠そうとした。
「あっ!」
手がアツアツのオーブンに触れて小さな声を上げた。
「杏梨!」
雪哉は杏梨のオーブンに触れた手を蛇口の下に置き急いで水を出した。
「もう大丈夫だよ 触れたところは少しだったし、もう痛くないから ありがとうゆきちゃん」
「たいしたことなくて良かった」
心底ほっとした様子だった。
「ごめんなさい、ローストチキン 焦げちゃったの」
しゅんとする杏梨。
「あぁ でも皮をはげば問題ないよ 美味しそうだ」
クリスマスディナーはなんとか食べられたものになった。
ゆきちゃんの言った通り、皮をはげば食べられたしサーモンサラダも美味しいと言ってくれた。
続く
このあとも最終回続きます
