あるけど・・・本当に欲しい子から貰えば良いのにって思っちゃった。
「去年はくれたのに」
少し寂しそうな表情のゆきちゃんにわたしの心臓がトクンと鳴った。
「だって・・・ゆきちゃんにあげるとお返しがすごいんだもん あげたら気を使わせちゃうし・・・」
ママに言った通りの事を言った。
「・・・お返しがすごいからくれないの?」
「う・・・ん・・・」
マグカップから出る湯気を見ながら頷く。
雪哉は去年のホワイトデーを思い出してみた。
杏梨からのプレゼントが嬉しくて、ホワイトデーまでに目に付いたものを買っておいた。
それが、杏梨には負担だったのか?
「あ、あのね?嫌いじゃないの たくさん貰ってすごく嬉しかったけど・・・お金を使わせちゃったなって・・・」
黙り込んでしまった雪哉に杏梨は慌てて取り繕う。
慌てて一生懸命に弁解する杏梨を見て、雪哉の心が温かくなる。
「そんなこと気にしないで良いんだ 杏梨の喜ぶ顔が見たいだけなんだから」
「ゆきちゃん・・・」
「カフェオレ、冷めちゃうよ?貴美香さんのブラウニー、少し頂くよ」
杏梨の困った顔をみて、話題を変えようとした。
それからはバレンタインの話に戻ることなく、貴美香が帰って来るまで話は弾んだ。
「ただいま~ 杏梨?雪哉君」
リビングでトランプをしている最中だった。
そこへ貴美香が入って来た。
「雪哉君、遅くまでごめんなさいね?」
外は酷く寒いらしく、頬が赤い。
いや、赤いのは違うせいなのだろうか。
「いいえ、じゃあ 帰るよ」
杏梨に言うと立ち上がった。
「あら、もう帰っちゃうの?まだいいじゃない 春樹さんも呼べばよかったわ」
貴美香が残念そうに引き止める。
「明日も仕事なので」
「そう・・・残念ね・・・」
「杏梨、またな?」
「え?う、うん」
そう言っている間にも、雪哉はダウンジャケットを着て、貴美香とともに玄関へ向かってしまう。
あ・・・帰っちゃう・・・。
続く