
倫子「それであなたと殿はいつからなの?私が気付いていないとでも思っていた? あなたが屋敷に来てから殿のご様子が何となく変わってしまって。あなたを見る目も、誰が見ても分かるくらい揺らいでしまって。あなたが旅に出たら出家までしてしまったんだもの。まひろさん、殿の妾にしょうなっていただけない?そしたら殿も少しは 力がおつきになると思うのよ。どうかしら? いつごろからそういう仲になったの?」
まひろ「初めてお目にかかったのは9つの時でした。道長様は 三郎と名乗っておられました」
倫子「身分も違うのに どうやって?」
まひろ「飼っていた鳥が逃げてしまい、追いかけて鴨川のほとりまで行きました。そこで」
倫子「家を出ることなぞ 許されたの?」
まひろ「このような立派なお家ではありませんので。泣いていた私に三郎と名乗る男子がお菓子をくれました。優しくておおらかで背が高くて・・・。また会おうと言われましたが、約束の日、母が殺されてしまい、会いに行くことができませんでした。母を殺した男は道兼と呼ばれていました。心惹ひかれた男子が母の敵の弟だと知った時は心が乱れました」
倫子「それなのにあなたたちは結ばれたのね…。そうでしょ」
まひろ「道長様と私が親しくしていた散楽の者が殺されて、2人で葬って・・・。道長様も私も悲しみを分かち合えるのはお互いしかいなかったのです」
倫子「あの漢詩の文は あなたのものだったのね」
まひろ「はい」
倫子「彰子は知っているの? あなたはどういう気持ちであの子のそばにいたの? 何も知らずにあの子はあなたに心を開いていたのね」
あなたは本心を隠したままあの子の心に分け入り、私からあの子を奪っていったのね。私たち、あなたの手のひらの上で転がされていたのかしら。それですべて? 隠し事はないかしら」
まひろ「はい」
倫子「このことは死ぬまで胸にしまったまま生きてください」
賢子「どうしたのですか?そんなに浮かない顔なさって」
まひろ「何でもないわ。あなたは どうなの?
賢子「太閤様にも 太皇太后様にもよくしていただいてるから安心してください」
倫子が道長のところへ
道長「藤式部と何を話しておったのだ?」
倫子「何ということもございませんわ。取りとめもない昔話を。嬉子のことですけれど・・・。嬉子は もう裳着もぎも終わっておりますゆえいつでも東宮様に奉れます。頼通にお話しくださいませ」
道長「どうしたのだ? 様子がおかしいぞ」
倫子「次の帝も我が家の孫ですけれど、その次の帝もそのまた次の帝も我が家からお出ししましょう」
まひろは琵琶を弾き出した。
弦が切れてしまいました。
陣の定めの席で顕光はうつらうつら。
頼通が喝「そのようなことでは左大臣が務まらぬ」
道綱が道長に「俺も大臣にしてよ」
道長「兄上にとって政とはなにでありますか」
道綱「地位だろ。母上が、男は座る地位で育つのだっておっしゃっていたゆえ。俺を嫌いにならないで」
道長「嫌いにはなりませぬ」
1025年、東宮の后となった道長と倫子の4番目の娘・嬉子は皇子を産みました。
しかし、その2日後僅か19歳で世を去りました。
1027年、後一条天皇のもと 道長時代の公卿は、実資、斉信、行成だけとなり、道長の息子たちが政の中心を占めるようになっていました。
頼通「これより除目を始めます」
俊賢が甥たちに「ああ、皆立派になってよかった。まことによかった」
明子「殿は冷たいお方だったけれど、頼通様がお優しいお方で我が家は救われました」
俊賢「道長様を恨んではならぬぞ」
明子「生まれてこの方苦しいことばかりであったけれど、あなた方を産んだことだけはよかった」
俊賢「俺が出世できたのも明子のおかげだ。礼を言う」
明子「何を今更・・・」
亡き妹嬉子の皇子・親仁を引き取った彰子は2人目の女院となりました。
賢子は高貴な姫たちを差し置いて御乳母に任じられました。
賢子と頼宗のラブシーン。
頼宗「皇子様を放っておいてよいのか」
賢子「お昼寝中」
頼宗「お前、定頼とも朝任とも歌を交わしているそうではないか」
賢子「私は、光るおんな君ですもの。それがお嫌ならもうお会いしません」
頼宗「俺のような上流の者にめでられておることをありがたく思え」
賢子「さあ どうかしら?」突き飛ばし「上流だって優れた殿御はめったにおられませんわよ」
衛門が読み上げ「北の方様が嬉子様のお体をお触りになるとひどく冷たくおわします。これこそが生きている人から変わってしまわれたということなのですが、殿も北の方様も『わたしたちを見捨ててどこへ、どこへ』とはげしくお泣きになって果てることがありません」
すすり泣きする倫子を見て、衛門「嬉子様のお話はやめておいた方がようございますか?」
倫子「そのままでいいわ」
衛門「果たして私が書いたものは『枕草子』や『源氏の物語』のように広く世に受け入れられましょうか・・・」
倫子「自信を持ちなさい。見事にやってくれています。あなたは 私の誇りだわ」
菅原孝標の娘で、後に『更級日記』の作者となる娘がまひろの家に。
「光る君とは女を照らし出す光だったのです」
まひろを作者だと知らずに『源氏の物語』を読み聞かせてくれていた。
ききょうが遊びに来た。
「何だかお暇そうだけれどもうお書きにならないの?」
まひろ「ききょう様は?」
ききょう「私はもう書く気はございません。私の心をかきたててくださる方はおられませぬし、あの頃のような熱意もありません。
されど思えば『枕草子』も『源氏の物語』も一条の帝のお心を揺り動かし
政さえも動かしました。まひろ様も私も大したことを成し遂げたと思いません?」
まひろ「ええ。米や水のように書物も人になくてはならないものですわ」
ききょう「まことに」
まひろ「でも、このような自慢話誰かに聞かれたら一大事ですわ」
フフフフ。
嬉子に続き、顕信と妍子も亡くした道長は11月になって病が重くなり自ら建立した法成寺に身を移しました。
隆家がまひろの家に来ました。
「なかなかに、風情のある住まいだな。太閤様のお加減が悪いそうだ。そなたもお世話になったのであろう? 大宰府までそなたが参るゆえ面倒を見てやれと仰せになるのはよほどのことだ」
まひろ「娘も取り立てていただきましたので・・・そんなにお悪いのでございますか?」
隆家「嬉子様と妍子様を立て続けに亡くされ、すっかり気落ちされたのであろう。我が子を道具のように使こうた因果だ。ああいう姿を見ると、俺は偉くならなくてまことによかったと思う」
まひろ「大宰府では 大層なお働きでしたのに・・・。都の者はそれを知らないのでございますね」
隆家「俺は先頃、中納言も返上した。内裏のむなしい話し合いなぞに出ずともよくなっただけでも清々した」
まひろ「隆家様らしいお言葉ですこと」
百舌彦がまひろを呼びに来ました。
倫子「私が殿のために最後にできることは何かと考えていたら、あなたの顔が浮かんだのよ。
殿に会ってやっておくれ。殿とあなたは長い長いご縁でしょ。頼みます。
どうか殿の魂をつなぎ止めておくれ」頭を下げました。
道長は横になっていました。
道長「誰だ?」
まひろ「まひろにございます」
道長「か・・・帰れ」
まひろ「お方様のお許しが出ましたゆえご安心くださいませ。全てお話ししました。お心の大きなお方であられます。道長様、お目にかかりとうございました」
道長は左手を出し「先に… 逝くぞ」
まひろは首を横に振り「光る君が死ぬ姿を描かかなかったのは、幻がいつまでも続いてほしいと願ったゆえでございます。
私が知らないところで道長様がお亡くなりになってしまったら、私は幻を追い続けて狂っていたやもしれませぬ」
道長「晴明に寿命を10年やった。やらねばよかった・・・。幾度も悔やんだ。いや、そうではない・・・。俺の寿命はここまでなのだ・・・」
まひろは後ろから薬を飲ませました。
道長「この世は何も変わっていない。俺は一体何をやってきたのであろうか・・・」
まひろ「戦のない泰平の世を守られました。見事なご治世でありました。それに『源氏の物語』はあなた様なしでは生まれませんでした」
道長「もう物語は書かぬのか?」
まひろ「書いておりません」
道長「新しい物語があれば、それを楽しみに生きられるやもしれぬが・・・」
まひろ「では、今日から考えますゆえ、道長様は生きて私の物語を世に広めてくださいませ」
道長「お前はいつも俺に厳しいな」
倫子「そろそろ」
翌日、まひろは扇子を見せた。
三郎の物語を聞かせ「続きはまた明日」
「生きることは、もう良い・・・」
まひろは泣き出してしまいました。
道長は目を開けなかった。
「続きはまた明日」
道長は大きく目を見開いた。
まひろは筆を手に取りました。
道長の「まひろ」と呼びかける声が聞こえました。
道長は布団から手を出し、逃げた鳥を手に受け取る形になったまま、亡くなっていました。
倫子が見つけました。
行成も旅立ってしまいました。
道長と同じ日でした。
公任と斉信がそれぞれ詩を詠みました。
彰子は、天皇への新たな女御を断った。
まひろは駕籠を落として壊して「わたしが鳥になって、見知らぬ所に羽ばたいていこうと思って・・・」
乙丸「姫様、私を置いていかないでくださいませ」
まひろ「乙丸に遠出は無理よ。ここにいなさい」
乙丸「どこまでも・・・どこまでもお供しとうございます」
賢子「新しい物語?」
まひろ「いいえ、これは私の歌を集めたものなの。あなたの手元に置いてちょうだい」
賢子「幼友達を詠んだ歌なのですね」
まひろ「ええ」
賢子「母上にも友達がいたならよかったわ」
まひろは乙丸を連れて旅に出ました。
後ろから馬の乗って5人の武者が走って来ました。
双寿丸「何をしているんだ。こんなところで」
まひろ「何にも縛られずに生きたいと思って。あなたこそ」
双寿丸「東国で戦が始まった。これから俺たちは朝廷の討伐軍に加わるのだ」
まひろ「気を付けてね」
双寿丸「そっちこそな」
双寿丸が去って、まひろ「嵐が来るわ」
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最後にききょうなど登場人物が色々出て来た幕切れではありましたが、道長の最期はあっけなく、それ以外も淡々と進んでいきました。
夫の宣孝も弟の惟規も回想ですら出てきませんでした。
欲のない隆家が一番立派で一番大人だったようでした。
1年間楽しませてくれて、ありがとうございました。
前回の「光る君へ」の記事はこちら(2024年12月15日)
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では、明日。