
明子が「顕信を返せ」と道長に怒鳴って、倒れました。
顕信が比叡山に出家したという知らせは、彰子にも届きました。
兄・俊賢が明子の様子を見に来ました。
明子は目に涙を浮かべていました。
俊賢「(顕信は出家して権力争いから逃れ)心穏やかになったやもしれぬ」
明子「比叡山は寒いでしょう・・・。身一つで行ったゆえ、凍えてはおらぬであろうか・・・」
三条天皇「妍子を中宮とする」
道長「ありがたき幸せに存じます」
三条天皇「中宮 彰子様には皇太后とおなりいただこう。中宮大夫は道綱、中宮権大夫を教通とせよ」
道長「承知つかまつりました」
だが、この話はこれだけでは終わりませんでした。
ひと月後「娍子を皇后とする。一帝二后をやってのけた左大臣だ。異存はあるまい」
道長「それは・・・難しゅうございます。恐れながら近年では大納言の息女が皇后になった例はございませぬ」
三条天皇「それでも朕は娍子を皇后としたい。そなたがこれをのまぬなら朕は二度と妍子のもとには渡らぬ。渡らねば子はできぬ。それでもよいのか?」
道長は 三条天皇の術中に落ちてしまいました。
斉信「このままでは 帝のなさりたい放題だな」
俊賢「ならば、娍子様立后の日に中宮妍子様の内裏参入をぶつけてはいかがでしょうか。帝に左大臣様のお力を見せつけるまたとない折にございます」
公任「確かに公卿らの考えていることは、はっきり見えるな」
行成「そうまでして 皆の心を試さずともよろしいのではございますまいか」
道長「俊賢、公卿らへの根回しを頼む」
三条天皇「左大臣めそう来たか。ならば時をずらそう。妍子の内裏参入は夜であるから娍子立后の儀は昼から行う。さすれば公卿らは どちらにも参れるであろう」
通任「さすが お上。それがよろしゅうございます」
時刻をずらしたにもかかわらず、多くの公卿たちは 道長に遠慮して娍子立后の儀に参加しませんでした。
三条天皇「右大臣も内大臣も来ないのか」
通任「いかがされたのでありましょうか」
三条天皇「右大臣も内大臣もおらねば、立后の儀の上卿を務める者がおらぬではないか」
遠くから「大納言 実資様が参られましてございます」
三条天皇「おお、実資。そなたに立后の儀の上卿を務めてもらいたい」
実資「私がでございますか? 右大臣様と内大臣様は?」
三条天皇「そなたが務めねば、娍子は立后できぬ」
実資「承知しました。天に二日なし、土に二主なし」
一方道長たちは中宮妍子様の内裏参入の儀。
斉信「晴れの日に浮かない顔して」
道長「そのようなことはない」
三条天皇から実資へのお言葉「やっと帝となれたゆえ、政を思いっきりやりたい。それに しかるべき時が来れば そなたを私の相談役にしたいと思っている」
実資「この前は行きがかり上立后の儀の上卿になってしまったが、私は私であって、帝左大臣殿どちらの味方でもない。帝も調子のよいことを」
息子・資平「されど 今こそでございますよ父上」
実資「浮かれるな」
道長「お上は中宮のところにお渡りにならないそうですな」
三条天皇「いつ行ってもうたげを催しており若い男に囲まれて朕のような年寄りが入り込む隙はないのだ」
道長「中宮様がうたげばかりなさるのは、お上のお渡りがなく寂しいゆえにございます」
三条天皇「そのようには見えぬがこれからはそのように思ってみよう。そういえば 比叡山では僧どもに石を投げられたそうだな」
道長「息子の受戒に参列しようとしたら、馬に乗ったまま山に入ったことに腹を立てられまして」
三条天皇「石が飛んできただけでもたたりがあるらしい。しっかりとはらってもらうがよい」
それからも三条天皇は妍子のもとには なかなか渡りませんでした。
道長がまひろのもとへ。
道長「中宮 妍子様のことでお心を痛めておられる。うたげ三昧で無駄遣いもすさまじいゆえ、その悪評が皇太后様のお耳にも入ったようだ」
まひろ「はあ・・・さようでございましたか」
道長「中宮 妍子様のもとに帝がお渡りにならぬのだ。さきの帝と彰子様の間には『源氏の物語』があった。されど今の帝と妍子様には何もない。『源氏の物語』も、もはや役には立たぬのだ。何とかならぬであろうか」
まひろ「私にはどうすることもできませぬ」
道長「それだけのものを書けるお前だ。何か知恵はあるだろう」
まひろ「物語は人の心を映しますが、人は物語のようにはいきませぬ」
道長「つまらぬことを言った」と言って帰って行った。
まひろの仕事場「雲隠」と書いてあった。
まひろは実家へ。
いと「双寿丸がこのごろ毎日のように顔を出して困ります」
まひろ「賢子は まだ子供よ。いとが 心配するようなことはないわ」
いと「裳着はお済ましでございますよ。何が起きても不思議ではありません」
双寿丸が手にけがをしたと言って、賢子が心配して連れて来た。
その夜、道長は病に倒れて倫子が看病した。
道長は左大臣の辞表を出した。
三条天皇「どうしたものか・・・」
道方「返すのが先例にございます」
三条天皇「返したくないがのう・・・」
彰子もお見舞いに来た。
「あのお強かった父上がお倒れになるなんて」
倫子「二度も辞表を出されたのよ」
彰子「それは私のせいやもしれませぬ。敦成が東宮になった時から私は父上と・・・」
まひろに彰子から文「いつまで里におるのだ。早く帰ってまいれ」
道長の病をきっかけに内裏には 怪文書が出回りました。
顕光が読み上げた「左大臣の病を喜んでいる者、大納言・道綱、大納言・実資、中納言・隆家、参議・懐平、参議・通任」
ききょうは隆家に「こういうものが出回っているのは、世の中がすさんでいるからでありましょう。嫌な世になりましたわね。さきの帝の頃はこういうことは一度としてございませんでしたのに」
隆家「俺の名前も書いてあるが、病の左大臣様をお訪ねして、我が身の潔白を申し立てるのも気が引けるしな」
ききょう「放っておけば よろしいのでございますよ。左大臣様のお命は 長くはもちますまい」
道綱が見舞いに来たが、倫子「お帰りになって平癒をお祈りくださいませ」
賢子「母上はもう書かないのですか?」
まひろ「『源氏の物語』は終わったの」
賢子「物心付いた時から母上はいつも私のことなぞほっぽらかして何かを書いていたわ。書かない母上は母上でないみたい」
まひろ「このまま出家しようかしら。あなたには好きな人もいるし、心配することないもの」
夜に琵琶を弾いた。
宇治で静養していたが、道長は顔色が青白かった。
百舌彦がまひろを訪ね「実は 殿様のお加減がおよろしくなく・・・」
まひろは静養先に着き、ぐったりしている道長を見た。
「道長様・・・」そっと声をかけた。
まひろ「宇治は良いところでございますね」
道長「川風が心地よい」
まひろ「川辺を2人で歩きとうございます」
2人は川辺を散歩した。
道長「早めに終わってしまった方が楽だという、お前の言葉が分かった」
まひろ「今は死ねぬと仰せでしたのに」
道長「誰のことも信じられぬ。己のことも」
まひろ「もうよろしいのです。私との約束は お忘れくださいませ」
道長「お前との約束を忘れれば、俺の命は終わる。それで帝も皆も喜べばそれでもよいが」
まひろ「ならば 私も一緒に参ります」
道長「戯れを申すな」
まひろ「私ももう終えてもいいと思っておりました。物語も終わりましたし、皇太后様も強くたくましくなられました。この世に私の役目はもうありませぬ。この川で 2人流されてみません?」
道長「お前は・・・俺より先に死んではならぬ。死ぬな」
まひろ「ならば・・・道長様も生きてくださいませ。道長様が 生きておられれば私も生きられます」
道長は泣きじゃくった。
まひろは筆と紙を出した。
前回の「光る君へ」の記事はこちら(2024年11月3日)
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では、明日。