怖くて飲めない!:自然な状態に病名をつけて薬を売る例、月経前不快気分障害(PMDD)?! | 世界一幸せな医者石川眞樹夫のブログ『今日も好い日だ』

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クリニック光のいずみ院長の石川眞樹夫です。

私は元産婦人科医でしたので、いわゆる月経前症候群の治療にも多く関わってきました。簡潔に言えば、骨盤の冷えを改善するために、食事と排泄を整え、運動量を増やし、パートナーとの適切な関係を保つことが出来れば、月経前症候群の6割以上は自然に軽快します。妊娠出産により症状が軽快する人もかなりいると推定されます。

 

アメリカでは、プロザックの新しい消費者層を増やすために、元々「月経前症候群」と診断されていた女性達をターゲットに、新しい病名月経前不快気分障害(PMDD)という病名を作り出して、プロザックの商品名とデザインを女性に受けるように作り変えて販売するという戦略が行われました。

 

インターネットで「月経前不快気分障害(PMDD)」を検索すると、今では日本語のページも多数ヒットしますので、かつてのアメリカでおこなれた抗うつ薬の販売促進戦略が、今の日本でも継続されていることがうかがえます。

 

ただの月経前症候群とお思いですか? 

でもそれは、もしかすると月経前不快気分障害(PMDD)かも。

ーアメリカで用いられたイーライリリー社のコマーシャル。

 

TVでこんなことが繰り返し放送されたら、生理前後に気分の変調を経験するほとんどの女性が、自分はその『月経前不快気分障害(PMDD)』という精神科の病気なのではないかと気になるのは当然でしょう。

 

販売促進に協力的なコロンビア大学教授、ジーン・エンディコットは、何とアメリカ女性の7%がこの精神疾患だと述べています。それにも関わらず、当初この疾患は、「精神科の診断・統計マニュアル」DSMにはその名前すら収載されていませんでした。

 

( DSM-5では、うつ病や気分変調症(慢性の軽うつ)などと同じ分類にあたる抑うつ障害群の一種として収載されています。)-- DSMに収載されれば、独立した病気と認められて、その病名に適応のある薬を売ることが出来ます。世界中で参照される統計マニュアルに載っているからと言って、その疾患が現に存在しているとは言えないのです。

 

バカ売れしたSSRIプロザックのメーカー、イーライリリー社は1990年台後半のプロザックの特許が切れる前に、プロザックの売り上げを再度活性化する必要があり、ヒット商品を探していました。

 

月経前不快気分障害(PMDD)という病気を作ることが、そのヒット商品を生み出す手段として用いられたのです。

 

1999年のクリスマス前に、FDAはプロザックの適応に月経前不快気分障害(PMDD)を加え、販売の許可を出しましたが、イーライリリー社は、医師と服薬するであろう患者さん達への市場調査を行った上で、同じ薬剤の名前をサラフェムに変更し、色もラベンダーとピンクの色に変更しました。これによって、この薬剤を使用する女性達に、抗うつ薬を飲んでいるという罪悪感をいだかせずに、キャンペーンコマーシャルに登場する女優達のように、「自信にあふれ、同時に人に助けを求めることを恐れない」という病気のブランドイメージを作り上げたのです。

 

しかし、欧州医薬品審査庁では、そもそも月経前不快気分障害(PMDD)は必ずしも独立した疾患とは認められず、それほど重症ではない月経前症候群の女性があやまってPMDDと診断され、不必要なプロザック(サラフェム)の

処方が広まる可能性があると判断し、2003年にの審議でこの薬剤の使用を却下しました。

 

以下は、アメリカで同じように月経前不快気分障害(PMDD)用薬剤を売り込んでいる二つの製薬メーカーの宣伝文句です。人生の困難が原因で生理の前の気分の落ち込みが強くなったすべての女性が、この広告にだまされる危険があるでしょう。そして、現代日本では、この病名も薬も用いられているのです。

 

月経前症候群だと思ってあきらめるつもりですか? もしかするとそれは月経前不快気分障害(PMDD)かもしれません。

ーゾロフト社の広告

 

私はずっとこれを月経前症候群だと思ってきました。でも、いまはそうでないことが分かりました。

不機嫌? 感情的? イライラ? 月経前不快気分障害(PMDD)かもしれませんよ。

ーグラクソ・スミスクライン社のパキシルの宣伝広告

 

人生の一時的ストレスの増加で、普段より強い落ち込みを経験している普通の女性達が、月経前症候群をうつ病の仲間だと思い込まされることがないようにと祈ります。

 

クリニック光のいずみ院長

自然療法医 石川眞樹夫