第5話・前編
墜ちた女王の狂気。すべてを失った女の待ち伏せ
あの幼稚園での大暴露劇から数日。
玲奈さんの噂は瞬く間に近所中に広がり、彼女は娘を幼稚園に登園させることすらできなくなったらしい。
さらに、エリートの旦那さんからは即座にタワマンを追い出され、現在は離婚調停に向けて実家に強制送還される手続きが進んでいると、佐藤弁護士から報告を受けていた。
自業自得。他人の家庭を壊して笑っていたモンスターの、これが当然の末路だ。
そんなある日の夕方。私がパートの帰りに、娘を保育園(拓也との離婚を見据え、急遽預け先を変更していた)から連れてマンションへ戻った時のことだ。
薄暗くなり始めたエントランスの影から、すっと一人の女性が這い出るように現れた。
「……沙織さん」
掠れた声に心臓が跳ね上がる。私は咄嗟に娘を背中に隠した。
そこに立っていたのは、玲奈さんだった。
けれど、かつてタワマンの最上階で優雅に微笑んでいたあの面影は、どこにもなかった。
髪はボサボサで、あれほどこだわっていたハイブランドの服はヨレヨレ。何より、メイクの落ちかけた顔で私を凝視するその瞳は、完全に狂気を孕んでいた。
「何の用ですか? 玲奈さん。これ以上私たちに近づくなら、すぐに警察を呼びます」
私が強い口調でスマホを構えると、玲奈さんはヒヒッ、と不気味な歪んだ笑い声を漏らした。
「警察? どうぞ呼びなさいよ。私はもう、失うものなんて何もないの。あんたのせいで、私の人生はめちゃくちゃよ。タワマンも、夫も、SNSのフォロワーも、ママ友も、みーーんなあんたが奪ったのよ!」
「勘違いしないで。全部、あなたが自分の見栄のために嘘をついて、人を騙した報いでしょう」
「うるさい!!」
玲奈さんは突然激昂し、金切り声をあげて一歩詰め寄ってきた。
「あんたみたいな地味なドブネズミが、私に勝てるわけないのよ! 300万円? 慰謝料? 払うわけないでしょ! 私はね、あんたの家庭が粉々に壊れるところを見るまでは、絶対に諦めないんだから……!」
すべてを失い、完全に壊れてしまった元女王。
その執念の深さに背筋が凍りつく。しかし、私がさらに身構えたその時、背後から猛烈な勢いで走ってくる足音が聞こえた。
「おい!! 玲奈!! お前、俺の妻と娘に何するつもりだ!!」
怒鳴り声を上げて割り込んできたのは、なんと夫の拓也だった――。
💬 管理人コラム
第5話・前編をお読みいただきありがとうございました!
ひぇぇぇ……! すべてを失った玲奈さんが、完全に『闇堕ちヤバめママ友』と化して沙織さんの前に現れました😱 ブランドを剥ぎ取られた彼女の執念、怖すぎます!まさに無敵の人状態……!
そしてこの絶体絶命のピンチに、なぜか息を切らせて登場した夫の拓也!「俺の妻と娘」なんてどの口が言っているんでしょうか!?お前も裏切り者の一員だろーー!💢と全力でツッコミを入れたくなりますね。
次回、第5話・中編では、壊れた玲奈さんVS掌返しの拓也による、最悪の『元不倫相手・詐欺師同士の泥沼キャットファイト』が勃発します!
沙織さんの冷ややかな視線の前で、二人がどんな醜い争いを繰り広げるのか……!?
続きが気になる方は、ぜひ『いいね』やコメントで応援の声を届けてくださいね!👇