第7話(最終話)・前編
終わりの始まり。抜け殻の夫に突きつける最後の審判
不倫相手である三浦香織から、コソコソ貯め込んでいた全財産250万円をその場で吐き出させ、残りの慰謝料の誓約書にサインをさせてから数日。
彼女が今の職場で同僚たちに見放され、針の mushしろ(むしろ)のような日々を送っているという噂を耳にしたが、もはや私にはどうでもいいことだった。
夫の自己破産手続きも着々と進み、主債務者である義姉の元にはサラ金からの容赦ない一括請求が届き始めているらしい。狂気の義実家は今頃、身内同士で醜いなすりつけ合いの地獄絵図を展開しているはずだ。
すべての裏切り者への制裁を終えた私は、いよいよ最後の仕上げに取りかかることにした。
ターゲットは、私の人生を20年間も嘘と借金で縛り付け、最後には泥沼の裏切りを働いた男――夫・健一だ。
久しぶりに帰宅した我が家のリビングで、健一は深くソファに沈み込んでいた。
会社での地位も失いかけ、自己破産で社会的信用もゼロ。かつての優しかった面影はなく、ただ怯えた目で私を見上げてくるだけの「抜け殻」だった。
私はそんな夫の目の前に、一枚の書類を静かに滑らせた。
緑色の縁取りがされた、見慣れた用紙――「離婚届」だ。
「美咲……やっぱり、離婚、なんだな……」
健一の声は掠れ、涙がポロポロとテーブルに落ちる。
「俺がバカだった。実家の借金のストレスで頭がおかしくなっていたんだ。香織とはもう完全に切れた。これからは心を入れ替えて、死ぬ気で働いて美咲に尽くすから……! だからお願いだ、離婚だけは勘弁してくれ……!」
必死に私の膝にすがりつき、泣き叫ぶ夫。
20年間の情が、一瞬だけ胸を過りそうになる。しかし、私は思い出した。
生活費を削られ、嘘をつかれ、不倫女とブランドショップで私の知らない笑顔を見せていた夫の姿を。義実家のために私を踏み台にしようとしたあの冷酷さを。
「健一、勘違いしないで」
私はすがりつく夫の手を、冷たく振り払った。
「あなたに拒否権なんてないのよ。不倫の慰謝料として、あなたの自由財産(破産手続きで処分されない財産)や、これから支給されるわずかなお金からも毟り取れるだけ毟り取るわ。サインしなさい」
「あ……、う……」
「それから、もう一つ伝えることがあるの」
私はカバンから、佐藤弁護士を通じて手に入れた「もう一つの重大な事実」が書かれた書類を取り出した。
それを見た健一の目が、恐怖でこれまでにないほど大きく見開かれた――。
(第7話・中編へ続く)
✒️ 管理人コラム
ついに、最終章である「離婚・決着編」がスタートしました!
あれだけ美咲さんを騙し続けてきた健一が、すべてを失って泣きつく姿には、自業自得とはいえ哀れみすら感じますね。でも、美咲さんの決意は微塵も揺らぎません!
そして、前編のラストで美咲さんが突きつけた「もう一つの重大な事実」とは一体何なのでしょうか……?
実は、夫の隠し事はこれだけではなかったのです。義実家と夫がひた隠しにしていた、最後の爆弾が破裂します!
次回、第7話・中編。すべての嘘が白日の下に晒される、驚愕の展開をお見逃しなく!
皆さんは、泣き落としをかけてくる夫を許せますか?ぜひコメント欄で皆さんの本音を教えてくださいね!