第5話・前編:迫る運命の月曜日。サラ金からの督促と、始まった容赦なき「給与差し押さえ」

運命の月曜日がやってきた。

夫の健一が実家の母親と姉から「実家売却の合意サイン」を勝ち取れず、私に泣きついてから2日後。私はいつも通り淡々と子供たちを学校へ送り出し、平穏な朝を装っていた。

けれど、私のスマホには朝一番で、佐藤弁護士からの短いメッセージが届いていた。

【美咲さん、おはようございます。予定通り、本日午前9時をもって、藤本健一氏に対する債務整理(自己破産)の手続き、および連帯保証債務に関する各債権者への介入通知を送付します】

ついに、引き金は引かれたのだ。


その日の昼過ぎ、私のスマホが激しく震えた。画面に表示されたのは、健一の名前。

電話に出ると、受話器の向こうから、今にも過呼吸になりそうな健一の悲鳴が聞こえてきた。

『み、美咲……!? た、大変なことになったんだ……っ! 今、会社のデスクにいたら、いきなり複数の消費者金融の担当者から、個人名で次々に電話がかかってきて……!』

「あぁ、やっぱりかかってきたのね」

私の冷静な声に、健一は一瞬絶句したようだった。

『知ってたのか……!? 違うんだよ! 「藤本健一さんですか? 義姉の藤本香織さんが返済を延滞されており、連帯保証人であるあなたに一括請求の催告を出しましたが、返答がありません。本日中に全額支払うか、さもなくば法的手続きに移ります」って……! しかも1社だけじゃない、3社から同時にだぞ!?』


健一の声は完全に震えていた。当然だ。

お義姉さんがサラ金から借りまくった420万円。お義母さんとお義姉さんが実家を守るために書類へのサインを拒否した結果、そのすべての牙が、連帯保証人である健一に一斉に向いたのだから。

「だから言ったじゃない。実家を売って返さないなら、全部あなたのところに請求が行くって。お義母さんもお義姉さんも、あなたを見捨てて家を取ったのよ」

『そんな……嘘だろ……母さんと姉貴が、俺を身代わりにするなんて……っ! 美咲、どうにかしてくれよ! 今すぐ420万なんて払えるわけないだろ! 会社にこれ以上電話されたら、俺、本当に居場所がなくなる……!』


受話器の向こうで半泣きになりながら懇願する夫。しかし、現実は彼の想像をはるかに超えるスピードで崩壊へと向かっていた。

「居場所がなくなる? 健一、甘いわよ。電話くらいで済むと思っているの?」

私は一呼吸置き、さらに冷酷な事実を告げた。

「佐藤先生から聞いたわ。あなたが独身時代から隠していたあの20年越しの実家の借金……あれ、お義姉さんのサラ金とは別に、返済が滞ってすでに裁判所から『給与差し押さえの命令』が出てるそうじゃない」

『え……? な、なんでそれを……っ!?』

健一が息を呑む音が聞こえた。

そう、彼は私に「実家のための借金がまだ残っている」とは言ったが、すでに返済が限界を迎え、裁判所から会社宛てに給与差し押さえの手続きが始まっていたことまでは白状していなかったのだ。どこまでも姑息に、私に隠れて誤魔化そうとしていた。それがついに、佐藤先生の調査によって白日の下に晒されたのだ。


「今週中には、あなたの会社の総務部に裁判所から書類が届くわよ。あなたの給料の一部は、私の知らない『実家の古い借金』のために、会社の手で毎月強制的に天引きされる。……あなたが一番恐れていた『会社に借金がバレる』瞬間が、もうすぐそこまで来てるのよ」

『あ……あ、ああ……っ』

健一は言葉にならない絶望の声を漏らした。

会社でのプライド、エリート然とした佇まい、それらがすべて身内の手によって、そして自身の身勝手さによって、音を立てて崩れ去ろうとしていた。

「お義姉さんの420万に加えて、実家の古い差し押さえ。あなたに残された道は、もう『自己破産』しかないわ」

『自己破産なんてしたら、会社に居づらくなる……! 破産コンプレックスの俺が、そんな恥をさらすなんて耐えられない……!』


「じゃあ、勝手に会社をクビになれば? 私たち家族にはもう関係のないことだから」

私が冷たくそう言い放った時、私の背後のインターホンがピンポーンと鳴り響いた。

事前の連絡通り、約束の時間ぴったりだ。

私はスマホを耳に当てたまま、玄関のドアを開けた。そこに立っていたのは、スーツをビシッと着こなした、ある一人の女性だった。

彼女こそ、私が離婚を確実にするために放った【第2の刺客】――。

――第5話・中編へ続く。


✍️ 管理人より

第5話・前編、ついに恐れていた月曜日が始まり、夫への容赦ない追いつめがスタートしました!サラ金からの怒涛の催促電話に加えて、なんと過去の借金による「給与差し押さえ」まで会社にバレる寸前という、まさに自業自得の地獄絵図です…!

💡 さて、前編のラストで美咲さんの自宅に現れた【第2の刺客】ですが…

  • ビシッとスーツを着こなしたこの女性は、一体どんな人物だと思いますか?(ヒント:離婚や子供たちの未来に大きく関わる、美咲さんの強力な味方です!)
  • 会社にも実家にも逃げ場を失った夫・健一は、この後どんな行動に出るでしょうか?

次回、第5話・中編では、ついにこの【第2の刺客】の正体が明らかになり、夫への離婚&慰謝料請求のカウントダウンがさらに加速します!藤本家の崩壊を最後まで見届けたい方は、ぜひフォローといいねをお願いします!