【夫の浮気相手に慰謝料請求したら、夫の借金まで発覚しました】第3話
夫が消えました――残された家族と600万円の現実


夫が消えた。

浮気と借金を残したまま。

まるでドラマのような話だった。

でも現実だった。

私は朝から何度も電話を掛けた。

しかし繋がらない。

LINEも既読にならない。

会社にも来ていないという。

五十一歳の大人が突然消えた。

それなのに。

私の中には心配より怒りの方が大きかった。


娘の涙

高校三年生の娘は、その日から明らかに元気をなくした。

受験を控えている時期だった。

本来なら勉強に集中しなければならない。

それなのに。

父親の浮気。

借金。

失踪。

あまりにも重すぎた。


夜。

娘の部屋から泣き声が聞こえた。

私はそっとドアを開けた。

娘は机に突っ伏していた。

肩が震えている。

私は隣に座った。

何も言えなかった。

すると娘が呟いた。

「お父さんのこと、尊敬してたのに」

私は胸が締め付けられた。

夫婦の問題だけではなかった。

父親としての信頼も壊れていた。


息子の怒り

大学生の息子は逆だった。

泣かなかった。

怒っていた。

異常なほど怒っていた。

帰宅するなり言った。

「もうあの人は父親じゃない」

私は驚いた。

息子は父親が好きだった。

休日は一緒に釣りへ行っていた。

野球も見ていた。

そんな息子が。

初めて父親を「あの人」と呼んだ。


「借金までして不倫とかあり得ない」

「家族を何だと思ってるんだよ」

息子の声は震えていた。

怒りの奥には悲しみがあった。

私は分かっていた。


督促状

夫が消えて三日後。

郵便受けに一通の封筒が届いた。

差出人を見た瞬間。

嫌な予感がした。

消費者金融だった。

私は震える手で開封した。

そこに書かれていた金額を見て固まった。

百二十万円。

残高ではない。

借入残高だった。

しかも一社だけで。


その日から次々に届いた。

督促状。

催告書。

支払い通知。

私はテーブルに並べた。

そして合計した。

震える指で電卓を叩く。

結果を見た瞬間。

頭が真っ白になった。

六百三十二万円。

借金は四百八十万円ではなかった。

私が把握できていただけだった。

実際は六百万円を超えていたのだ。


浮気相手へ連絡

私は迷った末に決断した。

浮気相手に連絡することを。

LINEに残っていた電話番号。

何度も躊躇した。

でも知りたかった。

夫がどこにいるのか。

何をしているのか。


電話は繋がった。

若い女性の声だった。

私は名乗った。

そして言った。

「主人がいなくなりました」

数秒の沈黙。

すると女性は驚いた声を出した。

「え?」

「私も連絡取れてません」


私は耳を疑った。

演技かもしれない。

そう思った。

しかし声色は本気だった。

さらに彼女は言った。

「借金のことなら私も騙されていました」

私は言葉を失った。


知らなかった真実

女性の話は衝撃だった。

夫は彼女に対しても嘘をついていた。

独身だと。

別居中だと。

離婚予定だと。

そう説明していたらしい。

しかも。

お金持ちだとも言っていた。

私は思わず笑ってしまった。

笑うしかなかった。

六百万円以上の借金がある男が。

お金持ち。

滑稽だった。


しかし同時に恐ろしくなった。

私は二十二年間一緒に暮らしていた。

それなのに。

本当の夫を知らなかったのだ。


弁護士事務所

翌週。

私は弁護士事務所を訪れた。

もう限界だった。

素人では対応できない。

そう思った。


弁護士は淡々と言った。

「まず財産を整理しましょう」

「借金の名義を確認しましょう」

「そして離婚するかどうかを決めましょう」

私は聞いた。

「離婚した方がいいと思いますか」

弁護士は少し考えた。

そして答えた。

「それは法律ではなく人生の問題です」

私は黙った。

その通りだった。

法律では答えは出ない。

これから先。

私はこの人を支えるのか。

それとも切り捨てるのか。

その選択だった。


夫からの着信

その日の夜だった。

スマホが鳴った。

画面を見た瞬間。

呼吸が止まった。

表示されていた名前。

夫。

失踪から十一日。

初めてだった。

私は震える指で通話ボタンを押した。

そして聞こえてきた。

弱々しい声。

泣きそうな声。

夫は言った。

「助けてくれ……」

私は思わず立ち上がった。

次の言葉で。

さらに凍り付くことになる。

「もう返せないんだ……」

「借金が……八百万円を超えた……」

(第4話へ続く)


■管理人より

浮気が発覚した後に借金問題まで判明すると、怒りより先に「何が本当だったのか分からない」という感情になる方も少なくありません。

今回のように、配偶者だけでなく不倫相手も騙されていたケースは実際に存在します。

また、借金問題は発覚時よりも後から金額が膨らむことが多く、家族にとっては精神的にも経済的にも大きな負担となります。

皆さまなら、失踪した配偶者から「助けてほしい」と連絡が来たらどうしますか?


■読者さまの体験談を募集しています

・配偶者の失踪経験
・借金問題で悩んだ経験
・不倫発覚後の対応
・離婚か再構築かで悩んだ話
・弁護士へ相談した体験

似た経験をお持ちの方はぜひコメント欄で教えてください。


▼第4話はこちら
【離婚届に判を押した日――夫が明かした借金800万円の真実】