【夫の浮気相手に慰謝料請求したら、夫の借金まで発覚しました】第1話
夫のスマホを見た夜

「ちょっとコンビニ行ってくる」

そう言って夫が家を出たのは、夜の十時を過ぎた頃だった。

私はキッチンで洗い物をしていた。

結婚して二十二年。

夫は五十一歳。

私は四十八歳。

高校生の娘と大学生の息子がいる、ごく普通の家庭だった。

少なくとも、私はそう思っていた。

あの日までは。


夫の変化

半年前くらいからだった。

夫の様子がおかしくなったのは。

帰宅時間が遅くなった。

休日出勤が増えた。

スマホを手放さなくなった。

以前はリビングのテーブルに置きっぱなしだったのに、今ではトイレにまで持っていく。

お風呂にも持ち込む。

寝る時は枕の下。

そんな生活になっていた。

最初は仕事が忙しいのだと思った。

年齢的にも責任ある立場だ。

仕方ない。

そう自分に言い聞かせていた。

でも女の勘というものは恐ろしい。

違和感は少しずつ積み重なっていった。


夫は急に服装を気にするようになった。

白髪染めを始めた。

香水まで付けるようになった。

私は聞いた。

「どうしたの?」

すると夫は笑った。

「営業だからな」

それだけだった。

でも。

二十二年も一緒にいると分かる。

嘘をついている顔だった。


通知

その夜。

夫が出掛けて十分ほど経った頃。

ダイニングテーブルの上でスマホが震えた。

私は一瞬固まった。

夫がスマホを忘れて行ったのだ。

初めてだった。

本当に初めてだった。

画面が光る。

そこに表示された名前。

「美咲♡」

私は息を飲んだ。

頭が真っ白になった。

心臓が激しく音を立てる。

見間違いであってほしかった。

仕事関係であってほしかった。

でも。

そんな名前の取引先がいるだろうか。

しかもハート付きで。


スマホは再び震えた。

プレビューが表示された。

「今日は会えなくて寂しい」

その文字を見た瞬間。

膝から力が抜けた。

浮気だ。

間違いない。

夫は浮気している。


見てはいけないもの

私は十分ほど葛藤した。

スマホを見るべきか。

見ないべきか。

でも。

もう後戻りはできなかった。

夫婦の信頼は、とっくに壊れていたのだ。

指が震えながら画面を開く。

パスコードは夫の誕生日だった。

昔から変わっていない。

皮肉だった。


LINEを開いた。

そこには。

見たくなかった世界が広がっていた。

「会いたい」

「昨日は楽しかった」

「奥さんにバレてない?」

「来月も旅行行こうね」

旅行。

私はその文字で吐き気がした。

夫は出張と言っていた。

温泉旅行だったのだ。

女と。


写真もあった。

二人で肩を寄せ合う姿。

レストラン。

観光地。

笑顔。

私が知らない夫の顔だった。

二十二年見てきたはずなのに。

私は何も知らなかった。


離婚

その言葉が頭をよぎった。

離婚。

浮気。

慰謝料。

証拠。

冷静にならなければならない。

感情的になったら負けだ。

SNSで何度も見てきた。

証拠を集めること。

記録を残すこと。

私は写真を撮った。

LINE。

ツーショット。

日付。

全て。


ところが。

その時だった。

私はある通知を見つけた。

銀行アプリだった。

見慣れない残高通知。

なぜか胸騒ぎがした。

私はアプリを開いた。


もう一つの裏切り

預金残高。

生活費口座。

家計管理用口座。

見覚えのない引き落とし。

数万円。

十万円。

五万円。

三万円。

繰り返されている。

私は混乱した。

こんな支出は知らない。

夫婦共有の口座だ。

なぜ。

どうして。


さらに調べた。

すると見つかった。

消費者金融。

カードローン。

リボ払い。

信販会社。

私は目を疑った。

一件ではない。

二件でもない。

三件。

四件。

五件。

次々に出てくる。


頭の中で何かが崩れ落ちた。

浮気だけではなかった。

夫は借金までしていたのだ。

しかも私に隠れて。

家族に隠れて。

子ども達に隠れて。


私は震える手で最後の明細を開いた。

そこに表示された数字を見て。

全身の血の気が引いた。

口座残高。

そこには。

「7円」

と表示されていた。


七円。

私たち家族の生活費口座に残っていた金額が。

七円だった。

私はその場に座り込んだ。

涙も出なかった。

怒りも湧かなかった。

ただ一つだけ思った。

私は夫の何を見ていたのだろう。

そして、この人とこれからも生きていけるのだろうか。

その答えを知ることになるのは。

まだ少し先の話だった。

(第2話へ続く)


■管理人より

夫の浮気だけでも大きな裏切りですが、その裏で借金まで発覚すると精神的なダメージは計り知れません。

特に長年連れ添った夫婦ほど、「まさかうちの夫に限って」という思いが強く、現実を受け止めるまでに時間がかかる方も少なくありません。

また、浮気問題とお金の問題は切り離せないケースも多く、気付いた時には家計が破綻寸前だったという話も珍しくありません。

感情的に問い詰めたくなる気持ちは当然ですが、まずは証拠の確保と現状把握が大切です。

皆さまは、もし配偶者の浮気と借金が同時に発覚したら、すぐに離婚を選びますか?それとも再構築を目指しますか?


■読者さまの体験談を募集しています

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【浮気相手より衝撃だった――夫の借金総額を知った日】