夫の借金発覚① ポストに届いた一通の封筒
それに気づいたのは、本当に些細なことでした。
ある日の夕方、私はいつものようにポストを開けました。
チラシと、電気代の明細。
そして、見慣れない茶色の封筒が一通入っていました。
差出人は、聞いたことのない会社の名前でした。
「なんだろう…?」
最初は特に気にしていませんでした。
夫の仕事関係の書類かもしれないと思ったんです。
でも、その封筒を手に取った瞬間、少し違和感がありました。
宛名は夫の名前。
そして、その横に小さく書かれていた文字。
「重要」
なんとなく嫌な予感がしました。
私は一度その封筒をテーブルに置きました。
「帰ってきたら渡せばいいか」
そう思ったんです。
でも、その日夫は帰りが遅かったんです。
子どもを寝かせて、家の中が静かになった頃。
テーブルの上の封筒が、やけに気になりました。
私はしばらくそれを見つめていました。
開けるべきじゃない。
でも、どうしても気になる。
そして結局、私は封筒を手に取りました。
ゆっくりと開けます。
中には一枚の紙が入っていました。
そこに書かれていた言葉を見た瞬間、
私は固まりました。
「お支払いのお願い」
その下に書かれていた金額。
「残高 864,000円」
頭の中が真っ白になりました。
「え…?」
思わず声が出ました。
何度も紙を見直しました。
でも、何度見ても同じです。
夫の名前。
そして、80万円以上の借金。
手が震えました。
夫は普通の会社員です。
ギャンブルもしません。
お金遣いが荒いタイプでもありません。
結婚して10年以上になりますが、
借金なんて一度も聞いたことがありませんでした。
私はしばらくその紙を見つめていました。
何かの間違いかもしれない。
そう思いました。
でも、その紙にはしっかり書かれていました。
「お支払い期限」
そして、その日付は――
一週間後
でした。
その瞬間、玄関のドアが開く音がしました。
「ただいまー」
夫が帰ってきました。
私は慌てて紙をテーブルの上に置きました。
心臓がドクドクしています。
夫がリビングに入ってきました。
そしてテーブルの上の封筒を見ました。
その瞬間。
夫の顔色が変わったんです。
ほんの一瞬でした。
でも、私は見逃しませんでした。
夫は慌てて封筒を手に取りました。
そして言いました。
「これ、仕事のやつだから」
私は静かに言いました。
「もう見たよ」
その瞬間。
夫は完全に固まりました。
リビングの空気が一気に重くなりました。
沈黙が続きます。
そして私は聞きました。
「これ、どういうこと?」
夫はすぐには答えませんでした。
ただ、目をそらしました。
その姿を見て、私は確信しました。
これは間違いじゃない。
本当に、借金なんだ。
そして夫は、やっと口を開きました。
「……ごめん」
その一言で、すべてがわかりました。
でも、本当の問題はここからでした。
私はまだ知りませんでした。
この借金が、
80万円どころではなかった
ということを。
次回。
夫の口から語られた「本当の金額」に、私は言葉を失いました。
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