不安のある人は、しゃべります
一を尋ねると十返し、それでもまだしゃべり続けます
しゃべるスピードも大変に速くて
よく聞いていると微妙に整合性がずれていたりします
自分では正しく判断しているつもりなのですが
物事が整理できていないので
解決の糸口は、手の間からすり抜けていきます
抑うつ、とまではいかなくとも
肝や心の病証ではこうした状態に陥ることがあります
非常に大雑把ですが
ストレスが強ければ 肝
不安が強ければ 心 の病証です
例えば 心の機能失調の場合
主婦でもスケジュール帳は一杯
毎日必ず、外出するようにしている
運動は大好きで、ヨガやジャズダンスなど常時2種類は行っている
夕食後は趣味の工芸に没頭する
最近、頭部に違和感を覚えて嘔吐したので
脳外科にかかるが、異常なし。
ビタミン剤と安定剤を処方されている
血液検査での異常を経過観察するために内科へは月一回
ここでも漢方薬を処方されて服用
お友達の韓国人にも韓方薬を処方してもらっている
生来真面目で探究心も強いので
不調を軽減できそうなことは何でも試している
本も読み、思いつく限りの医者にもかかり
コーヒーをやめ、ハーブティーに
生姜も、高麗人参も欠かさない
一度の診療で
彼女は自分の半生を語り
夫の母校も
舅の性格も
お子さんの学校生活も
何もかも語っているのに
本当の気持ちだけは決して語らない
妻として、母として、嫁として
しなければならないことは際限なくある
自分の不調が許せない
何でも自分でしなければ気がすまない
家事も育児も、おもてなしも
何もかも自分でコントロールしてきたのに
自分の身体だけが制御できない
同居が嫌、親戚の接待が嫌、転勤族で環境が変わるのが嫌
「もう少しいい加減になりましょうか?」
彼女の息継ぎの合間にやっと言ってみる
どうしたらいい加減になれるのか、彼女はしゃべりながら考えている
その中に答えがあるのに
彼女だけが気づかない
もしくは、気づいていても
実行すると危うい均衡が壊れてしまうのがわかっているので、気づかない振りをして通り過ぎる
「早く因果関係をはっきりして
中途半端な状態から抜け出したいとお考えになるでしょうけれど
身体には、身体のペースがあります。
身体への関心は非常に高くていらっしゃるのですから
きっかけがつかめれば
全てが良い方向へまわり始めますよ
身体のペースを少し見守って見ましょう」
やっと彼女はおしゃべりを止め
ぼーっとした顔をしているのが恥ずかしいと何度も言いながら
帰っていきました
きっと、今日はビタミン剤も安定剤もいらないでしょう
たぶん、せめて今のような状態の時だけでも
ご主人が、子供をあやすように
彼女を抱っこして
寝付くまで背中を撫でて下さるだけで
少なくとも安定剤は全く必要がなくなるのに
と、思うのは楽観的すぎるでしょうか
