kyupinの日記 気が向けば更新 -888ページ目

エビリファイ(その3)

エビリファイは、2002年にアメリカでいち早く発売された。大塚製薬が開発したのにもかかわらず、日本ではなく先に海外で発売されているのである。エビリファイは、アメリカでは30mgまでの用量で使用されるが、時に45mgまで使用できる。けっこう評判が良く、売り上げを伸ばしているらしい。日本では24mgまでの処方で、時に30mgまでとされるが、アメリカとの差がさほど大きくないような感覚がある。エビリファイの薬効であるが、換算では24mgはコントミン600mgに相当すると言われる。セレネースだと12mgだ。日本の治験では、15mg程度使われたことが最も多かったらしい。だいたい治療域は6mg~24mg程度とされている。


最近、既に30~40人くらいの患者さんに処方しているが、あんがい少ない量でも薬効が大きいような気がし始めている。6mg追加処方しても全然違う場合がある。アメリカでは単剤で使用することが多いらしいので、置き換えてできるだけ単剤で行くように努力はしているが、今のところ単剤が実現した人は少ない。表情が明るくなると言うか、いかにも非定型という感触はあるが、効き方はジプレキサやセロクエルなどとだいぶん違うね。


ところで、未だに大塚製薬は全くといって良いほど宣伝をしていない。大塚製薬は今まで向精神薬を発売した経験がないので、ひょっとしたら慣れていないというか、どうしたら良いかわからないんじゃないの?と思ったりしていたが、最近ちょっと考えが変わった。発売直後は調査が義務付けられており、この時期、いらん宣伝をして、副作用(報告)がたくさん出てきたら非常に困る。つまり、9月頃まではじっとしていた方が会社としては利口なのだ。詳細な勉強会をして、比較的珍しい副作用まで意識されると、とうてい挙がらなかったかったであろう副作用報告も出てくる可能性がある。あまりにも副作用報告が多い場合、厚生労働省に心証が悪くなる。なんつったり。


服装

このところ、強烈な暑さが続いていたわけだが、さすがにちょっと夏バテ気味。先日、東京に行って暑い中、歩き回ったのも効いているような・・ 普段、僕は夏はケーシーを着ている。(ケーシーというのはブラックジャックが着ている半袖の白衣)これはランニングシャツにそのまま着れるので身軽でよい。下は普通のメンパン。病院に行く時は、ポロシャツとメンパンだ。最低限、Tシャツは着ていかない。なぜTシャツではダメなのかというと、急に措置入院とか鑑定で呼び出されることがあるから。例えば、警察署とか検察庁とか刑務所に行かねばならなくなるので、あまりにラフだとちょっと恥ずかしい。(まあ良いのかもしれないけどね。気にしない人もきっといると思う)


医師というのは年齢にも役職にもよるが、背広があまり必要ない職業なんだな。病院に限れば、スーツを着ていくことは春夏秋冬、ほとんどない。僕は季節により何組か持っていたが、年間に数回しか着ない感じだった。4年前くらいに院長になって、院長会なるものが時々あるので背広は以前より必要になった。背広というか、スーツあるいはジャケットなんだが、こういうフォーマルな場所に着ていくようになると、季節で変えないとおかしいので意外にお金がかかる。ネクタイも、いろいろ種類を揃えたり。僕は、エルメスの動物柄のネクタイに絞り数本買った。院長になってからも、スーツはあまり着ないのでもったいない感じだった。次第に慣れてくると、少しズルをしてあまりネクタイをしなくなった。ネクタイは素早くできないのだ。(慣れてないので、なかなか端が揃わない) 夏なら、ポロシャツ、パンツ、おとなしめのジャケット、くらい。


精神科医は全般に変わった人が多いのか、こういうフォーマルな場面でも中にズンだれた格好の人がいるので、この程度なら目立たない。院長会ならまだ良い。それなりに社会的地位もあるので、これはあまりにもという人は少ない。同門会や勉強会では、もっとちょっとひどい格好の人の頻度が増える。あんた、もうちっとマシな格好して来いよ。と言ったところ。しかしここがポイントだが、若い人の格好はそう変ではないのである。なぜかと言うと、あとで指導教官からいろいろ言われる可能性もあるので、わりと無難にしているから。若くて注目を集めるような妙な格好をしているのは、真に大物か、頭が逝っているかどちらかだろう。むしろ、年配の人に変な格好な人が目立つ。頻度的には。近年は比較的まともになったというか、普通の人が多くなった印象がある。そんな会があっても、雰囲気がそれほど変に感じないもの。


今の若い世代の人は古い人たちに比べ良くも悪くも個性がないと思う。精神科医でかなり経験があって、ズンだれた格好の人々(そう多くはない)だが、僕なりの考察を進めた結果、ある結論に達した。しかし、ここで話すのは自粛したい。


トフラニール

一般名:イミプラミン

半減期:9~20時間(未変化体) 代表的な3環系抗うつ剤のひとつ。うつ病の他、夜尿症などにも使用される。一般に、原因のはっきりしない疼痛はうつ状態が背景にあることがある。そのような痛みに試みる価値のある薬物でもある。しばしば、抗うつ剤の新薬の治験で2重盲検の対照薬物になっている。効果は強い方である。3環系抗うつ剤の中では眠さが比較的少ないという特徴がある。トフラニールは構造式がコントミンと良く似ている。もともとコントミンなどの抗精神病薬を作ろうとしていて、偶然発見された歴史を持つ。トフラニールはそれ自体バランスの良い薬物プロフィールを持つ。セロトニンとノルアドレナリンの再取り込み阻害作用は五分五分である。しかし体内でデシプラミンに変化し、これは強いノルアドレナリンの再取り込み阻害作用を持つ。したがって全体としては、ノルアドレナリンの再取り込み阻害作用が強くなっている。ドーパミンの再取り込み阻害作用はほとんどないか、わずかである。(日本ではデシプラミンは発売されていない。世界的にみても発売されている国は少ない)

 

ナルコレプシーという疾患があるが、これは睡眠発作などの特徴のある症状がある。ナルコレプシーを精神科外来で初診でみることは極めて稀である。睡眠外来などを専門を標榜している病院なら、わりと診るのかもしれないが。ナルコレプシーなど眠さを主訴に初診するように思えるが、実は必ずしもそうではなくて、意外に不眠を訴えて来院したりする。睡眠のバランスが崩れているためだ。そこで、うつ病と(誤診して)トフラニールなどを処方して、偶然、ナルコレプシーも良くなったりするらしい。これはけっこう有名な笑い話だったりする(過去形)。トフラニールは、ナルコレプシー、周期性傾眠症、夜尿など、精神科でも睡眠にまつわる疾患に親和性が高い。ナルコレプシーや周期性傾眠症など、いつも眠くなるような疾患に使えるところが、3環系でも比較的眠さが少ない薬物らしさが出ていると思う。

 

ところで、副作用だが一般の3環系抗うつ剤とあまり大きな相違がない。(口渇、便秘など) 現在、僕の患者さんでこの薬物を処方している人は、たった数人しかいない。数えたことがないのだが、おそらく10人もいない。一時、この薬物で治療していても、後にトリプタノールやアナフラニールに変えてしまったりするからだ。うつ病メインで治療している際に、トフラニールからトリプタノールに変更した場合、同じミリ数でも以前より良いという人が多いので、やはり薬効的には、トリプタノールの方がやや強いのかなと思う。しかし、アナフラニールやアモキサン程度なら、あまり差を感じない。

(これは2000年頃にウエブにアップしたものをいくらか加筆したものです)

 

デパス

一般名;エチゾラム

これはマイナートランキライザーで、吉冨薬品の自社製品。マイナートランキライザーのうち、純粋に日本製というのは少ないんじゃないのだろうか?日本製なので、特にアメリカに輸出していることもなく、日本でとても使われているわりに資料がない薬ではある。アメリカで発売されると、FDAが気合を入れて調査するのでエビデンスが充実する。アメリカでは、個々の薬剤について催奇形性などのランキングが公式に発表されており、非常に勉強になるというか医師からすると助かる。アメリカで発売されていないくらいなので、日本しか売られていない薬剤かと思っていたが、韓国でゾロが売られているという話もある。(未確認) デパス非常に安価な薬であり、以前はデパスにゾロがあるのが不思議でたまらなかった。(ゾロ=ジェネリック) しかし、このように安価な薬物でもゾロになると病院の納入価が正規品より安いので、意味があるのである。つまり定価からの値引率が大きい。これを薬価差益が大きいと言う。しかしなにしろデパスは安すぎるので、メチャクチャな量を処方しないと、元が取れないというか、ゾロを導入した甲斐がないのではないかと思われる。


さてデパスだが、0.5mg、1mgの2剤型があり、1mgが若干大きい。1日に0.5mg~せいぜい3mgまでが使用範囲であることが多い。もともとの薬効だが、不安といわゆる分裂病(統合失調症)の不眠に適応があった。今は、統合失調症の不眠と言っても、病名にこだわらず使用されるようになっている。つまり、デパスは昼も夜もいつでも使える薬剤なのである。抗不安作用はマイナートランキライザーの中では強い方で、眠さも慣れるとそれほどではなくなる。半減期が短い方であり、ハルシオンに見られるような健忘が出現することがある。筋弛緩作用もあり、時に老人の転倒や若い人でも階段で空足を踏むような影響が出ることがある。僕はデパスは一般科で使われ過ぎだと思う。筋弛緩作用が強調されて、肩こりなどに安易に使われている。デパスは、(精神的に)何もない人に使うには強すぎる。デパスは、ごく軽度のうつ状態に効果があるように見えるが、本格的うつ病にはほとんど効果がない。しかし、本格的なうつ状態にも、それに付随する恐怖、不安には上乗せで効果が期待できる。ちょっと不思議な作用ではある。


ところで、上に分裂病の不眠と書いたが、もともとこんな経緯があるのか1ヶ月処方が可能である。実は本邦では睡眠薬全般が管理を厳しくすべき薬剤の範疇に入れられており、たいていの睡眠薬は2週間処方までしかできない。しかしデパスは1ヶ月処方が可能なのである。ロヒプノールやハルシオンなどが2週間処方までしかできないのはなんとなくわかる。一方、アモバン、リスミーなどが1ヶ月処方可能なのがよくわからない。このあたりは、少し緩めてもらわないと臨床的にはちょっと困るルールなのである。今年の薬価改正時に、精神病院協会がすべての睡眠薬を1ヶ月処方できるように国にお願いを出していた。その後、処方できるようになったとか話を聞かないので、きっとアクセプトされなかったんだろうなと思う。僕は、デパスはあまり使わないタイプの精神科医に入る。最も使わないタイプくらいかもしれない。全然使わないってことはないけどね。


この連休は・・

このブログは日記なのに、日記らしいことが全然書かれていない。ちょっとそれらしいことを。この連休は東京に遊びに行った。毎回、嫁さんが意味なくついて来る。金曜日から2泊3日のスケジュール。ある目的があったのだが、それは内緒。日曜日の夜に帰ってきて、今日(月曜日)は午前中だけ出勤。今回は僕はほんとすることがなくて、有楽町のビックカメラで音楽のDVDを買ったぐらい。計6本ほど買ったが、これは別に東京で買わなくても良いもので、単に荷物を増やしただけだった。ビックカメラは音楽DVDの専門店でなんでもないのだが、結構揃っていたような気がする。あまり高いものはなくて、2300~3600円以内のものが大半だった。特に輸入盤を選んだ。実は、輸入盤の方が録音状態が良いような気がしているからだ。それでわりと安かったのだが、僕の場合、5000円以上すると買うかどうか少し迷う。


DVDは、CDに比べ音質自体はやや落ちるとされており、おまけに録音状態があまり良くないものが含まれる。(ライブの場合) インタビューが多すぎて、たいして曲がないものもある。今回は、帰ってきて、まだ2枚しか聴いていない。たいてい、東京に来たら秋葉原に行くのだが、今回は行くタイミングを逸した。ちょっと良くなかったことは、デジカメが壊れていたこと。撮るときに気付いた。いつのまに壊れたんだろうという感じ。ずっとデジカメの小型で軽いものを買いたかったのだが、、今のカメラも自分には十分なほど高性能なので、いざ壊れてしまうと修理したくなる。全然傷もついてないしまだあまり使用してもない。ま、使わないから壊れやすかったりするのだけど。あと以前からの友人に会った。彼は東京の人で東京で仕事もしている。ずっと以前は、掲示板でのみ会った(というのも変だけど)ことのある人だったが、一度オフ会をして以来、たまに会うようになった。もう最初に会ってから、4~5年経ってしまったのではないかしらん。彼は僕よりかなり若いが、最初に会う前は、もう少し年齢が近いかと思っていた。ネットの世界は、年齢はわかりにくいね。今回、新宿で飲んで奢ってもらった。というか、いつも奢ってもらうのだが。


会う直前、銀座で食事をしていたのだが、コースの食事が来るのが遅い遅い。予定が狂って大幅に遅れた。午後9時半頃に会う予定だったが、実際会ったのは11時に近かった。彼には全く気の毒だった。今回の話題だけど、Wカップの反省会。というのも、あまりにもふがいない結果だったので、何が悪かったかが話題になった。もちろん結論は、(以下自粛・・ もっとも、僕らが反省しても何も変わらないのだけどね。僕はイタリアの優勝をブログで予想しており、そのとおりになった。ま、イタリアがドイツに勝った時点で変更したのだが。イタリアは、セリエAで大不祥事があったため、今回は予選リーグさえ勝ち抜けない可能性もあると思っていた。しかしチェコに強い勝ち方をしたので、始まる以前より評価を上げた。彼は、明け方の試合はすべてテレビで生観戦したんだそうだ。なんという気合。僕は、そこまでのガッツはない。体力もないけど。イタリアの勝因だが、前回のユーロ2004の最後の試合に伏線がある。(と思う)


イタリアは、ユーロ2004ではグループリーグで敗退した。最終戦、イタリア、デンマーク、スウェーデンの3国に決勝トーナメント進出の可能性が残されており、ブルガリアは可能性がなかった。イタリアは、エース、トッティが相手選手に唾を吐いて3試合出場停止の重い処罰を受けたこともあり、苦しい戦いを強いられていた。グループ最終戦は、デンマーク対スウェーデン、イタリア対ブルガリアが同時刻に行われ、もしデンマーク対スウェーデンが2-2以上のタイスコアで終わった場合、イタリアは勝っても可能性がないという厳しい条件であった。しかしサッカーを良く見る人ならわかるが、サッカーの試合で2-2以上のタイスコアなんていう結果はそう起こるものではない。サッカーは、普通、2点取れば、勝てるスポーツだからだ。イタリア対ブルガリアは大変な試合になった。ブルガリアは勝ってもおかしくないほどの良い出来で、それまでのテイタラクがウソのようであった。1-1の同点のまま終盤になり、ブルガリアはペナルティエリア付近のフリーキックのチャンスを得た。


この時、イタリアのゴールキーパー、ブッフォンのスーパープレーを見た。至近距離から放たれたブルガリアのフリーキックは壁を越えて、ほとんど直前までキーパーからは見えないような曲がり方で来た。それをブッフォンは、超人的な反応ではじいたのである。大ピンチをしのいだイタリアは終盤、パワープレーを展開しロスタイムに奇跡的にカッサーノがゴールを決め勝利する。結局、デンマーク、スウェーデン、イタリアは勝ち点5で並んだのだが、デンマーク、スエーデンが2-2で引き分けたために、イタリアは3位になってしまった。


デンマーク対スウェーデンは、2-2になった時点で双方積極的には攻めず大人しい展開になった。なぜなら、イタリアがいかなる結果になろうと、その2チームの決勝トーナメント進出が決まっていたからである。試合終了後、決勝点を決め大喜びするカッサーノに、グループリーグ敗退が伝えられる。みるみるうちに落胆の表情に変わった。あれほどの残酷な結末もそうないであろう。試合前には、イタリアはブルガリアに勝てばほぼ大丈夫と思っていたはずだ。僕はイタリアのこの終わり方がとても良かったような気がしている。ライバルの展開次第では勝っても仕方がないのだが、それでもなお全力を尽くして戦い勝利した。これこそ勝負の女神が微笑むきっかけであり、今回の幸運を呼び込む伏線であったと思っている。