1988年
19歳の時に読んだ小説がある
『雨の日には、車をみがいて』
著者は、五木寛之氏
時はバブル真っ最中だけれど、
この小説の時代背景は
それよりさらに20年前の設定
ビートルズが来日した頃の話
この短編小説集の中で
19歳の私が現在までずっと感銘を受けた
ある台詞がある
ストーリーの中の
「たそがれ色のシムカ」に出てくる
女性の台詞
*********
よくいるわよね
ほら、
自慢の車を洗車したあとに雨に降られると
舌打ちしたりするような、嫌な男が
ああいうのは、絶対に女に嫌われるタイプよ
車は雨の日こそ磨くんだわ
ピカピカに磨いたボディに
雨の滴が玉になって走るのって
すごくセクシーだと思わない?
雨の日に車を磨くのをいたがる男なんて、
最低ね...
*********
19歳の私は
こういう「心意気」のある大人になりたい。
と素直に思った
そう
「心意気」
例えば、女性なら
雨の日だからって
黒い服を着るんじゃない
雨の日だからって
ペタンコ靴を履くんじゃない
雨の日【にもかかわらず】
白い服を「着こなす」
ヒールの靴を「履きこなす」
そう!
乗りこなす
着こなす
履きこなす
男も女も
【こなして】こそ、美しい大人なんだと思った
そのために
どんな場面でも堂々とした
オーラを纏った大人になりたい…
そうありたいと思った
*********
後に
ドライブデートをしたボーイフレンドに
こんな人がいた
彼はその時
ちょっとした高級車に乗っていた
お茶をするために停めたお店の駐車場で
車のボディに
軽くキズが付いているのを見つけ、
「どこで付いたんだよ、このキズ!」
と、明らかに憤慨しながら
その日寄った場所や、通った道を
事細かく思い出しては
ブツブツ言い出した
また別の日
車に鳥のフンが付いているのを見つけ、
アタフタし始めた
そして、
車から降りて帰り際の私に
「ねぇ、ウェットティッシュ持ってない?」
一生懸命フンを取ってる姿は、
まったく素敵じゃない
『この車を、乗りこなせてないよね』
『この車に、負かされてるよね』
その車を
心から好きで乗っているわけじゃなく、
自分の価値を上げるために乗ってるんだな
そう思った
*********
同じく、女性なら
その日の服のコーディネートに
まったく合っていない
ブランド物バッグを持っている人
そのブランドバッグを際立たせたいのなら
服はワントーンにした方がずっと素敵なのに…
と思ってしまう
あるいは
そのコーディネートを着たいのなら、
安くても無地のバッグの方がずっと素敵なのに…
と思ってしまう
「高級アイテム=すごい」
とは思わない
「高級アイテム=その人の価値を上げる」
とも思わない
アイテムは、あくまでもアイテム
高級車だろうと
高級時計だろうと
高級バッグだろうと
高級タワーマンションだろうと
【アイテム>自分】
になってる人は、素敵じゃない
やっぱり
【自分>アイテム】
の人の方が、ずっと素敵

「雨の日には、車をみがいて」
そんな心意気を、
何歳になっても持ち続けていたい
80歳を過ぎても
7センチヒールを履いて
笑顔で颯爽と歩く自分でありたい

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