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『偽造契約書の証拠・視覚化』 を見れば良く分かります
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平成28年1月21日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成27年(ネ)第5141号損害賠償額請求控訴事件(原審・甲府地方裁判所平成26
年(ワ)第328号)
口頭弁論終結日 平成27年12月8日
判 決
山梨県甲斐市宇津谷5154
控訴人 栁本貢一
山梨県韮崎市一ツ谷1895番地
被控訴人 梨北農業協同組合
同代表者理事 澤井實
同訴訟代理人 梶原等
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴人の当審における拡張請求を棄却する。
3 当審における訴訟費用は全て控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、396万9965円を支払え(控訴人は、当審
において、原審における302万7000円の請求を、このように拡張した。)。
第2 事案の概要
1 本件は、控訴人の父親を共済契約者及び被共済者とし(その後、共済契約者
及び被共済者を控訴人に変更)、被控訴人を共済者として両者の間で締結された
建物更生共済契約について、控訴人が、被控訴人に電話で解約を申し出たにも
かかわらず、被控訴人が解約返戻金151万8600円を支払わず、その後も
同契約の継続を前提として同契約に係る掛金合計120万8400円を被控訴
- 1 -
人に開設していた控訴人名義の預金口座から継続的に引き落とすとの不当な処
理をしたと主張して、被控訴人に対し、不当利得返還請求又は不法行為に基づ
く損害賠償請求として、上記合計272万7000円の支払を求める(①)と
ともに、被控訴人の従業員が自ら用いた燃料費のうち少なくとも14万円を上
記控訴人名義の預金口座に無断でつけ回して引き落としていたと主張して、被
控訴人に対し、不当利得返還請求として14万円の支払を求め(②)、さらに、
上記①②の各請求に被控訴人が応じないために控訴人が本件訴えの提起を余儀
なくされたと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料16万円
の支払を求め(③)、以上合計302万7000円の支払を請求した事案である。
原審は控訴人の上記各請求をいずれも棄却したところ、これに不服の控訴人
が控訴をした。
さらに、控訴人は、当審において、上記①の損害の内容を変更して増額する
(増額後の請求額は346万8540円)とともに、上記②③の損害額も増額
する(増額後の請求額は②が14万1425円、③が36万円)旨の訴えの変
更をし、合計396万9965円の支払を求めるとして、その請求を拡張した。
2 当事者の主張は、次項のとおり原判決を補正するほかは、原判決の「事実」
欄の「第2 当事者の主張」に記載のとおりであるから、これを引用する。
3 原判決の補正
(1)1頁25行目から2頁5行目までの全文を以下のとおり改める。
「イ 被控訴人は、平成3年頃に本件共済契約が解約されたにもかかわらず、
解約時点での返戻金75万円(㋐)を控訴人に支払わず、逆に、平成4
年以降、平成13年までの間、本件共済契約に係る掛金を、被控訴人に
開設された控訴人名義の貯金口座(口座番号4824661。以下「本
件口座」という。)から継続的に引き落とした。その額は、平成4年か
ら平成8年までの間の掛金合計額が推計55万5000円(㋑)であり、
平成9年から平成13年までの間の掛金合計額が51万4000円(㋒)
- 2 -
である。さらに、被控訴人は、平成13年3月29日、控訴人の意向を
無視して一方的に本件共済契約を解除する処理をし、本件建物に係る新
たな建物更生共済契約(以下「新共済契約」という。)が締結された旨
の虚偽の手続を取り、同契約に係る掛金名目で同年以降、平成25年ま
での間に合計164万6540円(その内訳は、平成13年3月に、平
成25年3月までの期間に対応する掛金として支払処理がされた151
万0120円(㋓)と平成25年3月に、平成26年3月までの期間に
対応する掛金として支払処理がされた13万6420円(㋔)の合計額
を本件口座から振替処理をした。以上、㋐ないし㋔の合計額である34
6万8540円が、控訴人の解約申入れに対して被控訴人が適切に対応
せずに不当な処理をし、それにより控訴人が被った損失に当たり、また、
被控訴人は、このような処理により、控訴人の損失と同額の不当な利益
を得ている。
ウ よって、控訴人は、被控訴人に対し、不当利得返還請求又は不法行為
に基づく損害賠償請求として、346万8540円の支払を求める。
なお、仮に、控訴人の上記主張が全面的には認められず、本件共済契
約が平成3年頃に解約されず、以後、新共済契約に変更されることもな
く、本件共済契約が存続していると認定される場合や、あるいは、本件共
済契約が平成3年頃に解約されず、その後、平成13年に新共済契約に
変更されたと認定される場合のいずれであっても、控訴人には被控訴人
の不適切な対応及び不当な処理により損失を被っていることは明らかで
ある。」
(2)2頁12行目の「14万円余り」及び14行目の「14万円」をいずれも
「14万1425円」に改める。
(3)2頁19行目の「損害額は16万円を下回らない。」を「損害額は、本件
訴訟の長期化を踏まえれば、36万円を下回らない。」に、20行目から次
― 3 -
行にかけての「16万円」を「36万円」にそれぞれ改める。
(4) 2頁25行目から3頁1行目までの全文を以下のとおり改める。
「イ 請求原因(1)イのうち、被控訴人が平成3年頃の時点で、本件共済契
約に係る返戻金を控訴人に支払わず、以後も、同契約に係る掛金を本件
口座から引き落とした事実は認め、平成3年頃の時点で本件共済契約が
解約された事実は否認する。
ウ 本件共済契約が平成3年頃に解約されていないとしても、その後の被
控訴人の不適切な対応及び不当な処理により損失を被った旨の控訴人の
主張は、否認し争う。
3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人の請求(当審における拡張請求を含む)は理由がない
ので棄却すべきものと判断する。その理由は、次項のとおり原判決を補正する
ほかは、原判決の「理由」欄の1ないし3に記載のとおりであるから、これを
引用する。
2 原判決の補正
(1)4頁18行目から20行目までの全文を以下のとおり改める。
「ウ 平成13年3月29日、本件共済契約は解除され、同日、新たに新共済
契約が締結された。この手続に際しては、解除申込書(乙3の1)及び共
済契約申込書(乙4)が作成され、みやのが控訴人名義の署名押印に係る
部分を記載し押印した(甲6、24、乙3の1、乙4)。被控訴人は、み
やのから提出された上記各書面に基づき、必要な処理をした。」
(2)5頁の17行目の「本件建物の雪害補償を請求した。」を「控訴人の申し
入れにより、本件建物の雪害について、補償のために必要となる調査が行われ
ることになった。」に、18行目の「行われた。」を「行われ、控訴人は同
月25日の調査に立ち会ったが、被控訴人から補償額の算定結果が示された
にもかかわらず、控訴人が被控訴人に共済金の支払いを請求することはなかっ
- 4 -
- た。」にそれぞれ改める。
- (3)5頁23行目末尾の次に「なお、控訴人は、新共済契約において、その解
- 除申込書を被控訴人に提出していない。」を加える。(4)6頁15行目の「認めるに足りる証拠はない。」を「認めるに足りる証拠はなく、控訴人のこれに関する見解(甲12)によっても、控訴人は、金融システム上の常識であるとか、システム開発技術者の視点などというのみで、その見解の客観的かつ合理的根拠と裏付けを明確にしているとはいえない。仮に、控訴人の主張するように、被控訴人が組織的な横領として控訴人に秘して掛金の引落しを継続していたとすれば、事後的に容易に発覚する払込期日後の振替処理をあえて行っていたというのも不自然である。控訴人は、上記事実に関して、システム上で解約手続を取った場合以外にも生ずることを被控訴人が具体的に説明する義務を負うなどと主張するが、被控訴人においては、共済契約における掛金の払込みについて払込猶予期間が設けられており、払込期日の後に掛金が支払われたとしても有効な支払であって契約の効力に影響はないとの一般的説明をしていることに加え、そもそも、上記システム上の振替日に係る事実は、控訴人が主張する不法行為又は不当利得の要件である違法行為又は法律上の原因がないことを推認させる事実として、控訴人において本来的に立証責任を負うべき事項であるから、控訴人においてその点の必要な立証ができない以上、被控訴人から具体的説明がないからといって、上記判断を覆すことはできない。」に改める。
- (5) 6頁19行目の「推認できる。」を「推認することができ、控訴人自身、解約を申し出た時点で、本件共済契約に返戻金があることは認識していたと供述している(原審控訴人本人)。」に改め、22行目末尾の次に「そして、控訴人が主張する解約申入れの際の電話でのやり取りは、同人から解約の意向を示し、名義・住所を伝える程度で終わったというものであるが、本件共済契約の内容やその時点で見込まれる返戻金額からすれば、被控訴人の立場- 5 -から見ても、解約を申し出た契約者に対し、上記程度の簡単なやり取りのみで、返戻金の支払や手続に関して何ら説明することなく、かつ、事後的にも書面で通知等をすることなく解約手続を完了させる取扱いであったとは考え難い。」を加える。
(6) 7頁9行目末尾の次に「これに対し、控訴人は、市朗から本件共済契約の
ことを聞き、同人の死後に金庫で書類を確認したと主張し、同旨の供述をす
る(原審控訴人本人)が、控訴人の供述以外にそれを裏付ける合理的証拠は
なく、むしろ、仮に、控訴人が本件共済契約に係る書類を確認してその内容
を具体的に把握していたとすれば、前判示のように、市朗の死亡後に電話で
解約の連絡をしたのみで、その後の返戻金等の処理に一切の関心を示さない
とは考え難い。また控訴人は、本件共済契約が解約されずに継続していた
とすれば、みやのが上記修理費の支出に当たって本件共済契約が利用できる
旨を控訴人に言ったはずであると主張するが、実際の修理費を控訴人が負担
していたことからみれば、みやのにおいて控訴人の支出に本件共済契約の共
済金を用いることに考えが及ばなかったり、控訴人のする負担にまで関心が
至らなかった可能性も否定できない。」を加える。
(7) 7頁13行目末尾の次に改行して以下の通り加える。
「なお、控訴人は、平成3年頃以降も本件共済契約が継続していたとしても、
その後の平成13年に控訴人の意思に基づいて本件共済契約が解約され、新
共済契約が締結されたことを否認し、これらの手続は無権代理行為であって
無効であると主張する。
しかしながら、証拠(甲24、乙3の1、乙4)によれば、平成13年3
月当時の婚宴共済契約の解除申込書あるいは新共済契約の申込書には、控訴
人名義の署名に続いて市朗がかつて使用していた印鑑が押印されたと認めら
れ、その当時に市朗が既に死亡し、本件建物にはみやののみが居住していた
ことからすれば、上記各書面の押印は、死亡した市朗の印鑑を引き続き管理
- 6 -
していたみやのによりされたと推認するのが相当であり、上記各契約に係る
手続は、みやのによって行われたものと認められる。そして、みやのと控訴
人が親子関係にあり、かつ、みやのが居住していた本件建物は将来的な相続
により控訴人が継承する立場にあったことからすれば、みやのが本件建物の
ために締結される新共済契約につき、自己の名義ではなく、控訴人の名義を
用いて契約を締結することは十分あり得るところであり、控訴人においても、
あえてこれに異を唱える理由は考え難いから、その契約手続を明示的又は黙
示的に了解していたと認めるべきである。これに対し、控訴人は、上記各書
面が被控訴人により偽造されたと主張するが、被控訴人が市朗名義の上記印
鑑を使用しうる立場にあったことを認めるに足りる証拠はなく、偽造との主
張はその具体的根拠と裏付けを欠くものといわざるを得ない。本件共済契約
の締結当初の申込書等(乙2の1・3)が偽造された旨の控訴人の主張につ
いても、その当否はともかく、同申込書等の作成から相当期間が経過した後
である平成13年に作成された上記各書面の偽造の事実を推認するのに足り
るものとは到底いえない。
以上のとおり、上記平成13年の本件共済契約の解約及び新共済契約の締
結手続については、控訴人の了解があり同人の意思に基づくものと認められ
るから、その法律効果は全て控訴人に帰属することになる。したがって、こ
れらの手続が控訴人の意思に基づくものではないという前提で、本件共済契
約が解約されたこと又は新共済契約が締結されたことにより損害を被ったと
控訴人が主張する部分は、その前提において失当である。
そして、以上のように本件共済契約の継続を前提とした平成13年の同契
約の解約及び新共済契約の締結は、いずれもその時点における控訴人の意思
に基づくものと認められるから、被控訴人が主張し、当事者間に争いがある
平成25年以降の控訴人の言動による事後的な追認の成否は、本件の判断に
おいて問題となる余地はない。なお、被控訴人が上記のとおり追認の主張を
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しているからといって、被控訴人において平成13年の本件要塞契約の解約
及び新共済契約の締結が控訴人の意思に基づかない無権代理行為又は無効な
行為であることを自認したものでないことは、本件における被控訴人の主張
の趣旨に照らして明らかである。本件訴訟前における被控訴人代理人弁護士
の控訴人に対する説明内容(甲13)も、「本件契約は、そもそも最初から
有効なものであります」との主張を前提に、「仮にそうでないとしても、」
として予備的に追認の主張をしているにすぎず、その後の通知書(甲14、
15)も、このような主張を前提としたものである。
さらに、控訴人は、平成3年以降も本件共済契約が継続していたとすれ
ば、平成10年及び平成18年に控訴人が自らの負担で行った本件建物の補
修工事費用が補償対象として支払われるべきであると主張するが、共済契約
の性質上、共済金の支払いを求めるには、所定の支払事由が生ずることに加え、
共済契約者において所要の請求手続をすることを要すると考えられるところ、
控訴人が主張する上記各補修工事費用に関して同人が請求手続を取ったこと
を認めるに足りる証拠はなく、控訴人に具体的共済金請求権が発生している
と認めることはできない。」
(8) 7頁19行目及び8頁3行目の各「14万円」を「14万1425円」に
いずれも改める。
3 結論
以上によれば、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理
由がないから、これを棄却すべきであり、また、控訴人の当審における拡張請
求も理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第21民事部
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裁判長裁判官 中西 茂
裁判官 畠山 新
裁判官 藤田正人
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