
小学生の頃
父と母と二人の弟と
大濠公園のそばの一軒家に住んでいた
木造平屋の古い家
国家公務員の父が借りた家
庭には大きな二本のびわの樹があり
夏になると蝉が鳴いていた
大濠公園の花火大会がある日には
オジさんとオバさん
いとこが家に集まってくる
縁側からのんびりと花火を見ることができるからだ
小学生の僕にとって
しあわせを感じる夜だった
きっと みんながしあわせだったのだと思う
時は流れ
僕が住んでいた大濠公園のそばの借家は
取り壊され
高層建築のマンション群が立ち並ぶ街へと変わった
花火大会の日には
公園に入りきれなかった人たちが
路上にあふれかえっている
庭から花火を眺めるという風情は消えてしまった
NHK福岡放送局では
いつの頃からか大濠公園の花火大会を生中継している
僕は部屋の明りを消して
テレビの音声を消して
テレビのなかの花火を見続けている
しあわせだった夏の夜を
思い出そうとして
