ダブル・ファンタジー/ジョン・レノン

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考えてみると、
生きて行くのはそうむずかしいことでは
ないのかもしれない。

しかし、
毎日の生活をちゃんとやりながら、
そのうえ宇宙的なものとも魂を通わせておく、
そういう生きかたをすることはとてもむずかしい。


若い頃の自由は
つまり無責任ということで、
一緒に暮す相手がいたり、
子供が世話と微笑を求めたりするなかで
心を自由な状態にしておくのは、
星雲の間を飛んでいる部分を残しておくというのは、
決して容易ではない。


この1枚のレコードがすごいのはその点なのだ。


男と女と子供が一緒に暮らしていて、
みんなの間に愛があって、
それでも彼等はそれぞれに
時おりふとどこかへ行ってしまう。
実際にはその場にいるが、精神は家を出て飛翔している。


しかもこれほど仲のよい家族はめったにない。
たがいを無視したり傷つけたりすることなく、
身を案じあいながら、一人一人、縛らない。


これは三十を過ぎた普通の人間がみんな目標に
してもいいことだと思う。



宇宙的なもの「ダブル・ファンタジー」
池澤夏樹 シネシティー鳥瞰図より引用



32年前の今日
ジョン・レノンが亡くなった。


30年前 
池澤夏樹の透明感のあるこのエッセイと出会った。

わたしの生き方の目標であり原点となった。

池澤夏樹のような文章を書けるようになりたい。