2020/12/16
遺伝子変異(型)による死亡率や重症度に「違い」はない
〜新型コロナウイルスの遺伝子解析の結論〜
本間真二郎医師(ワクチン学・ウィルス学専門)
小児科医
GISAIDの新型コロナウイルス遺伝子のデータベースを使って現在(2020年12月1日)までに、世界中から報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の全ウイルス(総数183,422ウイルス)の遺伝子変異を解析しました。
新型コロナウイルス遺伝子の分類法には現時点で主に3種類あります。
3つの分類法の関係は図を参照してください。
・Nextstrein:https://nextstrain.org/
・GISAID:https://www.gisaid.org/
・cov-liniages.org:https://cov-lineages.org/
それぞれの分類法に利点と欠点があり、含まれるウイルスにも若干の違いがありますが、大まかな分類では一致しています。今回の解析では、Nextstreinよりも細かく分類でき、もっとも頻回に使用されているGISAIDの分類法を使って解析しました。
今回解析した新型コロナウイルスは以下の基準で選び、ウイルスの総数は183,422になります。
①人から検出されたもの(動物由来は除外)
②ウイルスの全遺伝子が報告されているもの
③正確性の低いウイルス(株)は除外
解析したのは、ウイルスの全遺伝子(欠けのない全長という意味でフルゲノムあるいは単にゲノムといいます)が報告されたものだけになります。
詳しい解析結果は、今後何回かに分けて記事にしますが、とても重要な結論だけを先に書いておきます。
『現在までに新型コロナウイルスのたくさんの遺伝子変異(いわゆる型)が報告されてきたが、遺伝子(型)の違いにより重症度、死亡率に大きな違いは認められない』
これから導かれる重大なことは以下になります。
・日本を含めたアジア全域で欧米に比べて死亡率が極端に低い(約1/50〜1/1000)のは遺伝子(型)の違いによるものではない
・同様に、新型コロナウイルス(通常の風邪コロナウイルスではなく)の何らかの軽症型が先行したためでもないと思われる
・今後、変異したウイルスが入ってきても日本での死亡率が欧米のように大きく増加することはおそらくない
遺伝子変異(ウイルスの進化)についてもう1点大事なことがあります。
報道では新型コロナウイルスについてS型、L型、武漢型、欧米型など◯◯型という言葉がよく使われます。
しかし、新型コロナウイルスの変異速度は、約25塩基/ゲノム/年(1年間で 約25ヶ所が変異するという意味)と推定されています。
つまり、このペースで1年間かけて25ヶ所変異しても、SARS-CoV-2ゲノムの全長約29900bpの約0.084%であり、この程度の変異では、いわゆる「型」というほどの違いにはなりません。
例えばインフルエンザでは違う型(亜型)では通常30%以上の遺伝子が変異しています。
詳しくは以前に書いた記事を参照してください。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2679832895675046
ですから、遺伝子変異について以下も大切なポイントになります。
『新型コロナウイルスの遺伝子変異は日々進行中であるが、現在までに報告されている全183,422ウイルスは、インフルエンザなどの一般的なウイルスの分類では、すべて同じ「一つの」遺伝子型になる(おそらく血清型も一つになる)』
そして、これはワクチン問題やADE(抗体依存性増強)を考える時にとても重要になります。
世界の各地域(ヨーロッパ、アジア、中東、北米、南米、オセアニア、アフリカ)の解析結果は次回以降の記事で紹介し、今回の結論を確認していきます。
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2020/12/22
新型コロナウイルスの遺伝子変異は、今のところ
重症化と関係していない
世界中から報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の全ウイルス(総数183,422ウイルス)の遺伝子の変異を解析しました。ぜひ、前回(上記)の記事も参照してください。
結論は、前回(上記)書いた様にとてもシンプルです。
「現在までに新型コロナウイルスのたくさんの遺伝子変異(いわゆる型)が報告されてきたが、遺伝子(型)の違いにより重症度に大きな違いは認められない」
今回は、各地域の結果を紹介する前に、理解しやすいように、新型コロナウイルスの遺伝子解析についての基本的な知識をまとめました。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は発生から現在までに、遺伝子の変異から以下の8つの系統(正式にはクレード=系統種)に分けられています。
S, L, O, V, G, GH, GR, GV
Oはその他=分類不能という意味ですが、ほとんどがLとVに近いものに分類されています。
前回(上記)の記事に書いたように、一般の記事にはS型、L型など「型」と説明されるのですが、実はこれらは型という程の違いはありません。ですから、私の記事では単にS、Lと表記し、タイプ(正式にはクレード)と説明します。
まず、新型コロナウイルス(SARS-2)の全遺伝子(フルゲノム=全長29903bp)が初めて報告されたウイルスはWuhan-Hu-1でLになります。
他のすべてのウイルスは、このウイルス(レファレンスウイルス)の遺伝子と比べてどこが変異しているかで分類されます。
新型コロナウイルスのレファレンスウイルスはLですが、発生的にはおそらくSがオリジナルと考えらます。
いずれにしてもSとLが初期タイプ
LからVとGが発生
GからGH, GR, GVが発生
という流れになっています。
大まかな理解としては、以下を押さえておけば十分でしょう。
・Sが少し変異して中国武漢市で大量に発生したのがL(いわゆる武漢型といわれた)
・S, L, O, Vまでが「初期タイプ」
・その後のGは感染力が高い、増殖能が高い、重症度が高いなどたくさん報告されているD614G変異を含むタイプで一時「欧米型」などといわれたもの
・このD614G変異はGだけでなくその後のGH, GR, GVのすべてが共通して持っている変異であることに注意
・そして2020年6月にスペイン発の新型と報告され、最近注目されているのが最新のGV
今回の一連の記事では現在の主流であるD614G変異を持つG, GH, GR, GVを合わせて「G変異タイプ」と呼ぶことにします。S, L, O, Vが「初期タイプ」です。
では、新型コロナウイルスが発生したとされる2019年12月から2020年12月1日現在までの全世界から報告されている遺伝子タイプの変化を示します(図1)
・2020年2月中旬を境に初期タイプ(S, L, O, V)からG変異タイプ(G, GH, GR, GV)への移行がみられる
・初期タイプはその後急速に少なくなり、2020年の8月移行はほぼみられないか消失している
・現在では全世界の99%以上がG変異タイプ(G, GH, GR, GV)になっている
つまりD614G変異は特別な変異ではなく、現在では世界で流行しているほとんどの株に含まれている変異ということになる
・D614G変異をもつG変異タイプ(G, GH, GR, GV)の中では、2020年8月まではGRの増加が大きい
・2020年9月以降GVの検出が急速に増えており、現在では全報告の約65%を占め、さらに増加する傾向にある。
・GVの増加につれ、GRは減少しているが、G, GHはコンスタントに1割ほどの検出が続いている
ただし、このGVは現在までのところ主に西欧と北欧でのみ検出されており、東欧や他の世界中の地域ではほとんど報告がないことに注意が必要です。
さて、これまでL, G, いわゆる欧米型, D614G変異株、GV(20A.EU1)=スペイン発の新型などと新しい変異が見つかるたびに「感染力が高い」「増殖能が高い」「重症度が高い」などという報道がされ、実際に解析された医学論文もたくさん出てきています。
そして、現在イギリスロンドンで発生した新しい変異ウイルスが話題になっているそうです。12/11に初めて検出されていますので、今回の解析には入っていません(今回の解析は12/1までのデータ)。
確認ですが、感染力が高いことが必ずしも重症化や死亡率の上昇と関係しているとは限りません。感染率が高く軽症であれば、むしろ感染して免疫がついた方がいいこともあります。
また、実験室(生体外)での結果が必ずしも人に当てはまるわけでもありません。
今回の一連の記事では、様々な変異タイプが最も重要な重症度である死亡率と関係するのかどうかを検証しました。
結論は、前回書いた様にとてもシンプルです。
「現在までに新型コロナウイルスのたくさんの遺伝子変異(いわゆる型)が報告されてきたが、遺伝子(型)の違いにより重症度に大きな違いは認められない」
ただし、ウイルスは今後も遺伝子変異(ウイルス進化)し続けていきます。今回の結果はこれまで(2020年12/1)の遺伝子変異のまとめとそこから予想できることになります。
次回から数回に分けて各地域の遺伝子タイプと死亡率の関係をみていきます。
その後、主なアミノ酸変異との関係についても可能なら追加していく予定です。
これまでに書いたコロナウイルス関連の記事は以下にまとめています。
https://www.facebook.com/shinjiro.homma/posts/2728645230793812
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2020/12/23
シンプルで丁寧な暮らしを楽しみ、育むことをコンセプトにしている雑誌「天然生活」の今月号(2021年2月号)に私の2回目の特集記事が載っています。
今回の私の記事は「正しく感染に備える、自然に沿った暮らし」です。今回も素晴らしくまとめていただいています。 ありがとうございます!
記事の内容は、以下になります。
・自然に沿った暮らしの紹介
・冬季の冷えに対する対策
・自然治癒力を上げる心がけ
・腸内環境を整える暮らし方
・新型コロナウイルスの第3波について
新型コロナウイルスによる被害は、まずウイルスによる実害(病気や死亡)は例年のインフルエンザと比べてもとても小さいものです。
次に解雇や倒産などの経済的な被害はとても大きく、産業や伝統、文化の崩壊を含め、これから本格化しますので、この部分を強調する意見が多くなってきました。
しかし、私が考える最も大きな害は私たちの精神(とくに子ども達に)対する害になります・・・
興味を持たれた方は、ぜひ今月号の「天然生活」をご覧ください。





