私は月。
夜、みんなが寝ている時に、みんなが見ていないところで、ひっそりと輝く月。
私は月だけど、本当はずっと、太陽になりたかった。
太陽は、キラキラしていて、みんなを明るく照らして、みんなの前で輝いている。
そんな、明るくキラキラと輝く太陽に、私はずっと、憧れていた。
そんな、明るくみんなの前で輝く太陽が、私はずっと、羨ましかった。
みんなの前で輝く太陽が、とっても明るくて、とっても素敵に見えて、
みんなの前で輝くことで、その存在をみんなに認めてもらえているように思えて、
私はずっと、太陽になりたかった。
私はずっと、太陽になりたくて頑張ってきた。
私はずっと、太陽に負けたくなくて、いつの間にか太陽に嫉妬するようになっていた。
だけど、私は月。
いくら頑張っても、月は夜にしか輝けない。
みんなが見ていない、夜にしか輝けなくて、
「私、こんなに頑張ってるのに」、
「私、頑張って輝けるようになったのに」、
そう呟きながら、
みんなに存在を認めてもらえないように感じて、
頑張って輝いていることを、認めてもらえないような気がして、
1人悲しみと寂しさを抱えたまま、空にいた。
そんな悲しみと寂しさをかき消すように、
「頑張れば、私もいつか太陽になれるかな」、
「ずっと満月だったら、いつかは太陽になれるかな」、と思っては、
太陽になりたくて、
いつかは太陽になれると思って、
太陽のようにみんなの前で輝きたくて、
存在をみんなに認めてもらえたくて、
ずっとずっと、ただひらすらに太陽を目指して頑張ってきた。
だけど、
いくら考えても、
いくら頑張っても、
月は、太陽にはなれなかった。
月は月のまんまだった。
そして月は、太陽になれないことに、やっと気づいた。
これまで頑張って頑張って頑張ってきたけれど、
「頑張っても、月は太陽にはなれないんだな」、とやっと思えた。
考えてみれば、月が太陽になれないのは、当たり前のこと。
だけど、それを、認めたくなかった。
太陽になることが目標だったから、
太陽を目指してずっと頑張ってきたから、
認めたら、これまで頑張ってきた自分が全部無駄になりそうで、
認められなかった。
だけど本当は、
太陽になろうと頑張らなくても、
そのまんまでも、
月は月のまんまでも、
いいのかもしれない。
太陽になれなくても、太陽になろうと頑張ってきた自分は全部、無駄にならない。
そう思えた。
「月だって、満月になったり新月になったり三日月になったり、日々満ち欠けては、色んな表情を見せることができるから、実はとっても魅力的なのよ。」
そう思えるようになってきた。
そう。
月は月のまんまでいい。
月は、太陽にならなくていい。
月は月、太陽は太陽。
うん。
それでいいんだな。
私は月。
太陽のような、キラキラした明るさではないけれど、凛とした明るさがある。
太陽のように、みんなを照らしはしないけれど、夜道を照らす明かりになれる。
太陽のように、みんなの前では輝かないけれど、月だって夜空に、しっかりと輝いている。
私は月。
夜、みんなが寝ている時に、みんなが見ていないところで、凛としながらも堂々と輝く月。
もう頑張らないで、月は月のまんまで、太陽にはならなくて、いい。
私は、月のまんまでいいんだな。