自閉症児の医療と療育のエビデンス情報 -2ページ目

自閉症児の医療と療育のエビデンス情報

よりエビデンスの高い医療と療育を提供したい。そのための情報発信です。

奥さんが入院して、一週間が過ぎました。

私と息子の、二人きりの生活がはじまっています。

 

小学2年生の自閉症男子ですが、

この一週間、おかあさん、とは、ひとことも言いませんでした。

私が「おかあさんと電話する?」と訊いても、

「しない」というばかりです。

「おかあさんへの気持ち」を、彼なりに断ち切っているのでしょう。

 

入院については、その数日前から、奥さんが息子に、少しづつ予告していました。

彼には、事前の予告、見通し、が必要なんです。

「おかあさん入院するよ。わかった?」「わかった」

ほんとうに、分かったの?とは思っていました。

 

入院の前の日、

息子は突然、感情不安定になり、遊んでいたプラレールを全部破壊して、リビングに叩きつけました。

1時間くらい激しく怒り、泣きましたが、

そのうちにおさまり、またプラレールを組みなおしました。

その日の夜から「おとうさんと寝る」と言って、私と布団に入るようになりました。

 

翌朝から、私と一緒に登校しています。

「元気でお勉強を頑張ったら、おとうさんとおもちゃ屋さんにいこうね」と言っています。

「プレマックの法則」の活用です。 *1 *2

支援級の担任の先生には、「今日はもしかしたら、気持ちが不安定かもしれません」、とお伝えしました。

「おかあさんに会いたいと思って、急に教室から飛び出すかもしれませんので。ご配慮お願いします」

(この子には、過去に何度か、脱走の前科があります)

「もちろん、大丈夫です。お任せください」

素晴らしい先生に恵まれたことを実感します。

 

職場には、出勤が遅れてしまいます。

夕方、私が帰宅する頃まで、放課後デイサービスを緊急で利用できることになりましたが、

毎日とは、叶いませんでした。

同僚の小児科の先生方や、患者さんたちには、ほんとうにご迷惑かけ、心ぐるしいです。

 

先日は大雪のため、14時半に、学校に息子を迎えに行きました。

「どうぞ」と教室に入れていただき、最後の「ふりかえりの会」を見学しました。

少人数の支援級の1,2年生たちが、あまりにもかわいくて、涙腺にきてしまいます。

みんな純粋すぎる、

私も、子どもたちにかかわる仕事ができること、改めて幸せに感じました。

 

 

息子と帰宅して、しばらく家事などをしていると、

あれ?君、どうしたの、その顔は?

息子が顔じゅうに、緑色のマジックで落書きして、遊んでいました。

 

「ももたろうくーん、かお洗うよ」

タブレットで遊んでいるので、一度くらい呼ばれても、洗面にきません、

「ももたろうくーん、かお洗うよ」

「ももたろうくーん、かお洗うよ」

「Broken Record」のように、同じ言葉を、同じ言い方で、淡々と繰り返し、

CCQ (Calm, Close, Quiet : おだやかに、近づいて、静かに)で指示をだせば、 *3 *4 *5 

彼はだいたい3回目くらいで、機嫌よく、小走りで来てくれます。

いいこです。めっちゃ誉めて、可愛がってあげます。

気がつけば、

私の育児は、自然にABAで貫かれています。

それで、まずお湯を私の手にすくって、なんども豪快に、彼の顔をこすって洗います。

息子、大喜びです。

そして、さあ、次は、つめたい水だよ、と予告します。

息子は、よろこびのあまり、きゃあきゃあ言うのですが、何度も洗います。

楽しくて笑えてよかったです。

 

 

心配していたのですが、息子は夜、ぐっすり寝てくれます。

こんなにいい子だったんだ、きっと寂しくても、そう言わないんです。

私と同じだな(笑)、と思うと、いとしいです。

おとうさんが守ってあげるからね、と、一日になんどか言っています。

夜、やっと一人になった私は、ずいぶんと肩が張り、なぜか脚にもきています。

知らず知らず、気を張って生きているのでしょう。

いま、もし私が倒れたら、この子を守ってあげられる人がいなくなる、

そのプレッシャーは大きいです。

いままで、何の心配もなく、家を空けることができていたのは、奥さんのおかげだったんです。

いつか退院したら、ありがとうを伝えようと思います。

 

 

それにしてもこの大雪、…

 

 

 

 

*1. https://www.sciencedirect.com/topics/psychology/premack-principle

*2. 

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%9E%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%90%86

 

プレマックの法則(Premack Principle)は、「おばあちゃんの知恵(Grandma's Law)」とも呼ばれます。

例えば、子どもは「まず野菜を食べたら、デザートを食べられるよ」と言われたり、

「お手伝いが終わったら、そのあとで、野球ができるよ」と言われたりするかもしれません。

低頻度しか起こらない(あまり楽しくない)行動を強化するために、高頻度の行動(ご褒美)が使用できる、という理論です。

 

*3.

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8149560/#:~:text=of%20the%20children.-,Increase%20Your%20Proximity,of%20reach%20of%20the%20child.

 

*4.

https://jddnet.jp/wp-content/uploads/guidebook-2020.pdf

(16ページ)

 

*5.

 

https://journal.jspn.or.jp/jspn/openpdf/1180060417.pdf

 

(4ページ)

 

ペアレントトレーニングは米国発祥ですが、CCQという言葉が、米国で言われ始めたわけではないようです。

英語論文を「CCQ」で検索してもヒットしません。

ペアレントトレーニングは、日本では1990年代に、米国のプログラムを参考に導入・再構成されました。

この過程で、親が実践しやすいスキルとして、CCQなどの表現が定着した、ということのようです。