■音についてのマーケティング的考察7 店舗空間のスピーカーの位置
音を環境のひとつの要素として考えることは、現在の商業施設ではまだまだ未開拓の分野です。
数多くのショップやレストランでは、いぜんとして「適当な音楽が流れていれば店が良く見える」といった程度の考え方しかもっていません。
東京の青山のはずれに、オーストラリア・ワインが売りの、クールなバーがあります。
仕事関係で、この店に行ったのですが、料理もワインももちろん美味しいし、インテリアとBGMがとってもカンジが良く、妙に落ち着く場所でした。
ボクはお酒をあまり飲まないのですが、バーはけっこう好きです。
そのときに、ここのオーナーの方にお店のBGMについて意見を聞かれました。
そこの客層はお洒落な大人です。
BGMもニューエイジミュージックを中心に、とってもいいセレクトがなされています。
しかし、残念なことに、スピーカーの位置の関係で、音が平坦になっていたのです。
天井にしかスピーカーがない・・・。
とても素晴らしいインテリアデザインのお店をプランニングできるデザイナーでさえ、スピーカーの位置まではあまり考えていません。
天井から降ってくる音というのは、空間を均一にしてしまうという短所があるのです。
照明でいえば、店を平坦な蛍光灯で照らすのと同じと思ってください。
音楽はやっぱり人間の耳の高さから流すのが一番自然なのです。
そういうようなことをオーナーさんに言いました。
そして解決策として、
「ラジカセあります?」
と聞きました。
ラジカセを床の近くに置き、そこからは虫の音やせせらぎの音といったSE(効果音)を流してもらったのです。
上からは音楽、下部からは効果音。
これでお店の音環境は、ぐっと良くなりました。
空間のメリハリができ、立体的になったのです。
照明でいうと、スポットを当てたと思ってください。
音楽の途中や合間に、効果的な音が下の方から聞こえてくると、なんともいえない心地よさが店内を満たすのです。
このように、スピーカーの位置や音量も、音環境を計画するためには重要になってきます。

