昨日は、大阪府「令和7年度 第2回行政医師業務研修」にて、「公衆衛生の緊急事態におけるリスクコミュニケーション」というタイトルの講演をさせていただきました。

 

 

新型コロナウイルス感染症の対応を終えた振り返りとして、クライシス・緊急事態リスクコミュニケーションをテーマとした研修会を開催していただき、光栄に感じております。

 

クライシス・緊急事態リスクコミュニケーションを含め、いかなるコミュニケーションでも重要なのは、アートとサイエンスです。

 

保健医療専門職としての豊富なご経験を基にした「その人ならではのコミュニケーション術(アート)」に加え、

難しい場面においては、理論で「うまくいく」と立証された方法(サイエンス)を取り入れることで、相手の心に響くコミュニケーションをとりやすくなります。

 

 

そこで本講演では、米CDCの開発したクライシス・緊急事態リスクコミュニケーションの理論と原則、およびWHOの開発した公衆衛生の緊急事態に特化したリスクコミュニケーションの考え方と理論をご説明し、

そうした理論をベースとしながら、

受講者の皆様から事前にいただいていた多くのご質問や悩みについて、演習を通して、一緒に考えていきました。

 

新型コロナウイルス感染症対応で貴重な教訓を得られた行政医師や保健師などの皆様ならではのご発表を伺え、とても学び多い時間となりました。

 

 

研修会後、受講者の方々が話しかけてきてくださったのですが、そのなかの一言が心に深く残っています。

 

「新型コロナの流行時は、本当につらかった。

人間は忘れないと前に進めないから、普段は忘れていたけど、今日の研修で当時を苦しい感情と共に思い出しました。

でも、この時期に振り返りの機会が持てて、本当によかったです。」

 

――私は、日本の感染制御は先進国のなかでも素晴らしく、特に現場力に優れている、と認識しています。

 

しかし、現場で尽力し、結果を出しても、ほとんど評価されないどころか、現場対応者が批判され続ける状況を見て、

「なんとか改善したい。そのためには、国内外の人々に、感染制御の現場で何がなされているのかを正しく理解してもらう必要がある。その効果的な戦略として、クライシス・緊急事態リスクコミュニケーションや、公衆衛生の緊急事態に特化したリスクコミュニケーションを広めよう」

と思い、以下の2冊の著書を緊急出版しました。

 

 

 

 

これにより、多くの方々に本分野の重要性に広く共感いただけるようになり、人材育成の機会も増えました。

 

次の危機がいつ発生するかはわかりませんが、それまでに、現場対応者が報われるような、リスクコミュニケーションの体制、人材育成、評価方法の確立を目指し、尽力する所存です。

 

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