2013年の大ベストセラー
が出るまで、アドラー心理学(個人心理学)は、大して注目されていなかったのではないだろうか。
1800年後半から1900年初頭という、同年代に活躍した人であれば、
フロイトやユングのほうが、ずっと広く支持を集めていたと思う。
現代の日本人を魅了した、アドラー心理学。
提唱されてから、100年近くも、注目されていなかったのは、なぜか?
(アドラーは1937年、スコットランドで亡くなった)
それは、
- フロイトのアプローチが、専門家が患者を分析し、治すものだったのに対し、
- アドラーのアプローチが、患者と一緒に勉強して、実践して、議論して日常生活の中で使いこなしていこうするものだった
ことに関係すると思う。
医学の専門家(精神科医)には、やはりフロイトのアプローチのほうが、理解・受け入れやすかったのだろう。
日本で、アドラー心理学を広めた岸見一郎氏が、哲学の専門家というのも、ある意味、納得である。
また、時代もある。
フロイト派の精神医療サービスを受けるのは、富裕層が多く、
アドラー派のサービスは、教師や親などの非専門家が多く受けていた。
第二次世界大戦が起きたとき、富裕層が多かったフロイト派のほうが、多く生き延びることができた、という話も聞く。
(ちなみに、フロイトはユダヤ人で、アドラーもユダヤ系である)
なぜ、こうした話をしたかというと、
「大切だから、必ずしも、社会に広く受け入れられ、認められるわけではない」
ということを、改めて感じたからだ。
私は、ヘルスプロモーションやその概念の理論的基礎となった健康生成論(ストレス対処力として知られるSOCを説明した理論)、ヘルスコミュニケーションやヘルスリテラシーを専門にしている。
ヘルスプロモーションの活動戦略に、健康的な公共政策づくりが掲げられているので、ヘルスプロモーターとして、常に、国の政策ができる際に、厚生労働省や政策策定に関わる委員の先生方に、直接・間接的にお話してきた。
具体的には、
- 健康日本21策定時には、ヘルスコミュニケーションを到達すべき達成目標項目として入れることを、
- 特定健診・特定保健指導策定時には、「動機づけ支援」「積極的支援」はモチベーションで判定することを、
- ストレスチェック制度策定時には、ストレスチェック後の健康な職場づくりの内容を明確にしておくことを、
それぞれ伝えてきた。
しかし、いつも共感はしていただけたが、政策には反映されなかった。
残念ながら、医学の専門家には、病気の早期発見・早期治療のほうが、ストンと理解がしやすかったのだろう。
(専門誌での雑誌対談も精力的に行った。これは『公衆衛生情報』での対談記事。私の名前のフリガナが間違っていますが。「玲子」は、「りょうこ」と読みます)
しかし、私は、保健学の専門家である。細分すると、健康社会学とヘルスコミュニケーション学の専門家である。
どんな状況下であっても、健康な部分に目を向け、その部分を大きくする。そんな健康を保つ方法や環境を、相手(社員や市民)と一緒に考え、つくっていく。
それが、私の仕事だ。
私は、自分の専門の重要性を信じている。
しかし「それが、広く受け入れられ、認められるのは、いつか」は、わからない。
アドラーのように「提唱してから100年後」というのは、できれば避けたいが、すぐに受け入れられないからといって諦めることなく、いつか、皆が、ヘルスプロモーションや健康生成論(ストレス対処力として知られるSOCを説明した理論)、ヘルスコミュニケーションやヘルスリテラシーのことを知り実践している、より生きやすい社会づくりに貢献したい。
そんな願いが、ふとこみ上げてきた。
今週も、良い週になりますように。
■健康生成論やストレス対処力として知られる「SOC」について、4冊の著書と監修DVDを出してきました。詳細は、下記の著書&監修DVDをご覧くださいませ。
「ストレス対処力の専門家が教える "折れない心"をつくる3つの方法 」
SOCがいかにストレスマネジメントやコミュニケーション、しくみづくりに活かせるか?
具体的に紹介しています。
■ヘルスコミュニケーションやその活用方法については、DVDや著書を出しているので、よろしければご覧ください。
著書「ヘルスコミュニケーション:人々を健康にするための戦略」
(ヘルスプロモーションについても書いています)
蝦名玲子による監修・出演DVD「実践!心に響く 《科学&アートな》ヘルスコミュニケーション入門編」
蝦名玲子による監修・出演DVD「実践!心に響く 《科学&アートな》ヘルスコミュニケーション応用編」









