エフ・クラージュ 川崎由美子です。
作家・演出家の鴻上尚史さんが、連載あなたのお悩みにおこたえします!ということでAERA dot.に連載中の相談コーナーがあります。
よくこのコーナーをニュース記事で読むことがあるのですが、本日目にした相談と回答を読んで、改めて気づかされたことがありました。
相談は、52歳の男性が、15年勤めていた飲食店をコロナで突然解雇を言い渡され、まだ妻にも言えず、吐きそうです、というもの。そして、
どうしたら動悸を静めて冷静になれるのか、今後をどう乗り切ればいいのか、どうか、「希望を信じよう」とか「僕たちはできる」とか「批判より自分のできることを」といったようなポエムではなく、具体的でリアルなアドバイスをください。
という相談でした。
鴻上さん自身、安定しているとはいいがたい演劇業界でやってきていて、月末になるたび胃が痛くなるという事態を何度も乗り越えて来た。
けれど、今回のコロナでは5月6月に予定していた公演が全面中止になり、負債が一体いくらになるのか今、計算と交渉の最中だといい、それなりの金額だろうと言っています。
そして政府のコロナ対策に対しては思うところはいっぱいある。
正直なところ、この相談者さんにリアルなアドバイスは返せない、と率直に言っています。
鴻上さんは、最後にこんな言葉を述べています。
あなたの相談を取り上げたのは、あなたの気持ちだけはなんとか受け止めようとしたと伝えたかったからだと。
学校に行けない生徒達やコロナに怯えながら出社している人達はもちろん、自粛を要請されながら、充分な補償を受けられていない人達は、みんな不安で苦しい。でもそれぞれの苦境は、絆と感謝と敬意の精神論だけでは乗り越えられないものなんだと、伝えたかったのです。
リアルな生活の支えが、誰もが取りこぼされることなく、それぞれに必要だと思います。
そして、
ごめんなさい。これが、僕がやっと言えることです。
だから、コロナが脅威でなくなる日まで、どんな形でも、何をしても、とにかく生き延びませんか。
どんなに苦しくても、なんとか踏ん張って、負けないで、ギリギリでも、必死に、生き延びていきませんか。
という言葉で締めくくられています。
確かに、絆とか感謝とかって精神論ではどうにもできない厳しい「現実」があって、それでも生きて行かねばならない。
不安で苦しい状況下でも、何かできることはあるはずだと、やれることを探して実行に移す人もいます。
どんなに苦しくても、なんとか踏ん張って、負けないで、ギリギリでも、必死に、生き延びていきませんか。
本日もお読みいただきありがとうございました。
エフ・クラージュ
川崎 由美子

