中国語通訳 後藤ゆかりです。

 

「中国語の通訳をしています」というと、多くの方がイメージされるのは、商談の通訳や旅行者のアテンドですね。

 

そして「主に司法通訳をやっています」と言うと「それはどういうものですか?」とよく訊かれます。

 

「日本で中国語を母語とする人が逮捕された時の取り調べの通訳や、裁判時の法廷通訳です」と言うと「へえ、そんな仕事があるのですか」と驚かれます。

 

まあそうでしょうね。

 

私だってこの仕事に携わってなければ、全然知らない世界でした。

 

考えてみれば、日本の法律を犯して逮捕されるのは日本人に限ったことではないのは当たり前なのですが、日本語を母語としない人の取り調べや裁判に通訳がつくということまで考える人は少ないのかも知れません。

 

そして日本人であっても、健常者ばかりでなく、時には障害を持った人が犯罪を犯し、逮捕されることだってあるのです。

 

例えば耳の聞こえない人が逮捕されたら、そしてその人が手話を自身の言語としているならば、そこには当然「手話通訳者」がつきます。

 

これがもし中国語を母語とする人だったら、中国語の手話通訳者を介して音声に通訳された中国語を私が日本語に訳して・・・ということになるのです。

 

もちろん中国語の手話ができる人が日本語を話せるならばいいのですが、そうでなければこのようなリレー方式でやらざるを得ません。

 

ただでさえ微妙な言い回しが多く出てくる司法通訳の場面で、これだけの人が介在して、果たしてちゃんとニュアンスが伝わり切るのかと、考えただけでゾッとします。

 

また、日本語の「手話」が「音声日本語」を手振り身振りに置き換えたものではなく、一つの独立した「言語」であることを、ある本を読むまで全く知りませんでした。

 

その本とは、丸山正樹さんの「デフ・ヴォイス」とその続編である「龍の耳を君に」です。

 

この本の主人公は「手話通訳者」。

時に私と同じ「司法通訳」も務めます。

 

「手話」には「日本手話」と「日本語対応手話」の二つがあること、先天性の失聴者の多くは誇りを持って自らを『ろう者』と称すること、ろう者の方は、自身を障害者とはとらえていないこと、そして現在、法律で手話が『言語』として正式に認められつつあり、近い将来『手話言語』と呼ばれるようになるであろうこと

(デフ・ヴォイスのあとがきより抜粋)

 

これらは私にとって、全く未知の世界であり驚くことばかりでした。

そして「同業者」としての「手話通訳者」にとても親近感を覚えました。

 

ご興味のある方は、是非読んでみてくださいね。

 

 

 

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