中国語通訳 後藤ゆかりです。

 

フリーで通訳の仕事をしていると、実に様々なご依頼をいただきます。

 

私は基本的に司法関係が多いのですが、単発のご依頼はその限りではありません。

 

そんな中、今までで一番緊張したのは、手術室での通訳。

 

技能実習生として日本に来ていた中国人の女性が、乳がんであることが分かり手術を受けることになったため、病院からご依頼をいただきました。

 

彼女は既にステージ4だったため、片方の乳房の全摘という大手術。

 

当日、早目に病室へ行き、注意事項の説明や点滴など、手術前の準備段階から通訳をさせていただきました。

 

そしていよいよ手術室へ。

 

病院での通訳はそれまでにも経験していますが、手術室まで入るのは初めての経験。

 

ドクターやナースと同じ術着が着られるのかな?

ちょっと格好いいかも?

 

なんて、緊張の中で、そんな不謹慎なことを考えたりもしていました。

 

っていうか、あまりの緊張で、そういうチョットおバカなことを考えていないと倒れそうだったんです(笑)

 

で、実際はどうだったかというと・・・

 

もちろん靴下なども全て脱いで着替えるのですが、用意されていたのは検査の時に着るような、寸足らずの浴衣のようなもの。

 

しかも頭には使い捨てのシャワーキャップ。

そしてマスクを着用という、なんともおまぬけな姿・・・

 

自分の姿を想像しただけで笑いが込み上げてきそう。

そのおかげで随分緊張がほぐれました。

(もしかして、病院はそれを狙ってた?んな訳ないか)

 

全身麻酔なので、彼女が寝てしまった時点でひとまず私の仕事は終了です。

 

ところが、彼女は眠りに落ちる瞬間、何か言ったんです!

 

麻酔吸引用のマスク越しの小さな声だったため、聞き取れなくて、もう一度聞こうとしたら、すでに意識がなく・・・

あれほど「どうしよう」と思ったことはありません。

 

その後、手術終了まで待って、彼女の雇用主さんや同期の子たちにドクターが説明をする際にまた通訳。

 

摘出された乳房を見ながら、癌の浸潤状況などの説明を通訳するのは、なかなか経験できないことですね。

 

幸い、術後の経過は良く、無事に退院。

月に一度の検診にも付き合いました。

 

帰国後は連絡を取っていませんが、今でも元気でいてくれることを願って止みません。

 

 

 

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