もったいないのその先に
35歳、3人の子どもを育てる彼女は、
毎日の忙しさの中で自分の時間を見つけるのは難しかった。
香織は家計をしっかり守る頼れる主婦
家族を大切にし、無駄を嫌い、節約を徹底する香織には一つの悩みがあった。
「どうしても痩せられない!」
それでも健康のためにと意気込んで始めたダイエット。
しかし、いつも数日で挫折してしまう。
その原因は、彼女の「もったいない精神」だった。
ある日、彼女は友人の智子とラーメン屋にいた。
持っていたのは期限間近の餃子の無料券。
ねぇ智子、餃子無料券があったんだ。期限明日までなんだよね
えーーもうお腹いっぱいだよ。いいよ使わなくて
もったいないじゃん!無料だよ??
使わないと損するよ
香織は、お腹がいっぱいだったのだが
それでも「餃子無料券」はどうしても使いたかった。
無料だから・・・
「使わないと損」だから・・・
使わないっておかしいでしょう?
そう言って智子を押し切り
無料で餃子を追加した。
そして食べたくないけれど、
「もったいない」と思いながら皿を空にする。
食べたかったわけでもない、
食べた後は美味しさを通り越して気持ち悪ささえある。
それでも香織は、「無駄にしないこと」を優先したのだ。
ランチに出かけてもやっぱり「もったいない」が余計なカロリーをため込むことになる。セットメニューがあると、ついつい「せっかくだから、このお得なランチセットにしよう!」とカロリーを倍増させる。
カロリーを気にしながらも、
「もったいない」という魔法の言葉で心の重荷を軽くする。
はぁ・・・・
と自分の性格にため息が出る。
それでもどうしたらいいかわからなかった。
香織のもったいない精神は、食べ物だけにとどまらない。洋服も年々増えていくのに、「まだ着れるから」と、一向にいらない洋服を捨てられずクローゼットは重量オーバー。
いつの間にか、自分の身体も重量オーバー。
結婚前のすらっとした体は見る影もなくなった。
気がつけば
常に旦那に子供たちにイライラし
体調が悪い日が続くようになった。
旦那とは口を開けばケンカ。
今まで想像もしていなかった「離婚」という言葉が毎回出るようになったのだ。
ある夜、彼女はふと、インスタグラムで見つけたちぃさんのアカウントに目を止めた。ちぃさんは同じように子どもを育てながら、お酒も飲んで持病もあり、亭主関白な旦那さんを持ちながら前向きに生きている女性だった。彼女は意を決して、ちぃさんにメッセージを送ることにした。
「ちぃさん、初めまして。3人の子どもを育てながら、いつもダイエットに挑戦するのですが、いつも失敗してしまいます。もったいない精神が強すぎて、食べたくなくても無理やり食べたり、子どもが残したものを全部食べてしまいます。ちぃさんは食べ物を捨てることはできますか?罪悪感はないですか?どうしたら自分変えられるでしょうか?」
ピローン♪
彼女の元にちぃさんからの返事が届いた。
「こんにちは、メッセージありがとう。もったいない精神、わかります。多分日本国民の大体に組み込まれていると思う(笑)なので自分を責めないでくださいね。3人のお子さんのお母さん、それだけでとっても尊敬します」
「食べ物をもったいないと思い、香織さんがしていることでご自身の健康を犠牲にはしていませんか?最終的に、健康を蔑ろにしていまっているのであればそれこそそんなもったいないことはない。母親は家族にとって一番大切。自分の健康こそが何よりも大切だということを忘れないでください。飲兵衛な私が言える立場ではありませんが」
彼女はこの返信を読んで、あふれる涙を止めることが出来なかった。
物を大切にすること
食べ物を無駄にしないことの意義を
それが正しいと思い
子どもたちに伝えてきたつもりだった。
もったいない精神は大切だけど、自分の健康を犠牲にすることは、家族にとっても良いことではないのだといまさらながら痛感させられた。
ちぃさんは続けてこう綴った。
「食べ物を無駄にしないために、小さな工夫をしてみてください。たとえば、子どもたちが残したものを次の日のお弁当に使うとか、小分けにして冷凍しておくとか。
少しずつでいいので、無理をせず、自分のペースで始めてみてください。私は応援しています!」
次の日から、彼女は少しずつ自分の食事にも気を配るようになった。
残り物を無駄にしないために工夫しつつ、
自分のための時間も作るように努めた。
彼女の変化に気づいた子どもたちも、少しずつ自分たちで食べ物を大事にするようになった。彼女の新しい習慣は、家族全体に良い影響を与えていた。
旦那も家事に育児に協力的になったそうだ。
そして、数ヶ月後、彼女はついに目標としていた体重に達成。
それだけでなく、心も軽くなり、家族との時間もさらに楽しいものになっていた。ちぃさんに感謝のメッセージを送りながら、彼女は心からこう思った。
「もったいないと思う心も大切だけど、私自身を大切にすることが、家族みんなの幸せにつながるんだ。」
この瞬間、彼女は自分の中の新しい強さと優しさを発見したのだった。
家に帰った香織は、冷蔵庫の中を見つめながら考える。子どもたちが残した食べ物、余ったおかず…本当に必要なのは、
「もったいない」と感じる心ではなく、健康を守るための選択だと気づく。
「もったいないのは、私自身の体だわ!」と悟り、少しずつ食生活を見直す決意をする。
「もったいない精神、使い方次第で、あなたの人生が変わるかも?」




