GWいかがお過ごしでしょうか?
すがすがしい5月に、大型連休があるのは
嬉しいですね!
5月は、明るい季節の印象です。
新緑は輝き、花は美しく咲き、青い空に鯉のぼりが風にはためく。
けれど古来5月は「悪月」と呼ばれてきた月でもあります。
梅雨の前の蒸し暑さ、毒虫や蛇の目覚め、疫病の流行。
陽が長く強くなるほどに、目に見えない何かも活発になる
そういう季節として受け取られていました。
菖蒲の葉は、剣のかたちをしています。
先が細くとがり、まっすぐに天へ向かって伸びる。
ここで少し、植物の話を・・・
「菖蒲」という字を見て、紫や白の美しい花を
思い浮かべた方もいるかもしれません。
けれどその花は、アヤメ科の植物「花菖蒲」
菖蒲湯や菖蒲祭で使われるショウブとは、全く別の種です。
花菖蒲は目を楽しませる花であり
ショウブは葉と根茎に強い香りを持つ、ショウブ科の植物。
咲かせる花はガマの穂に似た、地味なものです。
葉の形が似ていることから同じ名で呼ばれるようになったのですが、
その混同はずいぶん古くからあるようです。
万葉の時代、ショウブは「あやめ草」と呼ばれていました。
菖蒲祭の菖蒲も、菖蒲湯の菖蒲も、選ばれたのは花ではなく、
この「葉の菖蒲」=ショウブです。
「尚武」と音が重なること。刃のような葉の形。強い芳香。
菖蒲が端午の節句に選ばれたのは、偶然ではありません。
「祓い」の属性を帯びた植物って感じですよね。
春日大社では、5月5日に「菖蒲祭」が行われます。
菖蒲祭では、菖蒲(しょうぶ)・蓬(よもぎ)を飾り
古式神饌と粽(ちまき)を神前に供え、天下泰平・五穀豊穣・子供の幸せを祈願します。
この祭に奉納されるのが、「散手(さんじゅ)」という雅楽の舞楽です。
鬼神の面をつけた舞人が、荒々しくも厳かに舞う。
散手は古来から悪魔祓い・厄払いの舞として伝わります。
菖蒲という植物が祭の名前を冠し、散手の奉納が行われる。
神事の場で、植物と舞と邪気払いが重なる瞬間です。
神社の植物歳時記#01は「春日大社と藤」でした。
藤は、春の終わりに揺れながら移ろいを受け入れた。
菖蒲は、初夏の入口に剣のように立って、見えない何かを遠ざける。
春日大社という社が、季節ごとに異なる植物の力を借りながら、
神事を重ねてきたことが、見えてきます。
菖蒲湯に入る、という習慣があります。
端午の節句の朝、浴槽に菖蒲の葉を浮かべて湯につかる。
葉の香りが湯気とともに立ち上り、体ごと包まれるような感覚。
その起源もまた、菖蒲を「祓い」の植物として使ってきた長い歴史にあります。
菖蒲湯に特別な作法はいりません。
葉を一束、湯に入れるだけ。
けれどその日、春日大社では散手が舞われている
ということを思うと、菖蒲湯のひとときが少し違って感じられるかもしれません。
悪月に、力のある葉を選ぶ。
香りで邪気を遠ざけ、舞で祓いを奉納する。
5月5日は、祓いの意味を重ねてきた日です。
祓いとは、恐れることではなく、ちゃんと向き合うこと。
植物とともに、季節の変わり目を越えていくこと。
春日大社の菖蒲祭に、そんなことを思います。
■神社の植物歳時記
#01「春日大社と藤」
#02「春日大社の菖蒲祭」この記事
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