■損害保険事務指導員 浜頭道子さん(はまがしら・みちこ)
「続けること」は簡単なことではありません。趣味もダイエットも、仕事も恋も。今回紹介する浜頭さんは、損害保険会社の事務職員として勤続20年のベテラン。「続けようというよりは、時の流れに身を任せてきた感じですが(笑)」と浜頭さん。その20年の道のりは、決して平坦なものではありませんでした。
浜頭さんの入社は、バブル絶頂の1989年。損害保険会社にしたのは「絶対潰れないと思っていたから」。1985年に男女雇用機会均等法が施行されたとはいえ、働き続ける女性はまだ多くなかった時代。まして一般職では。一般事務員として、保険契約者との対応や、契約内容の確認などを担当していた浜頭さんも、5年働いたら寿退社、アフター5が命!と仕事に対する意識はさほど高くなかったそう。「子供が小さいうちは母親がそばにいるのが当たり前、働く母親なんて鬼だ!と思っていました。……いま自分がその『鬼』になっているわけですけど(笑)」
それが一転したのは、26歳で一般事務の指導員になったとき。同じ職場にいた指導員は2人の子供を持ち、女性では珍しく課長職に就いていた人。「先行きがどうであれ、今仕事をしている以上は全力で取り組まなければならないと言われ……。公私ともに叱り飛ばしてくれた人に出会い、自分自身大きく変わりました」。プライベートでも転機が重なったことから、全道各地の営業所回りを1人でこなし、「心身ともに会社に捧げていた」ほどの働きマンに変身します。
自分の意見がきっかけで事務やシステムが新しく作られたり、混乱している課への支援で感謝されたり。ハードながらも充実した30代。一方で「もっと自分らしい仕事があるのでは」との悩みもありました。仕事が多く毎日が残業。専門知識のブラッシュアップも必要。「結婚、出産を経験し、今の仕事より在宅でできる仕事がいいんじゃないか、資格という武器が必要なんじゃないかと思って」。インテリアコーディネーターにフラワーアレンジメント、webデザイナー……。資格取得へ数々の資料を取り寄せたものの、今の仕事を辞めてまでやってみたいと思うものには結局出会えませんでした。
現在は、2人の息子を保育園に預けながら働く日々。お迎えと夕食は近所に住む実母が頼り。以前より仕事のペースは落としているとはいえ「市外への出張もある中、夫は私が働くことに理解があって、つい甘えそうになるのですが、どんなときでも感謝の気持ちは忘れないようにしています」。それでも、膨大な仕事を抱え帰りが遅くなりがち。加えて、やるからにはきっちり仕事をしたいと思う性格上、家庭と仕事のバランスは悩ましいそう。「もちろん大切なのは家庭だけど、とにかく仕事はしていようと。どうしても辞めたいときはいつでも辞められる。会社にすがる気持ちはないけれど、生活のために働かざるを得ないし、2度の育児休暇で自分には専業主婦は向いてないとわかったので(笑)」。
そして、子育てにめどが立った50代は――「子育てコーチングの資格を通して、母親、特に働く母親の支援を本格的にできたらいいなと。働く母は、それまでずっと評価される世界にいたのに、子供を産んだら評価されなくなる。専業主婦のママグループに入りにくいなど、孤独に陥りやすいと思うんです。自分の育児ノイローゼの経験が、そういう人たちのために役立てられればと思っています」。
■浜頭道子さん プロフィール
生まれも育ちも札幌市。短大卒業後、損害保険会社に事務員として入社。バブル時代を謳歌、「蝶よ花よ」の20代を過ごす。人生設計では結婚退職して育児に専念するつもりだったが、30代を目前に人生の荒波に遭い、仕事を続けることに。34歳で長男を出産し生後4カ月で復職。39歳で次男を出産し同1歳2カ月で復職。そして40歳になった今年、勤続20年を迎えた。
長男出産時に産後ウツ、次男出産後に育児ノイローゼを経験、育児との関わり方を考えさせられたことから子育てコーチングに魅せられ、今年9月PCP認定の子育てコーチに。同じような思いの人や働く母の悩みを共有し心が軽くなるきっかけ作りをしたいと考えている。
■浜頭さんのある日のスケジュール
05:00 起床、自分の時間
06:00 夫起床。お弁当・朝食作りしながら自分の朝食
06:45 長男・次男起床、夫と子供たち朝食、自分の身支度
07:30 保育園へ
08:00(会社までの通勤時間)自分の時間(音楽鑑賞・読書)
08:30 出勤(始業開始)
10:00 会議 or 研修(講師 or 受講)
12:00 お昼
13:00 午後の業務開始
19:00 実家へ子供たちをお迎え、自分の夕食、子供たちと遊ぶ
(保育園へのお迎えと夕食は実母にお願いしています)
20:00 お風呂
21:00 子供たちの寝かしつけ(含、絵本読み)
(そのまま就寝で起きられず、がほとんど)
23:00 (起きられたら)自由時間
25:00 就寝
■損保会社に勤めるには……
基本的には新卒採用だが、企業、職種によっては正社員の中途採用を行っているところもあり、転勤ありの全国型と、エリア限定の地域型に分かれているよう。経験者のみ募集とする企業もあるが、「業界経験がなくともやる気があればOK」というところもあるようだ。一般事務、コールセンター業務など契約社員としての採用も随時行っている。
written and photo by ズバーン
