SoLライター陣がおすすめするカルチャーアイテム。
今月のテーマは「泣ける絵本」!

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アンジュール―ある犬の物語/ガブリエル バンサン
¥1,365
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字のない、鉛筆デッサンのみの、絵本。
単純な描線が訴えかけてくるものは、豊かでとても深い。


物語の冒頭で、車に乗っている家族連れがドアから飼い犬を放り出す。どこか遠いところに捨てに来たらしい。犬は走り去る車を必死に追いかけ、やがてあきらめ、あちこちをさまよい歩く……という物語だ。
走る犬の姿からは、鉛筆で描かれた線だとは信じられないくらい、筋肉の躍動と緊張が伝わってくる。犬が、命がけで走っているということがわかってしまう。


どんどん遠ざかる車。やがて見えなくなる。犬は、諦めて、徐々に徐々にスピードを落としていく。とうとう、立ち止まる。鉛筆で打った点に過ぎない犬の姿にさえ、煙のように悲しさが立ちのぼっていて、涙があふれる。
やりきれない思いでページをめくっていくと、物語の終盤で心に温かな灯がともる。ほんのりとした予感のようなものを抱き、救いを求める気持ちで、ほっとため息をついて本を置く。


読み終わるといつも、魂の洗濯をしたような気持ちになる。
私の大切な宝物の本だ。

written by あっちゃん