私の祖母は、商売人でした。

若くして急逝した祖父の後を継ぎ、
女手一つで三人の子供を育てながら、
果物屋、のちには喫茶店を営んでいました。


わたしはよく、祖母のところへ預けられました。

幼いころの記憶には、母との思い出よりも、
祖母との思い出の方が多いほどです。


そんな祖母が、ある日私に一枚の硬貨をみせてくれました。


「おっきいおぜぜ(お金)だねぇ」


不思議がる私に、祖母は硬貨をみつめたまま
こんな話をしてくれました。


「これはね、東京でオリンピックっていうお祭りがあったときに、
特別につくられたお金なんだよ・・・」



つづく