第二百二話 国宝ハンター、話題の新人に遭う! | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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前回までのあらすじ~

あれ 国宝イイじゃん。

類いなくてイイじゃん。めちゃくちゃイイじゃん。

そう思い至った日から、国宝を求めて日本全国をツアーする国宝ハンター。

10年以上の歳月をかけて、1075件の国宝をハンティングすることに成功しました。

マジぎゅんぎゅんぎゅん 国宝好きすぎて滅!

果たして、今回狙う国宝は?

 

 

慶應義塾大学三田キャンパスにある慶應義塾図書館旧館。

重要文化財にも指定されている慶応義塾大学のシンボルともいうべき建物です。

 

慶應義塾大学図書館旧館、重要文化財

 

 

その2階に2021年にオープンしたのが、福澤諭吉記念 慶應義塾史展示館。

福澤諭吉の生涯と慶應義塾の歴史を紹介する展示館です。

入り口では、すっかりおじいさんになった(?)福沢諭吉が出迎えてくれます。

 

慶應義塾図書館旧館 福沢諭吉展示館

 

 

展示室内では、『学問のすゝめ』の貴重な初版本や、

実は免許皆伝の腕前を持つ諭吉の愛刀など、貴重なアイテムの数々が紹介されていました。

 

慶應義塾図書館旧館の論語疏写本

福沢諭吉の愛刀、黒塗りの刀と刀身

 

 

それらの中で個人的に最も印象に残っているのは、

還暦を迎えた諭吉が書いたというこちらの漢詩書です。

 

論語疏巻第六 国宝 福沢諭吉漢詩書

 

 

孔子の言行を記した『論語』には、
「六十而耳順(六十にして耳順う)」という一節があります。
孔子曰く、60歳になって初めて、人の意見に素直に耳を傾けられるようになったそうです。
しかし、諭吉はこの漢詩で、このように述べています。
私は60歳になる前からも天地のあらゆるものに親しく接し、人の言うことも聞いてきた、と。
つまり、孔子の教えに反論しているわけです。
・・・・・・・いや、それって、孔子の意見に素直に耳を傾けてないのでは??
 
 
と、それはさておきまして。
現在、こちらの慶應義塾史展示館では、
そんな『論語』に関する国宝が10日間限定で公開されています。
 
 
その国宝が、 《論語疏巻第六》(ジャンル:書跡・典籍)です。

 

論語疏巻第六 国宝の写本
 
 
そもそも『論語』は、紀元前5世紀頃に、
孔子の死後、弟子たちによって編纂され始め、
紀元前2世紀頃に現在の形として成立したとされています。
その数百年後の2世紀に、最古の『論語』の注釈書 (※)『論語集解』が成立しました。
(※難解な古典を理解しやすくするためのガイド本)
その『論語集解』の注釈書、すなわち注釈書の注釈書が『論語疏』です。

それゆえ、文面には「注」の字が多数登場します。

 

論語疏巻第六の古書

 

 

さて、こちらの《論語疏巻第六》は、『論語疏』の写本。

文字がお世辞にも上手くなかったり、

書き間違いがままあるのは、急いで書き写したからと考えられているそうです。

写本としての出来は今一つにも関わらず、国宝に指定された理由は、

『論語疏』の写本伝世品としては《論語疏巻第六》が現存世界最古だから。

隋やそれ以前の時代に書写された可能性が非常に高く、

まとまった紙の書物では仏教経典を除くと最古級の貴重な資料でもあるそうです。

 

そんな《論語疏巻第六》は、幕末以降行方不明でしたが、

2015年頃に突如として、古書市場に出現したのだそうで。

その後、慶應義塾が取得しました。
昨年9月には重要文化財に指定され、

今年3月に国宝にスピード昇格を果たしたのです。

国宝界の期待の大型ルーキーといえましょう(←?)。

 

なお、今回の展示では『遠年紙譜』も併せて展示されています。

 

国宝 論語疏巻第六(書跡・典籍)

 

 

『遠年紙譜』とは、江戸時代後期の国学者・橋本経亮が、

文書や典籍等から採取した紙片30葉を貼り付けた古紙見本帳です。

開かれていたページの一番左にある紙片は、《論語疏巻第六》の一部なのだそう。

よく観ると、《論語疏巻第六》の巻末に欠損がありました。

 

国宝《論語疏巻第六》の写本

 

 

経亮はこの部分を頂戴したようです。

欠損した紙片を大事にする。

SDGsな人物だったのでしょうね。

 

 

ちなみに。

国宝ハンターの記事は、気づけば約1年ぶり。

すっかり報告のタイミングを逃していましたが、
昨年7月には九州国立博物館の“九州の国宝”展にて、

 

 

 

《肥前国風土記》(ジャンル:書跡・典籍)

《銅板法華経・銅筥》(ジャンル:考古資料)

 

まだ未見だった九州に関する国宝2件をハンティングすることができました。

さらに、6月7日まで東京国立博物館で開催中の特別展、

 

 

 

内覧会(前期)に引き続き、後期も訪れて、

 

image

 

 

《秘府略〈巻第八百六十八/〉》(ジャンル:書跡・典籍)

《類聚国史〈巻第百六十五、第百七十一/第百七十七、第百七十九〉》(ジャンル:書跡・典籍)

《古今集巻十九残巻(高野切)》(ジャンル:書跡・典籍)

《入道右大臣集〈(彩牋)/〉》(ジャンル:書跡・典籍)

《水左記〈自筆本/〉》(ジャンル:古文書)

 

まだ未見だった前田育徳会所蔵の国宝5件をハンティング。

着実に、1100件の大台に近づいています。

 

 

今現在の国宝ハンティング数 1083/1154(1149改め)

 

 

 

 

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