スイス・ジュネーブの老舗名門プライベートバンク、ピクテ。
そのピクテグループが2008年にサステナビリティの課題を、
写真の力で関心を抱かすことを目的としたアワード創設しました。
それが、プリピクテ。
今では、国際的な写真展の一つに数えられています。
そんなプリピクテの開催は、18ヶ月ごと。
毎回、世界各地の350を超える推薦人が、約700人の写真家をノミネート。
その中から厳正なる審査を通じて、10人前後がエントリーされます。
10人/700人。
つまり、大多数の写真家が賞から弾かれてしまうわけです。
・・・・・サステナビリティとは真逆のような??
とそれはさておきまして。
プリピクテは、第1回の「Water/水」を皮切りに、
「Earth/地球」、「Growth/成長」といったキーワードで開催されてきました。
最新となる第11回のキーワードは、「Storm/嵐」。
その最終候補に選ばれた写真家12名を紹介する展覧会が、
V&A博物館、ドバイのイシャラ・アート・ファウンデーションに続き、
現在、恵比寿の東京都写真美術館にて開催されています。
出展されている作品の中には、
スーパーセル雷雨を撮影したカミーユ・シーマンや、
ブルターニュ地方の荒波を捉えたトム・フェヒトのように、
自然現象としての「嵐」を被写体にしたものもありましたが。
バラージュ・ガールディの作品のように、
2021年に起きたアメリカ大統領選後の襲撃事件、
つまり政変や社会不安といった「嵐」をモチーフにしたものもありました。
12人の作家の中には、日本人も。
写真黎明期の技法であるダゲレオタイプ、
いわゆる銀板写真で、あえて今制作している新井卓さんです。
今回は広島を取材した作品でノミネートされました。
ノミネートされた作家の中で、
特に印象に残ったのが、ボードワン・ムワンダ。
作品は、新型コロナウイルスによるロックダウン中に、
コンゴのブラザヴィルで起きた洪水の様子を捉えたものです。
何より印象的なのは、モデルの人々がまったく動じていないこと。
(いや、実際は動じていたのかもしれませんが)
膝まで水が浸かっているのに、さもそれが日常であるかのような雰囲気です。
カラフル過ぎる壁の色もあいまって、まるで何かの広告のよう。
オシャレにすら感じられました。
水に浸かる繋がり(?)で、もう一つ印象的だったのが、
パトリツィア・ゼラノによる《ヴェネツィアの高潮》シリーズ。
2019年、ヴェネツィアは観測史上最も大きな高潮に襲われ、浸水しました。
その被害に遭った本を被写体としたシリーズです。
本としては、もう使い物にならないでしょうが。
こうして積み重ねられたり、組み合わせたりすることで、
オブジェとしての新たな魅力、造形美が生み出されていました。
だからといって、高潮の被害が帳消しになるわけではないですが。
少しだけ救いのようなものが感じられました。
さてさて、第11回プリピクテを受賞したのは、
東京オペラシティアートギャラリーでの個展が控えるアルフレド・ジャー。
ユタ州のグレートソルト湖を被写体とした《ジ・エンド》という作品が高い評価を得ました。
グレートソルト湖は科学者たちに“環境的な核爆弾”と呼ばれているそう。
というのも、19世紀半ば以降、工場などに取水され、
水量の73%を失い、塩分濃度を危険なほどに高めています。
今や、湖は消減の危機。
今や、湖は消減の危機。
もし消滅した場合、ユタ州の経済や公衆衛生は、壊滅的な打撃を受けてしまいます。
また、グレートソルト湖周辺は、約1000万羽の渡り鳥の生息地でもあるそう。
そうした自然環境としても危機に瀕しているのです。
ちなみに。
プリピクテの受賞者には、10万スイスフランが授与されるとのこと。
日本円にして、約1900万円!
美術界や写真界にとっては大変ありがたいアワードではありますが。
そこまでの大金を掛けず、自然保護などに回したらいいのに。
なお、本展は無料で鑑賞できます。
それは素直にありがたいです。












