NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

現在、サントリー美術館で開催されているのは、

“NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし”という展覧会。

信仰の場や民衆の生活の中で大切にされてきた「根来」にスポットを当てたものです。

 

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サントリー美術館「NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし」展示風景

 

 

「根来」と書いて、「ねごろ」。

根来とは一般的に、黒漆を塗った上に朱漆を塗り重ねたものを指します。

長く使われることで、イイ感じに朱漆が磨り減り、

イイ感じに黒漆が現れた景色は、古来より数寄者たちの目を楽しませてきました。

和歌山県の根來寺で生産されていた朱漆器は、

かつて「根来塗」と呼ばれて特別視されていたそう。

江戸時代以降は、黒漆に朱漆を重ねた漆器全般を「根来」と呼ぶようになったそうです。

ところが、近年の根來寺の発掘調査によると、

境内には漆器を生産する工房の痕跡は認められなかったとか。

では、なぜ「根来」は「根来」と呼ばれているのでしょう??

本展には、そうしたミステリー要素もちょっと含まれています。

 

さてさて、会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは、瓶子の数々。

瓶子は根来のうち、とりわけ人気の高いアイテムとのこと。

まさに本展の冒頭を飾るに相応しい根来といえましょう。

 

根来展:朱漆の瓶子と美術品
サントリー美術館「NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし」展示風景
 
 
瓶子 (へいし)とは、神前にお神酒を供えるための酒器。
基本的に一対で神様に捧げられるものですが、
ペアで現存する瓶子の名品は、ほとんど確認されていないそうです。
ところが、手前に飾られた2つの瓶子は形がよく似ています。
そう、こちらのサントリー美術館が所蔵する瓶子と、
MIHO MUSEUMが所蔵する瓶子は、もともと一対だったと考えられているとのこと。
本展で奇跡の再会を果たしています。
 
瓶子にあらずんば根来にあらず。
・・・ということは、もちろん決してなく。
高坏や折敷などの根来の名品も、日本各地から数多く集結しています。
 

根来塗の台座付き漆器と展示品

手前:高杯 南北朝時代 延元3年(1338) 奈良・大神神社【展示期間:11/22~12/15】

 

 

それらの中には、国宝に指定されているものや、

 

根来塗の唐櫃と折敷(右)

手前)国宝《唐櫃(熊野速玉大社古神宝類のうち)》 南北朝時代 明徳元年(1390) 和歌山・熊野速玉大社【通期展示】

中央:《唐櫃》個人蔵/子守宮伝来【通期展示】

左:重要文化財《楯》鎌倉時代 嘉元3年(1305) 奈良・大神神社【前期・後期で入替あり】

 

 

東大寺や法隆寺や、西大寺や高野山といった、
日本を代表する寺院で大切に受け継がれてきたものもありました。
 

根来塗の器が展示された美術館の様子

サントリー美術館「NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし」展示風景

 

 

東大寺と言えば、重要文化財の《二月堂練行衆盤》も。

 

根来塗の盆:赤と黒の漆器

重要文化財《二月堂練行衆盤》 鎌倉時代 永仁6年(1298) 奈良・東大寺【前期・後期で入替あり】

 

 

こちらは、例年3月に東大寺二月堂で行われる修二会、

いわゆる「お水取り」で、篭りの僧侶が食事をする際に用いた盤です。

東大寺には11点が現存しており、そのうち6点が出展されていました(前後期入替あり)。

さらに、前期には、北村美術館と白鶴美術館が所蔵する、

東大寺伝来の《二月堂練行衆盤》も併せて出展されています。

鎌倉時代永仁6(1298)に制作され、

長年使われたことで生まれた盤上の景色は、一つとして同じものはありません。

たかが盤。されど盤。

悠久の歴史、雄大な景色を感じずにはいられませんでした。

 

根来のファンはもちろんのこと、

根来ビギナーにこそ、オススメの展覧会!

厳選された根来の名品の数々を通じて、きっと根来に魅了されることでしょう。

星星

 

 

なお、著名人にも根来に魅了されたファンは多いようで、

例えば、柳宗悦や河井寬次郎ら民藝運動でも「根来」が取り上げられました。

他にも、こちらの《折敷(角切)》は日本画家・下村観山の旧蔵品といわれています。

 

根来塗の瓶子と折敷

手前:重要美術品《折敷(角切)》鎌倉時代  弘長2年(1262) 個人蔵【通期展示】/伝下村観山旧蔵

奥:重要文化財《油壺》鎌倉時代 元徳2年(1330) 奈良・東大寺【前期・後期で入替あり】

 
 

こちらの《盃》(写真手前)は作家・白洲正子の旧蔵品です。

 

根来塗の酒器、高台、折敷など

 手前:《盃》 個人蔵/白洲正子旧蔵 奥:《四ツ椀》 個人蔵【いずれも通期展示】

 

 

意外なところでは、「世界のクロサワ」こと黒澤明監督が旧蔵していた根来も。

 

根来塗の盃と折敷

左:《輪花盆》 京都・北村美術館/黒澤明旧蔵

右:《曲盆》 個人蔵/黒澤明旧蔵【いずれも通期展示】

 

 

黒澤明の旧蔵品と知った上で観てみると、

重厚なストーリーが浮かび上がってくるよう。

1本の映画を観たかのような読後感がありました。

 

ちなみに。

本展のラストを飾るのは、《瑠璃の浄土》

室町時代の根来の箱に、古墳時代のガラス玉を取り合わせた美術作品です。

 

杉本博司《瑠璃の浄土》:根来の箱とガラス玉

杉本博司 《瑠璃の浄土》 平成17年(2005) 神奈川・小田原文化財団 【通期展示】

 

 

作者はもちろん、杉本博司さん。

現代を代表する数寄者です。

 

 

 ┃会期:2025年11月22日(土)~2026年1月12日(月・祝)※会期中展示替えあり

 ┃会場:サントリー美術館
 ┃https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2025_5/

 

 

 

 

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