(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
現在、サントリー美術館で開催されているのは、
“NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし”という展覧会。
信仰の場や民衆の生活の中で大切にされてきた「根来」にスポットを当てたものです。
サントリー美術館「NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし」展示風景
「根来」と書いて、「ねごろ」。
根来とは一般的に、黒漆を塗った上に朱漆を塗り重ねたものを指します。
長く使われることで、イイ感じに朱漆が磨り減り、
イイ感じに黒漆が現れた景色は、古来より数寄者たちの目を楽しませてきました。
和歌山県の根來寺で生産されていた朱漆器は、
かつて「根来塗」と呼ばれて特別視されていたそう。
江戸時代以降は、黒漆に朱漆を重ねた漆器全般を「根来」と呼ぶようになったそうです。
ところが、近年の根來寺の発掘調査によると、
境内には漆器を生産する工房の痕跡は認められなかったとか。
では、なぜ「根来」は「根来」と呼ばれているのでしょう??
本展には、そうしたミステリー要素もちょっと含まれています。
さてさて、会場に入るとまず目に飛び込んでくるのは、瓶子の数々。
瓶子は根来のうち、とりわけ人気の高いアイテムとのこと。
まさに本展の冒頭を飾るに相応しい根来といえましょう。
手前:高杯 南北朝時代 延元3年(1338) 奈良・大神神社【展示期間:11/22~12/15】
手前)国宝《唐櫃(熊野速玉大社古神宝類のうち)》 南北朝時代 明徳元年(1390) 和歌山・熊野速玉大社【通期展示】
中央:《唐櫃》個人蔵/子守宮伝来【通期展示】
左:重要文化財《楯》鎌倉時代 嘉元3年(1305) 奈良・大神神社【前期・後期で入替あり】
サントリー美術館「NEGORO 根来 ― 赤と黒のうるし」展示風景
東大寺と言えば、重要文化財の《二月堂練行衆盤》も。
重要文化財《二月堂練行衆盤》 鎌倉時代 永仁6年(1298) 奈良・東大寺【前期・後期で入替あり】
こちらは、例年3月に東大寺二月堂で行われる修二会、
いわゆる「お水取り」で、篭りの僧侶が食事をする際に用いた盤です。
東大寺には11点が現存しており、そのうち6点が出展されていました(前後期入替あり)。
さらに、前期には、北村美術館と白鶴美術館が所蔵する、
東大寺伝来の《二月堂練行衆盤》も併せて出展されています。
鎌倉時代永仁6(1298)に制作され、
長年使われたことで生まれた盤上の景色は、一つとして同じものはありません。
たかが盤。されど盤。
悠久の歴史、雄大な景色を感じずにはいられませんでした。
根来のファンはもちろんのこと、
根来ビギナーにこそ、オススメの展覧会!
厳選された根来の名品の数々を通じて、きっと根来に魅了されることでしょう。


なお、著名人にも根来に魅了されたファンは多いようで、
例えば、柳宗悦や河井寬次郎ら民藝運動でも「根来」が取り上げられました。
他にも、こちらの《折敷(角切)》は日本画家・下村観山の旧蔵品といわれています。
手前:重要美術品《折敷(角切)》鎌倉時代 弘長2年(1262) 個人蔵【通期展示】/伝下村観山旧蔵
奥:重要文化財《油壺》鎌倉時代 元徳2年(1330) 奈良・東大寺【前期・後期で入替あり】
こちらの《盃》(写真手前)は作家・白洲正子の旧蔵品です。
手前:《盃》 個人蔵/白洲正子旧蔵 奥:《四ツ椀》 個人蔵【いずれも通期展示】
意外なところでは、「世界のクロサワ」こと黒澤明監督が旧蔵していた根来も。
左:《輪花盆》 京都・北村美術館/黒澤明旧蔵
右:《曲盆》 個人蔵/黒澤明旧蔵【いずれも通期展示】
黒澤明の旧蔵品と知った上で観てみると、
重厚なストーリーが浮かび上がってくるよう。
1本の映画を観たかのような読後感がありました。
ちなみに。
本展のラストを飾るのは、《瑠璃の浄土》。
室町時代の根来の箱に、古墳時代のガラス玉を取り合わせた美術作品です。
杉本博司 《瑠璃の浄土》 平成17年(2005) 神奈川・小田原文化財団 【通期展示】
作者はもちろん、杉本博司さん。
現代を代表する数寄者です。
┃会期:2025年11月22日(土)~2026年1月12日(月・祝)※会期中展示替えあり
┃会場:サントリー美術館
┃https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2025_5/











