藝大取手コレクション展 2025 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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東京藝術大学大学美術館取手館に行ってきました。

 

東京藝術大学大学美術館 取手館 外観
 
 
上野にある東京藝術大学大学美術館には、
何度も訪れていますが、取手館を訪れるのは初めて。
何ならお恥ずかしながら、その存在もここ最近、初めて知りました。
とは言え、その歴史は意外と古く、昨年2024年に開館30周年を迎えたそうです。
 
見るからにただものでない外観をしたこの建物を設計したのは、
東京藝術大学大学美術館と同じく、藝大で教鞭を執っていた六角鬼丈さん。
 
東京藝術大学取手館の外観
 
 
「ウォールミュージアム構想」として設計されたという取手館には、
竣工時、現職教員だった作家の作品が壁や天井などに設置されています。
 
東京藝大取手館の石彫フクロウと建材アート
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そんな「ウォールミュージアム構想」は、

館内のトイレに至るまで徹底されていました。

洗面器が絵付けされていただけでなく、

 

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大藪雅孝《裸婦》(男子トイレ洗面器絵付)

 

 

4つ並んだ小便器にも絵付けがされていました。

 

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作者は、版画界を代表する銅版画家・中林忠良さん。

作品名は、《男のための小便器》とのこと。

青や黒はまだ、美しさを感じましたが、

赤に関しては、前の人が血◯したのかとギョッとさせられました。

 

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ただ、小便器での驚きは可愛いもの。

個室を覗いた際には、思わず「ヒッ!」と声を上げてしまいました。

 

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トム・ヘネガン《TOTOM》(男子トイレ衛生陶器絵付)

 

 

今まで数多くの美術館で、トイレを観てきましたが、

この取手館のトイレが、断トツでアートなトイレでした。

 

 

・・・・・と、トイレの話はこれくらいにしまして。

現在、取手館で開催されているのは、“藝大取手コレクション展 2025”

上野とは別に、取手には約13000件の作品が収蔵されています。

そこから選りすぐられた作品の数々を、3つのセクションに分けて紹介する展覧会です。

 

藝大取手コレクション展2025ウェルカムボード

(注:展示室内は一部撮影可。写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 


まず最初のセクションは、「自画像:1925→2025」。
藝大には、明治31年頃から始まり現在に至るまで、

卒業制作として制作された自画像を買い上げる伝統があります。

そうして収集された自画像は、約7000点にものぼるとか。

本展ではその膨大な自画像コレクションから、

1925年、1975年、1993年、2025年の4つの年代のものをセレクト。

時代の変化ともに、自画像のスタイルも変化する様を紹介しています。

 

藝大取手コレクション展2025、自画像展示

 

 

100年前の自画像は、画家としての自分を描いている印象を受けましたが、

その50年後の1975年の自画像は、個としての自分や内面を描いている印象。

今年2025年の自画像にいたっては、

フェイスパックに化粧を移したものであったり、

自身を象ったフィギュアであったり、もはや絵画ですらないものもありました。

 

続いてのセクションは、「卒業・修了制作:学びの集大成」。

原則的に自画像は全員買い上げられるようですが、

卒業・修了制作に関しては、特に優秀なものに限り、買い上げられることもあります。

本展ではその中から、小瀬村真美さんの《薇-sweet scent-》や、

千住博さんの《回帰の街》、藤田謙さんの《「始まり」と「終り」》などを紹介。

 

絵画が投影された展示室の椅子

東京藝術大学取手館の展覧会展示風景

 

 

今年の卒展に出展され、SNS上でも話題になった、

會見明也さんの《残像偶像no.3 [境界面上において変わりゆく自他について]も出展されています。

 

藝大取手コレクション展の抽象的な現代アート

 

 

パッと見は、デジタルのイメージのように見えますが、

実は、AIに生成させた画像をデジタル上でコラージュし、

その画像をもとに、會見さんがアクリル絵の具で描いたもの。

デジタルに見えて、実はアナログな作品です。

 

さてさて、取手館が収集しているものは、藝大生たちによる作品だけではありません。

本展を締めくくるセクション「過去に学ぶ:未来へ繋ぐ教育資料」では、

藝大の創立時より収集されてきた教育資料の数々が紹介されています。

 

高村光太郎 獅子吼 彫刻 東京藝大美術館

高村光太郎《獅子吼》

 

 

それらの中には、デッサンの授業には欠かせない石膏像や、

 

男性裸体トルソと男性胸像

《男性裸体トルソ》《アントニヌス・ピウスの胸像》

 

 

本邦初となる国内産のオルガン、

 

才田光則《オルガン》

才田光則《オルガン》

 

 

さらには、日本画家の前田青邨旧蔵のハニワの頭部もありました。

 

埴輪兜をかぶる男子頭部 藝大取手コレクション

《埴輪 兜をかぶる男子頭部》

 

 

そうそう、ハニワといえば。

ハニワが全体にあしらわれた花瓶も展示されていました。

 

埴輪模様花瓶 寺前為一作

寺前為一《埴輪模様花瓶》

 

 

制作されたのは、なんと大正15年とのこと。

一瞬、さくらももこさんの作かと思いましたが、

冷静に考えたら、そんなわけはありませんでした。

九谷焼の陶芸家・寺前為一が図案科を卒業する前に制作したものだそうです。

星

 

 

ちなみに。

昨年、取手館の建物と繋がる形で、

コンクリートのバケモノのような建物が竣工しました。

 

東京藝術大学大学美術館取手館の建物

藝大取手館:独特な外観とウォールミュージアム構想

 

 

その正体は、収蔵棟。

 

大学美術館取手収蔵棟の壁

 

 

普段は非公開となっていますが、

原則として毎週火曜日に、収蔵棟2階にある「魅せる収蔵庫」が、

美術館のスタッフによるガイドツアー形式で一般公開されています。
 
藝大取手コレクション展の彫刻と絵画
藝大取手コレクション展:展示室の様子

 

 

各回15名定員。事前予約制の先着順。

年に数回ほど、展示を入れ替えているそうです。

 

これほど立派な収蔵棟ができたので、

しばらく取手館は収蔵には困らなさそう。

取手館のコレクションは、ますます充実そうです。

 

 

 

 

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