#2 【サウナ】 で紐解く マーク・ロスコ (後編) | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。

(中編) からの続き―

鑑賞者を巨大な色そのものに包むことで、何かしらの影響を与えるアート。

それが、 カラーフィールド・ペインティング



アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-ロスコ展



では、具体的に。

このロスコの赤い作品は、

人にどんな効果を与えるのでしょうか?

 
 

その一つが、前編 でもお伝えしましたが、暖かさ

 

この赤という色に、

心理的に暖かさを感じさせる効果があるというのは有名な話。

 

例えば。

【サウナ】 もこの心理的な効果を巧みに利用しています。

一般的に、赤外線 【サウナ】 と言えば、


アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-【サウナ】

 

室内は、このように赤い。

 

“えっ、赤外線なんだから、当然赤いんじゃん?”

 

と、思っている方、

それは大きな間違いです!

赤外線は、その名の通り、赤の外の線。

つまり、赤と認識できるよりも、外の色。

人の目には無色としてしか映らないのです。

ですから、

 
アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-サウナ

 

 

このように赤くない室内でも、

十分に暖かく、 【サウナ】 として機能するのです。

 
 

が。

これでは、やはりどうも暖かいような感じがしません。

そこで、 【サウナ】 は、

わざわざ赤い照明を焚くことで、人に暖かさを感じさせているのです。

赤外線ストーブや、

こたつの照明が赤いのも、これと全く同じ理屈。

 

僕が、他の展示室と同じ室温だったロスコの部屋が暖かいと感じたのも、

きっと 《シーグラム壁画》 に使われている赤い色が、心理的な効果を及ぼしたゆえでしょう。
 
 

この他にも、赤色には…

アドレナリンなどのホルモンが分泌されやすくなったり、

血液の流れが早くなったり、体温が上昇したり。

と言った効果があります。

 
以前、川村記念美術館のロスコ・ルームで、

いきなりヨガをし始めたつわものがいたそうですが (学芸員さんによる本当の話)、

その方は、おそらく相当なアドレナリンが分泌されてしまったのでしょう。

 

また、他にも、

心身を活発にさせたり、

興奮作用をもたらせたり、

傷の治癒にも効果があったり、

と、イイことづくめの赤色。


そう、ロスコの作品は、 【サウナ】 同様、

浴びるだけで健康になれるのです!

 
 
 

さて、ロスコは、自分の作品に対して、

こんな言葉を残しています。


「自分の作品を構成しているものは、

何よりも、まず “死” 、

それから、“官能性” “緊張” “アイロニー” “機知と遊び心” “はかなさや偶然性” 、そして最後に10%の “希望” 」



実は、この言葉にもあるように、

ロスコの部屋は、単に心地よいだけの癒しを感じるような空間ではありません。


時には、背筋がピンとするほど緊張し、

時には、深く自分というものを見つめ直し、

時には、精神的に圧迫され、逃げ出したくなり…


と、 【サウナ】 のように長時間いると、

苦しさを伴う場合があります。

 

しかし、それでも、ロスコの部屋に居続けるのは、

その先に、ロスコが絵に込めた10%の希望があるから。

 

それは、 例えるなら、

【サウナ】 の室内で、苦痛の中、汗を流しながらも、

 

“きっと、もう少し耐えれば、ビールが美味く感じるはず!”

 

“きっと、もう少し耐えれば、スリムな体になるはず!”


という10%の希望にすがりつくような感覚。

 
 

この苦痛の先に感じられる希望こそが、

ロスコの部屋で感じる何よりもの魅力ではないでしょうか。

 

 

皆様は、ロスコの部屋で、どんなロスコ効果を感じるのでしょうか?

では、また。次回の “とに~の美術家列伝” で。