右足膝下切断し入院中の婆さん

病名は糖尿病壊疽である

只今リハビリの真っ最中である

オペ直後のドクターの話では

退院のゴールは傷が癒える事であり

義足を付けて立つのは

年齢的にも無理とのことだった


なのに

ここ1週間程、婆さんからひっきりなしに


義足を付けて貰えるというメールが来る


自分がリハビリで優秀であること
動きが俊敏であること
リハビリの先生は義足で歩けると太鼓判を押した
看護師さんも義足で歩けると言う
デイケアにも老人で義足の人がいるから自分にも出来る



そんな訳がない!


婆さん立派な二本の足があるのに使わず
生活していたではないか!


自分で靴下も履こうとしない人間が
自分で義足を付けれるか?


一ケ月前までクララだったんだ

忘れたのか?


等と反対すると

「いや、歩けるらしい」と

仮義足の値段は30万円

自分で一番安いのにして欲しいと言った

一旦立て替え、後日保険で返金される


なのでお金を出して欲しいと


これが恐ろしい程のメールの嵐


「お願い!もう一度歩かせて」


小さな子供がスーパーで

お菓子を買ってと駄々をこねる姿と重なる



昨日、ドクターと主任看護師さんとの面接


その席に婆さんも加わり


ドクターが

「ご本人にも納得して頂きたいので来て貰いました」

「傷は殆ど治っています」

「それで今後の方向ですが」

「松葉杖をつける状態なら義足を作る手もありますが」

「松葉杖も使いこなせず、その他リハビリも
今一歩だと聞いていますので…」




ここから義足を付けた場合のリスクの
話が続く


「先生、その通りだと思います」


「看護師さん、リハビリの先生

皆さんから義足を勧められていると聞いている」


「万が一作ったとして転倒して骨折等したら
うちの婆さんは誰それさんが義足を勧めたから、怪我した」

と言いかねない

その心配が一番です


「義足をつけれるよ」というのは

嘘だったようだ



まんまと騙されるところであった


義足を付ける付けないで

どれ程時間を費やしたことか


嘘をついて回りを混乱させた事など
何とも思ってない




憂さ晴らしのすき焼き


子供の頃にしか食べた事がない

お麩

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すき焼きの煮汁をたっぷりと吸ったお麩

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これがお肉より美味しいって


この歳になったからこそ

分かるのかもしれない

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これを「主役を喰う」脇役というのだ


「義足をつけたかったわ、残念だわ」と
メールが届いた


残念なのは脇を翻弄させる主役の貴女だ


 
 
 
 
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