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「×」が見つからない広告は許される?閉じられない広告をめぐる法的問題と規制 #エキスパートトピ

 

前田恒彦

元特捜部主任検事

 

 

 

(写真:イメージマート)

スマートフォンやウェブサイトで広告を閉じようとした際、「×」などの閉じるボタンが見当たらず、戸惑った経験がある人は多いでしょう。近年は、画面の端に小さく「close」と表示するなど、意図的に閉じにくくしたとみられる広告が増え、利用者の不満が高まっています。このような広告手法に法的な問題はないのでしょうか。

ココがポイント

閉じるボタンを探しているうちに広告ページを誤タップさせるなど、広告に興味がない人のタップを誘発
出典:ITmedia NEWS 2026/6/18(木)

ほとんどの人はタップする場所を間違えたか、タップしそこなったのかと自分の操作ミスをうたがってしまうが、実際には偽装
出典:ITmedia 2026/2/5(木)

特定のケースにおいて、消費者保護やプライバシー保護に関連した法令の違反となる可能性があります
出典:IIJ BizRis 2025/7/25(金)

日本でも、2026年中には消費者庁がダークパターン規制に関する検討を本格的に進めるとされています
出典:東芝テック株式会社 2026/2/20(金)

エキスパートの補足・見解

閉じるボタンを意図的に見つけにくくする手法は「ダークパターン」と呼ばれ、事業者が望む選択へと利用者を誘導するための画面設計の一つですが、海外では利用者を困惑させるものだとして、規制の対象とする国や地域が広がっています。


例えば、EUのデジタルサービス法は利用者の意思決定を歪める仕組みを禁じていますし、米国でも連邦取引委員会が欺瞞的行為として問題視し、行政措置や制裁金の対象としています。


これに対し、日本にはダークパターンを包括的に禁止する法律はありません。表示内容や誘導方法によっては景品表示法上の不当表示などの問題が生じる可能性がありますが、現行法は主に表示内容の適正化を目的としており、画面設計そのものを直接規制する仕組みにはなっていません。


利用者の意思ではなく錯誤や誤操作によってクリック数を稼ぐ仕組みは、広告本来のあり方から逸脱しています。短期的にはクリック数の増加につながっても、不快感や不信感を招けば、広告主や媒体そのものの評価を損ないます。日本でも、消費者の自主的かつ合理的な選択をどのように守るのかという観点から、法規制を含めた対応のあり方が議論されるべき時期に来ているのではないでしょうか。