わたしたちの楽しみでドキドキのチャレンジ「友達の輪」へようこそ!
「普通の毎日を生きる面白い人たち」をクローズアップして、その生き様をご紹介させていただきます。そして、その人から、また別の方へ……ざまざまな個性と魅力に富んだ方々と出会えることを楽しみにしています。
第16回目のゲストは、見上歌奈子さん‼︎
西久保美千代さんからのご紹介です。
(まり)お名前とどんなことをされているかを教えてください。
(かなこ)みかみかなこです。メキシコでパンとケーキのお店をやっています。
(まり)インスタグラムを見せてもらったんですけど、彩りとかデコレーションとかすごくワクワクする感じで素敵ですね。
(かなこ)本当ですか?
(まり)すごくかわいいです。
(かなこ)ありがとうございます。
(まり)メキシコに住んでどれぐらいなんですか?
(かなこ)今年でもう14年かな。
(まり)メキシコに住むきっかけはなんだったんですか?
(かなこ)最初はイタリアに行きたかったんですけど。日本ではイタリアンレストランで働いていて、外国に行こうと思って色々調べていて、そんなとき、ちょっとした縁があってメキシコ行きが決まっちゃったんです。
(まり)えーーー(笑)じゃあメキシコに行くけど、いつかはイタリアに行こうと思ってたんですか?
(かなこ)そのときはメキシコ行こっかって。すっかりそっちになっちゃいましたね。
(まり)メキシコに行って、イタリアンレストランで働いていたんですか?
(かなこ)日本人の友達のお父さんがメキシコで日本レストランをやっていて、そこでパンとケーキのお店をやるからって、それでケーキできる人を募集してて、それで行くことになったんです。
(まり)日本でパティシエをされていたんですか?
(かなこ)働いていたカフェやイタリアンレストランでケーキを担当させてもらっていたんです。
(まり)それでメキシコでいきなりお店を手伝うことになったんですか?
(かなこ)そうですね。他にも私以外にもう1人、日本人の女の子がいて、その子と一緒に始めたんですけど。
(まり)いまもそのお店なんですか?
(かなこ)そこは2年くらい働いていて。私が始めて半年後にあきこさんという、いまも一緒にやっているパン職人の子が来たんですよ。あきこさんとは一緒に働いて、一緒にも住んでいたんです。
(まり)うんうん。
(かなこ)メキシコって危ないからと、社長がマンションを用意してくれていたんですけど、一緒に住み始めたら意気投合して。2年くらいそこで働いて、その後に彼女を誘ったんです。「せっかくだから一緒に何かやろうよ」って。
(まり)へぇー!
(かなこ)最初はあきこさんが「私はもう帰るから」って断られたんですけど。でもかなり長い間考えていたあとで結局「やっぱりやる!」ってなって。
(まり)へぇー!
(かなこ)それで一緒に始めたんですけど、でも物件とか見つかるまでの間、結構、時間がかかりました。当時は私はまだ結婚していなくて、のちの旦那さんと一緒に住んでいたんですけど、そこにあきこさんも平日居候みたいな感じでいて。そこでパンとケーキを作って予約だけで、日本人を相手に販売していたんですよ。
(まり)へぇー!うんうん。
(かなこ)最初の職場でも結構お金貯まったんだけど、更に貯めることができて。やっと物件が決まって、2012年にポランコという割と高級な地域で店をオープンしたんです。
(まり)すごーい!
(かなこ)それもあきこさんと一緒にやったんですけどね。その後、他の人を入れたり、共同経営を始めて……そうすると共同経営のイザコザみたいなことが色々出てきて、経営も任せっきりだったから「これはもう辞めた方がいいんじゃないか」という話になって、2人で手放したんです、そのブランドを。
(まり)えーーー⁉︎ その共同経営の人にあげたってこと?
(かなこ)そう。もうなんか経営自体もガッチリつかまれちゃってたから。そんなところで働いてても、ちょっともう考え方とかも違うんですよ。
(まり)うんうん。
(かなこ)なんでも機械がやればいいじゃないけど、もっとチェーン展開したいみたいな。チェーン展開が悪いわけじゃないんですけど、土台がしっかりしていないのに色々広げていくと変わっていくじゃないですか。だから私たちはやりたくなくて、考え方が全然違うから私たちは辞めますと言って、そのまま続けたいんだったらどうぞと。
(まり)譲ったんだ。
(かなこ)でも結局作っているのは私とあきこさんだから、その後3ヶ月くらいはやってたんですかね。日本人のお客さんも行かなくなっちゃうし、それで2017年に辞めたんですよ。
(まり)5年くらいはやっていたんですね?
(かなこ)そうです。5年間やっていて結構、軌道にものってて。いまもあるのかな?その当時『世界の日本人妻』という番組があったじゃないですか。
(まり)あった!
(かなこ)あれにも出たんですよ。
(まり)へぇー!!!
(かなこ)あれは反響があったみたいで、高校の同級生とまったく連絡取っていなかった人たちからも「出てたよね!」みたいな(笑)そのとき「Bimmy (ビミー)」というお店だったんですが、メインはすごくイチャイチャするメキシコ人旦那みたいな特集だったんです(笑)
(まり)アハハハ!
(かなこ)それに出させてもらって、2017年の3月に店を辞めて、4月からいまの「Tsubomi」」というお店を始めたんです。
(まり)あきこさんと2人で?
(かなこ)そうそう、本当にゼロのゼロで。持っていた機材とかもそのまま置いてきちゃったんで。
(まり)うんうん。
(かなこ)今度はあきこさんが住んでいた家で(笑)
(まり)アハハハ!
(かなこ)ビルで一軒家なんですけど、日本とはちょっと違うんですよね。一軒家といっても、ちょっとビルじゃないけど分かれてるというか。
(まり)へぇー。
(かなこ)そこに大家さんのお母さんとあきこさんだけが住んでいたんですよ。すごく大きいんですけど。
(まり)うんうん。
(かなこ)大家さんのお母さんがオーブンを貸してくれて。
(まり)アハハハ!
(かなこ)あれですよ、普通の家庭用のちょっと下に付いているようなやつね。
(まり)うんうん。
(かなこ)それでもう一回やり始めて。
(まり)イヤーすごい!
(かなこ)ポランコといういい所でやっていたはずが、もう一回本当のゼロのゼロみたいな感じで。だけど2人ともあのとき決心して本当に良かったなと思って。
(まり)かなこさんとあきこさんは、大事にしていることが同じなんでしょうね。かなこさんが仕事をするとき、ケーキを作る上で大事にしていることってなんですか?
(かなこ)大事にしていることは、いつも初心を忘れないことね。
(まり)初心って、かなこさんにとってどんな感じですか?
(かなこ)お店の「Tsubomi」もその意味が入っているんですけど、蕾って花が咲く前の段階、始まりじゃないですか。ここから成長していくってことで、その名前をつけたんですけど。メキシコに来て色々なことに慣れていくと、慣れってやっぱり良くないじゃないですか。いまはメキシコ人のお客さんもたくさん増えたんですよ。だけど一番最初に支えてもらっていたのは、やっぱり日本人のお客さんたちだし、日本の方たちが遠いメキシコに来て、慣れない所で暮らすわけじゃないですか。駐在員さんとか奥さんとか本当に大変だと思うんですよ。言葉も分かりにくいところで。
(まり)本当ですよね。
(かなこ)そういうところでお子さんも連れて来てるから、安心して日本語で注文ができて、味も安心して楽しめる。食ってやっぱり大切じゃないですか。そういうのを日本と同じようなサービスをいつも提供できるようにというのは大事にしていますね。
(まり)美千代さん(前回のゲストさん)が、かなこさんを紹介してくれるときに、人を大事にする人なんですよって言ってました。見た目もすごく美しくて、作るケーキも美しいって言ってました。
(かなこ)褒め殺しじゃないですか(笑)
(まり)すっごい褒めてました。
(かなこ)嬉しいです。
(まり)話を聴いてて、私もそう思いました。
(かなこ)美千代さんには本当にお世話になって。私がメキシコに行くっていう飛行機の中で出会ったんですよ。
(まり)そうなんですか⁉︎ 行きの飛行機で出会ったんですか?
(かなこ)そうです。初めてメキシコに行くときに。
(まり)それすごい!
(かなこ)すごいですよね。しかも隣に座ってたんですよ。
(まり)すごい!
(かなこ)美千代さんが窓側の奥で、一個席が空いてて、その隣が私で。当時は直行便じゃなくて一回ティファナかどこかで止まるんですよ。それまでの間、ほとんど会話していなくて。私、美千代さんを外国の人だと思ったんですよ。
(まり)そんな感じだったんですね(笑)
(かなこ)通るときに声をかけるじゃないですか、そのとき「この人、日本人だ」と思って、ティファナで降りるときに色々聴いたんですよ。私、飛行機も慣れていないし、スペイン語も全然喋れないし、何にも分からなかったので紙の書き方とか、初めてメキシコ行くんですとか。そのティファナの待ち時間、ずっと一緒にいてくれて。過去の恋愛話まで盛り上がっちゃって(笑)
(まり)アハハハ!
(かなこ)それですごく仲良くなって連絡先を交換して、住まいもわりと近くて。だから色んなことを教えてもらいましたよ。
(まり)わー、この出会いは心強かったですね。
(かなこ)心強かったです。本当に。
(まり)言葉もまったく分からずに行ったってことなんですね。
(かなこ)そうそう、全然分かんない。「オラ」と「グラシアス」だけです。
(まり)スペイン語はどうやって覚えたんですか?
(かなこ)着いてすぐに週に1回だけ個人レッスンを自宅に来てもらって。最初は拙い英語で頑張ってみたんですけど。たまたま英語を喋れる人も周りにいなくて。これはやっぱりスペイン語をやるしかないなって思って。でも本当に少しずつですよね。
(まり)メキシコは住んでみて好きになったんですか?
(かなこ)そうですね。
(まり)どんな魅力があるんですか?
(かなこ)メキシコの食べ物がすごく好きなんですよね。最初は「ウェッ!なんだこれ」っていうのも結構あったんですけど、いまじゃ飲み過ぎた二日酔いのときは、それを食べるみたいな感じになったりして。
(まり)へぇー。
(かなこ)あと…色々あるけどメキシコ人も好きです。
(まり)大らかとかテンション高そうとか。
(かなこ)それはありますね。陽気で楽しいですよね。ただ一緒に仕事をするとなるとやっぱり価値観の違いはすごい大きいから。
(まり)たとえばどんな価値観の違いがありますか。
(かなこ)まず時間にルーズ。日本人だったら10時出勤ですよってなったら、その前に来て準備して「できます。オッケーです」という時にタイムカードを押すって感じじゃないですか。
(まり)うんうん。
(かなこ)まーそれは違いますよね。10時過ぎに来ても「すみませーん」もない。なんで遅刻するの?って聞いたら、渋滞がなんとかでって言うんですけど、それが毎日だから。渋滞があることは知っているんだからもうちょっと早く出ようよってなるじゃないですか。
(まり)アハハハ!
(かなこ)だけどいま一緒に働いている子は時間守る子が多いので、かなりそのストレスが減りました。
(まり)日本と全然違いそうだもんね。メキシコに住んで価値観が変わったことってありますか?
(かなこ)日本にいたときは、私は結構ダメ人間というか。人に甘えてずっと過ごしてきた感があるんですよ。それを周りの優しい人たちに許されて、ぬるま湯に浸かって生活してきたんです。仕事の面もそうだし。それがメキシコに来ていろんなことが変わって、すごいスパルタ教育を受けている感じで。自分の悪い所を良くも悪くも優しく認めてくれる人たちに囲まれてぬくぬく過ごしてきたのがまったくなくなって。感情のコントロールの仕方をすごく気にするようになった。最初はすごいムカついて「もうなんで⁉︎意味が分かんない」って。業者さんでも水曜日の13時に来ますて言ってるのに、17時に来たりとか。
(まり)アハハハ!
(かなこ)それか連絡もなく本当に来ないとか。スタッフにしても遅刻が多いとか休みが多いとか体調崩してとか。「自己管理をしっかりしろ!」ってこっちは思うんですけど、でもふと考えて相手の気持ちに寄り添うよう努めてます。だって怒られてやる気が出る人は、ほとんどいないじゃないですか。
(まり)うんうん。
(かなこ)そこをすごい学んできているなっていうのはありますね。
(まり)器が大きくなるというか。
(かなこ)「なんでよ⁉︎」と言いそうになることを「大丈夫だった?体調どう?元気?」とちょっと言ってあげるとか。
(画面に5歳のかわいい息子さんが登場)
(まり)日本語喋ってる!
(かなこ)私は日本語しか彼には喋らないんで。ミックスすると頭が混乱するんですって。
(まり)旦那さんとのコミュニケーションはスペイン語?
(かなこ)私と旦那さんはスペイン語。パパと息子もスペイン語。
(話を戻します)
(まり)受容力がついたってことですね?
(かなこ)私は最近ケーキを作ってばかりじゃなくて、経営の方が大きいんですよ。最後のケーキの仕上げとかはするんですけど。オフィスで働いていて、あきこさんは全開でキッチンにいるから、たまに来るわけですよ。「ムカつきが止まらない」みたいな(笑)
(まり)アハハハ!
(かなこ)話を聴いて日本人同士だし昔から知っているから。「でもね、そこで怒ってもしょうがないから」ってなだめる(笑)
(まり)あきこさんとの関係性なんですけど、もう14年くらいでしょう?友達と仕事をし始めるとぶつかるところとか難しいところとかあるじゃないですか。そういうのはどうなんですか?
(かなこ)ないです。
(まり)すごいねー!
(かなこ)本当に性格が全然違うんですよ。私は直感で動くタイプで、彼女は悩んで悩んで悩みまくるタイプで。彼女はめちゃくちゃ職人さんで、パンを作るのは彼女。作り手の全体は彼女なんですよ。私は色々意見は言うけれど、それはお客さんからとしての目線というか。求めている好きな味は似ているから、味のことでぶつかることはないし。彼女は野菜が好きで、私は肉が好きなんですよ。例えばカボチャの煮物でも私は上の柔らかいところが好きだけど、彼女は下が好きなんですよ。だから一緒に住んでいる時も脂身は私が食べて、赤身のかたい肉はあきこさんが食べるみたいな。喧嘩にならない。
(まり)そうなんだね。
(かなこ)一緒に仕事してても喧嘩は、本当にないですね。私がガミガミ言ったりするけど、それで言い合いにならないし。お互いの役割が分担されているから。結構、言われますよ。いまはコロナがあるから全然集まれないですけど。日本人同士の飲み会とかやって、大勢いる中で私とあきこさんが2人で語り合って飲んでいたりすると「仕事の時に一緒なんだから、離れてもいいんじゃない」って(笑)
(まり)プライベートでも相性がいいってことでしょう?
(かなこ)そうですね。タイプが全然違うからなのかな。
(まり)素敵。
(かなこ)休みの日とかも家に誘ったりとかね。旅行とか一緒にとか。
(まり)かなこさんは、子どもの頃はどんな子だったんですか?外国に憧れたりしていたんですか?
(かなこ)小学校高学年の頃からずっと英語が好きで勉強していて、中学の時も英語が得意で高校は留学が入っているような私立を選んだりしたんだけど、公立に受かっちゃったからそのまま公立に進学したんです。その後もずっと外国には憧れがあって、でも行くことはなくて。イタリアンレストランで働いていたときに研修でイタリア旅行があったんですよ。それでイタリアに行ったら、そうだ外国に行きたかったんだなって夢を思い出したというか。
(まり)へぇー。パティシエになりたいと思ったのはいつですか?
(かなこ)パティシエになりたいというか、私は料理がすごく好きで。レストランでアルバイトしたんですが、なかなかキッチンに入れてもらえなかったんですね。最初、高校卒業してから少しモデルとかをやっていたんですよ。
(まり)美人やもんねー!
(かなこ)でもそれだけでは食べていけないじゃないですか。だからそれと併用してアルバイトをしてて、食べ物が好きだから飲食でアルバイトしていたんですけど。働きながら調理師免許を取って、でもなかなかキッチンで完璧に働かせてもらえない。ちょっとした補助とか、ホールとか。それを続けていました。渋谷に「ピノサリーチェ」というレストランがあるんですけど、そこは女の人が2人で共同経営しているんですよ。
(まり)うんうん。
(かなこ)結婚して仕事も両立されているというので、すごく憧れて。いいなーと思ったので面接行って、そこで働かせてもらって。そこでイタリアのお菓子や前菜を作らせてもらったりして。本当にケーキだけってなったのは、メキシコに来てからですね。
(まり)面白いね。料理の世界に入ったからこそ外国に行きたかったことを思い出したんですね。
(かなこ)そうですね。
(まり)ちゃんとなるようになっていますね。
(かなこ)曖昧なようで、最終的に全部繋がってて。いまはやっとちゃんとひとつのことを続けられている感があります。
(まり)憧れていた結婚していて共同経営している女性と、まったく同じ感じになっていて。
(かなこ)そうそう。分かり合っているわけじゃないですか、あきこさんと。信頼感もやっぱり全然違うし。
(まり)一生メキシコですか?
(かなこ)いまのところ帰るつもりもないですよね。
(まり)メキシコが、自分の土地って感覚はあるんですか?
(かなこ)住むのはメキシコの方が合っているんだと思います。
(まり)ケーキやパンは、日本人寄りの味なんですか?
(かなこ)最初の頃は、甘くないとか味がないとか言われたりしたんですけど。かと言ってレシピは変えてないですね。
(まり)自分が美味しいと思ったものを作っている感じ?
(かなこ)そうですね。メキシコの味の文化というのも多分変わってきたんだと思うんですよ。砂糖の分量を変えたりもしなくて、そのままでもメキシコのお客さんも増えてきたので。
(まり)それも素敵だな。
(かなこ)最初こそフランスパンとかヨーロッパ系のパンは、作っても売れないよって言われていたんですよ。実際そういうパン屋さんも少なかったし。だけどやっていくといまはすごく売れてますし。
(まり)すごいね!
(かなこ)逆に惣菜パンとかは売れるのは日本人だけですよね。
(まり)そうなんだ!美味しいのに。
(かなこ)日本風のコーンマヨパンとかそういうのは通常の店頭販売には出してない。
(まり)予約ってこと?
(かなこ)週3回、定期配達をしていて。日本人がたくさん住んでいる地域があるんですけど、そこに注文をまとめて配達に行くというのをやっているんですよ。そこは週替わりのメニューを入れてて、焼きそばパンとかそういうのを入れてる。
(まり)メキシコの人は食べないんだ。
(かなこ)あんまり食べないんですね。
(まり)でもフランスパンとか、メキシコの食文化をちょっと変えたってことですね。
(かなこ)最近は他のパン屋さんとかでもバゲットとかクロワッサンとかありますけど。でも身内を褒めることになりますけど、あきこさんのクロワッサンとはレベルが違いますよね。
(まり)すごい!メキシコの食文化の革命ですね。
(かなこ)そういう風に言ってくれる人がいると嬉しいですよね。フランスで食べたのより美味しかったよって。ケーキも繊細なデザインがすごいかわいくて。かわいいだけじゃなくて美味しかったって言われると嬉しいです。
(まり)人生でのハプニングってありますか?お店を譲った話もそうですよね。
(かなこ)あの時はすごかったですね。あの時はすごい痩せました。ストレスなんですかね。
(まり)だってお金を貯めて、やっと自分たちのお店を持ったのに。
(かなこ)自分が悪かったんだと思いますよ。これまでぬくぬくとぬるま湯に浸かって生きてきたから、人を疑うということもまったくしてなかったし、言われたら「そうなんだ」という感じで。全部信用しちゃうというか。それは本当にダメでしたよね。日本という携帯をその辺に置いても盗まれないような場所に住んできたわけじゃないですか。
(まり)うんうん。
(かなこ)いまの日本はどうなのか分からないけど。当時は本当に安心で、どこに行っても言われた通りにやっていれば、信用して、そんなに痛い目に遭うとかなかったから。脳天気にやってきたのがダメだったんでしょうね。だけどその時、色々学んだから。Bimmy時代に知り合った何人かのスタッフ達は、いまも一緒にやっているんですよ。その彼らと再スタートしたんです。
(まり)すごいドラマですね。
(かなこ)「Tsubomi」を始めて5ヶ月後くらいに、ぐっさんが出てる「ぐっと地球便」という番組があって、そこで「Tsubomi」を撮影してもらって、すごくいい思い出になった。あきこさんの家が一番上の4階なんですよ。ボロ~い階段を上って色々かついで上がったりとか。本当にコントか?ってくらいで、その時の様子を撮影してくれたのがその番組で。
(まり)へぇー。すごいわー。
(かなこ)いまはね、あきこさんの部屋は一番上で、一番下を全部借りてるんですよ。
(まり)一階がお店になっているんですか?
(かなこ)ひとつずつ借りてって、いまは全部借りてます。大家さんもすごいいい人で、人に恵まれています。
(まり)そっかー、すごいよね。海外で鍛えられているね。
(かなこ)鍛えられました。
(まり)いま聴いた話が日本で起きていても大変じゃないですか。せっかく自分でやり始めたものをね。これが海外で体験したってすごいよね。
(かなこ)本当あの時、決心して良かったなと思います。見た目はいいかもしれないですよね。大きなお店で。でも実際に感じたのは空っぽというか。自分たちの店じゃないってもう感じてたから。そんなんだったら一見、きらびやかに見えていても全然違うし。決心して本当に良かったと思ってます。
(まり)勇気がいるよね。一回壊すってね。
(かなこ)その後も結局一年くらいは、あきこさんの家でまた元に戻ったんですよ。予約販売のみのスタイルに。
(まり)うんうん。
(かなこ)日本人のお客様たちを相手に予約販売をして、また少しずつお金を貯めて大きいオーブンを買ったりとか。場所をもうひとつ借りたりとか。大家さんがいい人で、少しずつ広げさせてもらえたから。
(まり)確実に大きくなっているじゃないですか。コツはなんですか?
(かなこ)なんですかね。1人じゃ絶対に出来ないじゃないですか。やっぱり仲間ですよね。あきこさんにしてもそうだし、スタッフとの結束がすごく大事じゃないですか。
(まり)うんうん。
(かなこ)いくらスペイン語喋れるようになったって言っても、やっぱり軸となっているメキシコ人がいると助かるし。人がいないと絶対大きくなれないですよね。あとはやっぱりお客さんですよね。
(まり)人ですね。
(かなこ)やっぱり人ですよね。今までの苦難やトラブルとかも人が関わってたりするけど、助けてくれたり手を差し伸べてくれるのも人だし。支えてくれる周りの人たちへの感謝の気持ちを忘れない事ですかね。
あと、お客様のご要望は可能な限り対応するよう努めています。色々な事がスムーズにいかないメキシコに住んでいますが、配達の到着時間を随時お知らせしたり、バースデーケーキの製作等も、おもてなしの心を大切に、日本人、メキシコ人、その他の国々の人にも気に入ってもらえるようなサービスを心がけています。
実は最近、またメキシコの波に揉まれたりしていますが、こうして元気に過ごせているのも周りの人達の助けのおかげで…。
本当いつも人に生かされてるって感じです。
(まり)かなこさんが、仲間やお客さんとか人に対して大事にしていることはありますか。
(かなこ)全然出来てないんですけど、ちゃんと考えて言葉にする(笑)
(まり)あー。
(かなこ)それはお客さん相手じゃなくなっちゃいますけど、旦那さんと喧嘩するじゃないですか。カッとなるとすぐ文句を言うわけですよ。そういう時も一息置いて考えて言葉を発する。全然出来てないんですけどね。
(まり)それを大切にしたいと思ってるんだね。
(かなこ)思ってますねー。なんか本当に穏やかな人っているじゃないですか。そういう人を見習いたいなって思いますけど。
(まり)でもきっとその熱い感じが魅力なんですよね。そのバイタリティがここまで作ってきた気もするよね。カッ!となってヨシ!みたいな。
(かなこ)そうですね。決めたらさっさとやんなきゃ。時間だけが過ぎていってしまうから。でもやっぱり気にしているのは、相手の気持ちに寄り添うですね。
(まり)聴いていてもそういう感じがします。
(かなこ)怒っても自分の意見を押し付けて、そのときに白黒させない方がいいんだなって。ちょっと曖昧な部分があった方が上手くいくってこともあるし。
(まり)かなこさんにとっての人生のターニングポイントを教えてもらっていいですか?
(かなこ)やっぱりメキシコに来たことですね。
(まり)行く時は不安でしたか?
(かなこ)不安はなんにもなかったです。
(まり)もともとそういうタイプですか。初めてのことにあまり恐れがない感じですか?
(かなこ)恐れがあったり迷いがあることは始めない。
(まり)はぁー。メキシコは話がきたときに、まったく迷いがなかったんですか?
(かなこ)はい。じゃあ行きます!みたいな。ワクワク楽しみな感じでした。
(まり)独立するときは?
(かなこ)独立する時も全然不安はなかったです。
(まり)へぇー。カッコいいなー。
(かなこ)だから無鉄砲なんですよね(笑)
(まり)本当にそのエネルギーが必要なんですよね。知らない土地で日本人がお店をやるとか。あまりにも慎重だったら、なかなか難しいですよね。
(かなこ)慎重すぎると進まないかもしれないですね。物事がね。
(まり)メキシコに行ったことが人生の大きな節目だったんですね。
(かなこ)本当にそう思います。それによってまだまだだけど成長できた部分も大きいと思うし、来たからこそ、あきこさんとか、いまいる仲間にも出会えたし、うちの旦那さんもそうだし。
(まり)旦那さんは、お店をやっていることをどういう感じで見ているんですか?
(かなこ)メキシコに来て1年後に会ったんです。
(まり)最初のお店で働いているときに出会って、全部見てきているんですね。結婚はどのタイミングでしたんですか?
(かなこ)結婚は「Bimmy」を始めた年です。いつも支えてくれていますね。日本にいたときに付き合っていた過去の彼氏達って、すごく優しくて、私がワガママやり放題という関係性の人たちが多かったんですよ。だから自分の悪いところなんか全然知らなかった。全部許されてたんで。
(まり)最高!
(かなこ)日本ではね。だけど旦那さんは私の悪いところは悪いって言うし、ふざけたところは認めてもらえないんですよ。途中、厳しすぎると思ったんですけど、そういう方がいいんでしょうね(笑)
(まり)喧嘩もするけど一緒にいると成長できる相手なのかな?
(かなこ)そうだと思いますね。
(まり)出産はどっちでしたんですか?
(かなこ)出産もメキシコでしました。
(まり)それも勇気があるなー。
(かなこ)その時は「Bimmy」で働いていて、日本に帰ったら仕事できないじゃないですか。つわりも全然なくて元気いっぱいで。妊娠が発覚してからクリスマスが終わるまではスタッフに絶対に言わないって決めていたんですよ。
(まり)忙しい時期だから?
(かなこ)そう。みんなが心配するじゃないですか。クリスマスが終わって忘年会の時に発表して、そしたら途端にドンドンお腹が大きくなってきて(笑)
(まり)アハハハ!
(かなこ)発表したのが生まれる4ヶ月前とか。
(まり)ずっと立ちっぱなしでしょう?
(かなこ)本当にしんどいとか何もなかったんですよ。生まれる前日も店に顔を出してたし。
(まり)お仕事はどれぐらい休んだんですか?
(かなこ)家で座ってできる作業はすぐにしてたのですが、店に行くようになったのは2週間後くらいからですかね。
(まり)それって仕事をしたくなるってことですか?
(かなこ)そうなんです。もう家に居られなくなる。
(まり)ケーキを作るのも好きだし、仕事のことを考えているのも好き?
(かなこ)仕事が本当好きです。
(まり)好きなことを仕事にしているって感じがします?
(かなこ)します。子供が生まれた後もいままでの感覚が抜けないというか、仕事のペースを落とすつもりがひとつもなかったんで、それによって旦那さんに少し怒られましたね。家族の時間も大事じゃないですか。その頃は旦那さんが自宅で仕事してたんで、彼がほとんどやってくれていて。でもそれがあってから、家族の時間をなるべく大切にとるようにしてます。いまはコロナもあるんで、職場に週3回くらいしか行ってないんです。家で仕事して子供と遊んだりとか。いまの年齢ってやっぱり一緒に居たほうがね。日本語も教えてあげたいし。両立させるのを途中忘れて仕事ばっかりになってしまいそうだったけど。
(まり)好きなことを仕事にして、大切な家族がいて、そして大切な仲間がいるって人生がハッピーですよね。最高ですね。
(かなこ)ありがたいですね。
(まり)かなこさん自身が、ひとつひとつを全力で向き合う感じがします。家族にも仕事にも人にも。
(かなこ)暑苦しいですよね。言われてみるとそうかもしれないですね。
(まり)愛がドーン!っていく感じがする。相手は愛されていることがすごく分かるような気がする。
(かなこ)そうかもしれないですね。
(まり)知らない土地でチャレンジしている人の話って、すごく刺激になります。日本に居て、周りに知り合いもたくさん居て、出来ることもたくさんあるのに怖くてやっていないことがある人たちって、たくさんいると思うんですよ。かなこさんみたいに知らない土地で、自分が作ったお店がなくなってしまって、またゼロからチャレンジするとか、そういう話を聴いていると「私も何かやってみようかな」と刺激を受ける人がいるんじゃないかなと思います。
(かなこ)そういう人がいるんだったら、やっぱりやりたいなと思っていることがあるんなら、チャレンジした方がいいですよね。
(まり)ですよね!
(かなこ)去年の8月から同じローマ地区のちょっと離れたところに、もう一軒開けたんですよ。
(まり)すごい!お店を?2店舗展開?
(かなこ)そうです。でもそこは販売だけだから、作ったものを持って行くっていう。歩いて行ける距離なんですよ。だけど通りが変わるとまた別な感じで。例えばそこだとあんぱんとか全然売れないし。
(まり)そこはメキシコの人が多いんですか?
(かなこ)外国の人が旅行に来ている人が多い地域なんですよ。そこは元々大家さんが家族にやらせるってことでカフェテリアを始めたんですよね。
(まり)うんうん。
(かなこ)うちの商品を買って販売してたんですけど、去年の1月に始めたんです。メキシコがロックダウンになったのが3月なかばで、始めたばっかりの人にはやっぱり厳しいじゃないですか。それで大家さん的にはムリという話になって、でも場所はとてもいいから。同じ大家さんだから内装も「Tsubomi」と似てて、もし良かったらやらないかって声をかけてもらったんですよ。
(まり)うんうん。
(かなこ)最初にお金が必要じゃないですか。居抜きっていうんですかね、そのまま買い取るやつ。そういうのもかなり格安にしてくれて、そのチャンスをくれたんですよ。最初は悩んだんですけど、大家さんは家を貸す仕事をしているから渡せる相手なんて山ほどいる中で、私たちを選んでくれたんですよね。でもさすがにこんなコロナの大変な時期にね、もう一店舗なんて出来るのかと不安だったんですけど、やらないで後悔するよりもやって後悔の方がいいし。
(まり)すごい!
(かなこ)とりあえずやりますってなったんですけど。
(まり)どうですか?
(かなこ)大家さんが営業していた時よりは、全然いい感じだと思うんですよ。少しずつ売り上げも上がってきているし、新しいお客さんもどんどん増えてきているし。もちろんめちゃめちゃお金が入りますってことはないですよ。今やっぱりコロナで厳しいから。だけどお陰様でスタッフをクビにすることもなかったし。
(まり)すごい!向かい風の時にオープンするわけですもんね。
(かなこ)さすがにちょっと悩みましたけど。縁があってこうやってくれているし、出来るかもしれないと思ったから。でも「出来なかったらお返しするから他の人に売ってください」と言ったりはしてましたけどね(笑)
(まり)チャレンジがすごいなー!
(かなこ)日本にいる人たちももっと色々やってみたらいいのにって思いますね。とくに女の人ですよね。結婚して家庭に入って家事に追われるじゃないですか。そうすると自分のやりたいことが出来なくなったりすると思うんですけど、でも家庭は家庭、自分は自分ですから。やれることはどんどんやった方がね。人生は一回ですからね。
(まり)絶対そのメッセージ響く人たくさんいると思います。次にご紹介していただける方を教えてください。
(かなこ)名前は、原なつきさん。なっちゃんっていつも呼んでるんですけど。なっちゃんと出会ったのは、たしか21歳くらいのときかな。恵比寿に右近という季節料理屋さんがあって。そこでアルバイトしている時に出会ったんです。一緒に働いていたのは3ヶ月くらいだったんですけど、その後もずっと連絡取り続けていて。今はエステをしているんです。旦那さんがイタリア人で子どもも生まれて。
(まり)どんなユニークな方ですか?
(かなこ)行動力があって、綺麗なのにサバサバしてて、会うと会えなかった時間も一緒で縮まってしまう、大好きな友達です。
(まり)次回は、東京在住の原なつきさんです。
見上歌奈子さん、どうもありがとうございました。
お店のHP
https://www.tsubomimexico.com/
インスタグラム
https://instagram.com/pasteleria_panaderia_tsubomi/
https://instagram.com/hanarolm/