柚木麻子さんの「あしたの君へ」を読みました。
柚木麻子さんといえば、「BUTTER」や「ナイルパーチの女子会」など、女同士の友情や確執を描いてるという印象でしたが、
人と深くかかわることができず、調査官の仕事にも自信を持てずにいた大地ですが、事件と向き合い、少しずつ成長していきます。
大地は実務修習中に担当した相談者たちを思い返した。
ネットカフェで妹の面倒を見ながら生きている少女や、親の過剰な愛情のもとで苦しんでいる少年、夫のモラル・ハラスメントで精神を病んだ女性もいた。
きっと、自分が知らないところで、川の浅瀬に乗り上げて、前にも後ろにも行けずにいる人がたくさんいるはずだ。
(中略)
海に注ぐ鶴見川を見ながら、歩き出せずにいる人が前に足を踏み出す力になりたい、そう大地は思った。
なにかに傷つき、悩み、その場に立ち止まったまま動けずにいる人が、半歩でもいいから歩きだせる力になりたい、そう強く思う。
(本文より引用させていただきました)
犯罪や事件という結果に至った、その人が抱えている事情や言えない感情を、丁寧に調べて明らかにしていく大地。
知識や経験よりも、ほんとうにその人を想う気持ちがあるかどうかで、誰かを救うことができるんやなーと、あったかい気持ちになる1冊でした。
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